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シングルページ Webデザインのレイアウト実例8選

この記事の対象: シングルページ構成の採用を検討しているWeb担当者・デザイナー
読了時間: 約9分

シングルページ構成は「情報が少ないから」ではなく「一気に読ませたいから」選ばれます。Soreiine!!ギャラリーに集まったシングルページ実例を見渡すと、採用サイト・ブランドの特設ページ・プロモーション企画など、目的がはっきりしたページに集中して使われている傾向がわかります。この記事では実例をもとに、シングルページが向いているケースと、実装時に気をつけたいレイアウト設計を整理します。


シングルページが選ばれる理由

シングルページが選ばれる理由

複数ページ構成が「情報を整理して探させる」設計だとすれば、シングルページは「作り手が決めた順番で読ませる」設計です。メニューから好きな場所に飛ぶのではなく、スクロールという一本道の体験を用意することで、企業やブランドが伝えたいメッセージの順序をコントロールできます。

Soreiine!!に集まったシングルページ実例を見ると、用途はおおむね次の4パターンに集約されます。

用途タイプ 傾向 実例数(今回紹介分)
ブランド訴求(brand) 新商品や世界観をビジュアル先行で伝える 3件
採用(recruit-type) メッセージを絞り込みENTRY導線に集約 1件
プロモーション(promotion) 企画や体験価値を訴求する特設ページ 2件
ポートフォリオ(portfolio) 個人・専門家のアイデンティティ表現 2件

複数ページ構成の情報設計については3カラムデザインはもう古い?2026年の使いどころと組み方でも触れていますが、シングルページはそもそも「カラムで情報を並べて選ばせる」発想とは逆方向にあります。選ばせず、順番に見せる。この前提を押さえておくと、レイアウト判断がぶれません。


実例に見る、目的別のシングルページ設計

実例に見る、目的別のシングルページ設計

ブランド訴求:写真とタイポグラフィで世界観を作る

GREEN SPOONの「デリ弁当」特設ページ(green-spoon.jp/release/deli-bento)は、デリカテッセンの惣菜が並ぶ温かみのある写真をフルスクリーンで使い、「DELICATESSEN BENTO」のレトロなタイポグラフィを重ねています。ブラウン系の落ち着いたトーンが、手作り感と上質さを同時に伝える組み合わせです。GREEN SPOON自体はヘルシー志向のブランドですが、「弁当」という新しい商品カテゴリーの登場を、既存イメージを壊さずに華やかに告知する設計になっています。

東京ばな奈の新商品「ばにゃ奈」の商品ページ(tokyobanana.jp/products/banyana.html)は対照的に、画面全体をイエローで塗りつぶす大胆な手法です。猫モチーフの新商品らしい遊び心をローディング画面の段階から演出しており、「Ready!」の表示やCookie同意バナーまでトーンを統一している点が丁寧です。待たせる時間さえブランド体験の一部にしてしまう発想は、シングルページならではの一気通貫のコントロールがあってこそ成立します。

グローカリーホテル建屋(glctateya.com)も同様に、ベージュの柔らかい背景と雲から顔を出す愛嬌あるキャラクターイラストで、ホテルのホスピタリティをローディング画面から予感させています。

ブランド訴求型シングルページの構成パターン
ローディング演出ブランドカラー・世界観を先出し
ファーストビュー写真またはイラストでフルスクリーン訴求
メッセージ提示タイポグラフィで訴求点を明確化
詳細コンテンツスクロールで商品・企画情報を展開

3件に共通するのは、コンテンツ本体に入る前の「導入」に手間をかけている点です。複数ページ構成であればトップページの役割にあたる部分を、スクロール前の数秒に凝縮しています。

採用サイト:情報を削ぎ落とし、導線を一つに絞る

グローウィン・パートナーズの採用サイト(growin.jp/recruit/)は、ライトグレーの背景に「変えるために変わってゆけ。」という毛筆風タイポグラフィを画面中央に大きく配置し、英語のサブコピーを添えるだけのミニマルな構成です。求人票のような情報の羅列はせず、企業文化を一言で伝えることに全振りしています。そのぶんENTRYボタンを右上に明快に配置し、共感した人だけを次のアクションへ導く設計です。

採用サイトは本来、募集職種・待遇・社員インタビューなど載せたい情報が多くなりがちです。それをあえて削り、企業メッセージとENTRY導線の2点に絞り込めるのは、シングルページで一気に読ませる前提があるからこそだと言えます。

情報量で見る採用サイトの設計判断

シングルページ(メッセージ集約型)

  • 企業文化を一言で表現
  • ENTRY導線を1〜2箇所に絞る
  • 共感採用に向く

複数ページ(情報網羅型)

  • 職種別・部署別に情報を分岐
  • 募集要項・制度ページを個別に持つ
  • 比較検討されやすい採用に向く

プロモーション:期待感を演出する導入設計

太陽企画のニュークリエイターズ2025(taiyokikaku.com/newcreators2025)は、白背景に「SCOOP!!」の文字だけを配置した極めてミニマルなローディング画面です。情報をあえて絞り込み、「スクープ」という言葉の響きだけで好奇心を煽る演出になっています。ローディング後に展開されるコンテンツへの期待値を、この一言で作り切っている点が特徴的です。

日産サクラの「静かなサクラできいてみた」(www2.nissan.co.jp/SP/SAKURA/KIITEMITA)は、EVの静粛性というスペック項目になりがちな特徴を、体験価値のコンテンツとして再構成しています。走行音が静かであることをネガティブにもポジティブにも解釈できる中で、あえて「静けさ」そのものを企画の軸に据えた発想です。スペックを並べるページなら複数ページの比較表向きですが、体験を伝えるページはシングルページの一本道が合っています。

ポートフォリオ:アイデンティティを一枚で表現する

勅使川原真衣氏の公式サイト(maigawara.com)は、手書き風の文字が螺旋状に渦を巻くように配置された独特なビジュアルです。中央のネイビーの雲のようなモチーフに目が描かれたイラストが、組織開発や能力研究という活動テーマを抽象的に表現しています。右サイドのオレンジの縦帯に名前が大きく配置され、アイデンティティを明示する構成です。個人の専門家サイトでは、経歴やメディア掲載歴を並べるより、こうした一枚絵での印象形成が効くケースがあります。

パーソルグループのカルチャーデック特設サイト(persol-group.co.jp/special/culturedeck)も近い発想です。青色の線画イラストで壮大な山岳風景を描き、企業文化を「旅路」として視覚化しています。カルチャーデックという本来は社内資料に近いものをWeb化して一枚のページに落とし込む取り組みは、複数ページに分解せずシングルページで見せたほうがコンセプトが伝わる好例です。この2件はいずれも、経歴やスペックの箇条書きではなく一枚のビジュアルで印象を作る点が共通しています。


実装で気をつけたいポイント

実装で気をつけたいポイント

シングルページはビジュアル面の演出に注目が集まりがちですが、実装面でつまずきやすい点がいくつかあります。

スクロール1本の設計だからこそ、目次的なナビゲーションが要る

シングルページでもコンテンツが長くなる場合、ページ内リンクで各セクションへジャンプできるようにしておくと離脱を防げます。見出しから目次を自動生成する実装は下記の記事にまとめています。

セクション切り替えにスクロールスナップやカルーセルを使う場合

商品紹介や企画コンテンツを横スクロールで見せたい場合、JavaScriptに頼らずCSSのscroll-snapで実装できます。今回紹介したブランド訴求型のページのように、写真を大きく見せるセクションが複数ある構成では特に有効です。

補足情報はアコーディオンで畳んでおく

採用サイトやプロモーションページで、募集要項や企画概要など詳細情報を載せる必要がある場合、本文の流れを止めずにdetails/summary要素で開閉式にする方法があります。ブラウザ標準機能で実装できるため、余計なJSを持ち込まずに済みます。

モーダルでの補足表示

商品詳細や参加規約など、本文の流れに入れたくない情報はモーダルに逃がす選択肢もあります。dialog要素を使えば、背景固定やフォーカス管理をブラウザ標準機能でまかなえます。

表示速度への配慮

ローディング演出を凝ったものにするほど、初期表示の重さとのバランスが問われます。今回紹介した実例の多くはローディング画面自体を演出の一部にしていますが、これは「待たせる時間をどう見せるか」を設計した結果であり、単に画像が重いから待たせているわけではありません。フルスクリーン写真やイラストを使う場合は、画像の最適化を先に済ませてから演出を組み立てる順番が安全です。


シングルページが向かないケース

シングルページが向かないケース

ここまで紹介した実例はいずれも「伝えたいメッセージが一つに絞れている」「情報量がコントロールできる」という条件が揃っています。逆に、次のようなケースでは複数ページ構成のほうが機能します。

  • 商品点数が多く、カテゴリ別に絞り込んで探させたいECサイト
  • 部署・職種ごとに情報の粒度が異なる採用サイト
  • 検索エンジンから個別ページへの流入を見込みたいオウンドメディア

シングルページは「一本道で読ませる」設計である以上、情報が多岐にわたる場合はかえってユーザーに長いスクロールを強いることになります。目的と情報量を照らし合わせてから採用を判断してください。



よくある質問

よくある質問

シングルページとLP(ランディングページ)は同じものですか

近い概念ですが、LPは広告流入からのコンバージョンに特化した1ページを指すことが多く、シングルページはブランドサイトや採用サイトなど目的が多様です。今回紹介した実例のように、ブランド訴求やポートフォリオなどコンバージョンを直接の目的としないシングルページも多くあります。

シングルページはSEOに不利ですか

ページ数が少ないこと自体が不利になるわけではありません。ただし複数のキーワードで個別に流入を狙いたい場合は、そのキーワードごとにページを分けられる複数ページ構成のほうが機能しやすくなります。目的に応じて使い分けるべき判断軸です。

シングルページの制作期間は複数ページ構成より短くなりますか

ページ数が少ない分、情報設計や実装の工数は抑えられる傾向にあります。ただし今回紹介した実例のように、ローディング演出やビジュアル表現に力を入れる場合は、その分の制作工数がかかります。期間の目安や短縮できる工程については以下で解説しています。

採用サイトをシングルページにすると情報不足になりませんか

グローウィン・パートナーズの事例のように、企業メッセージとENTRY導線に絞り込む設計であれば、あえて情報を削ることが共感採用の武器になります。ただし募集要項や制度など、候補者が比較検討に使う情報が多い場合は、別途詳細ページを用意するか複数ページ構成を検討したほうが良いケースもあります。

シングルページに向いている企業の規模はありますか

規模よりも「伝えたいメッセージが一つに絞れているか」が判断基準です。今回紹介した実例は大手企業から個人の専門家まで幅がありますが、いずれも訴求点を絞り込んでいる点が共通しています。


まとめ

シングルページは情報を削るための構成ではなく、伝える順番をコントロールするための構成です。Soreiine!!に集まった実例を見ると、ブランド訴求・採用・プロモーション・ポートフォリオのいずれも、「メッセージを一つに絞り込めるか」が採用の分かれ目になっていました。複数ページ構成が向くケースとの線引きを踏まえたうえで、目次・カルーセル・アコーディオン・モーダルといった実装パーツを組み合わせれば、長いスクロールでも離脱の少ないシングルページを作れます。