この記事の対象: 採用サイトのリニューアルを検討している人事・広報担当者
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「採用サイトを作りたいけれど、どんな構成にすればいいか分からない」「デザイン会社に発注する前に、事例をいくつか見て頭を整理したい」。そう考えて検索にたどり着いた方は多いはずです。採用サイトは会社の顔であると同時に、求職者が「入社後の自分」を想像するための材料でもあります。単に情報を並べただけのサイトと、見せ方まで設計されたサイトでは、エントリー率に差が出ます。
この記事では、実際に公開されている採用サイトの中から、業種・デザインの方向性が異なる8件の事例を取り上げ、それぞれの構成やデザインの狙いを解説します。あわせて、発注時に決めておくべき判断ポイントと、構成パターン別の費用の考え方も整理しました。
採用サイトの実例に学ぶ、構成とデザインの方向性
採用サイトのデザインは大きく分けて「コピー訴求型」「写真・実写訴求型」「イラスト訴求型」の3つに整理できます。どれが正解というわけではなく、業種や伝えたいメッセージによって向き不向きがあります。
コピー訴求型:メッセージの力で惹きつける
クラウドローンの採用サイトは、「Facing PEOPLE Moving FORWARD」という英語コピーを画面いっぱいの大きな文字で見せるファーストビューが特徴です。日本語のサブコピー「今日も、人を向いて。」が添えられ、フィンテック企業でありながら人を大切にする姿勢を打ち出しています。ライムグリーンのアクセントカラーが白背景に映え、金融系にありがちな硬い印象をやわらげているのがうまいところです。スタッフの自然な表情の写真も随所に配置され、コピーだけで終わらせずに実在する人の顔で裏付けている構成になっています。
同じくコピーで魅せているのが弥生株式会社の採用サイトです。「1人の覚悟が、99%を動かす。」という力強い一文と、カラフルな矢印が画面を勢いよく横切るビジュアルで、会社の前進する姿勢を視覚的に表現しています。ブルー系グラデーションを基調にしながら多色の矢印を差し色にする配色バランスが秀逸で、会計ソフトという堅実な事業と、挑戦する企業文化の両方を一枚のビジュアルで伝えています。
コンサルティングファームのグローウィン・パートナーズの採用サイトは、さらに削ぎ落とした方向性です。ライトグレーの背景に「変えるために変わってゆけ。」という毛筆風タイポグラフィを中央に一つだけ大きく置き、装飾をほぼ排除しています。書道的な文字の力強さとミニマルな構成のコントラストが、コンサル業界らしい知的な緊張感を生んでいます。ENTRYボタンは右上に控えめに、しかし迷わない位置に置かれており、情報量を絞ったサイトほど導線設計がシビアになることがよく分かる事例です。
コピー訴求型は、写真素材が少ない・撮影コストをかけられない企業でも成立しやすい方向性です。その分、コピーライティングの精度がサイトの説得力を左右します。
メインコピー(1〜2行)
- 日本語の意訳・サブコピー
- 企業の姿勢を一言で象徴
補強要素
- 写真かグラフィックで裏付け
- ENTRY導線は視認性優先
コピーを主役に置くサイトほど、周辺の要素はコピーの邪魔をしない位置に整理する、という設計思想が読み取れます。
写真で職場のリアルを見せる事例

求職者が最も知りたいのは「実際にどんな人が、どんな雰囲気で働いているか」です。写真訴求型はこの疑問に直接答えるアプローチです。
コサウェルの採用サイトは、ライトブルーのグラデーション背景に、オフィスで働くスタッフの写真を複数配置したIT企業らしいクリーンな構成です。演出された写真ではなく自然な場面を切り取っている点が効果的で、職場のリアルな空気感が伝わります。ナビゲーション付近にはレインボーカラーのアクセントラインが入り、多様性を視覚的に示唆する工夫もされています。構成面では「メッセージ」「会社を知る」「仕事を知る」というように、求職者の関心の順に情報を並べており、EVENTとENTRYという2つのCTAで動線が明確に分かれているのも参考になります。
BuySell Technologies新卒採用サイトは、ブルーのグラデーション背景に白いカードを中央に配置したシンプルな構成です。カード型UIは近年のWebデザインで定番になりつつあるパターンで、情報を視覚的に区切りながらも画面全体の統一感を保てるのが利点です。テクノロジー企業としての先進性と、リユース事業ならではの誠実さの両方をブルーの配色でまとめています。
那須高原の老舗旅館、山水閣の採用サイトは少し毛色が異なります。縦書きで「日本の旅館と、那須の観光をもっともっと面白くする。」というコピーを中央に堂々と配置し、右側のテキストナビゲーションと左下の旅館外観写真を組み合わせています。余白を贅沢に使ったレイアウトが老舗旅館の上品さを表現していて、和と洋を無理なく融合させたデザインの好例です。写真は多用せず、「一枚をどう見せるか」に振り切った構成といえます。
写真訴求型を選ぶ場合、撮影の質がそのままサイトの説得力になります。演出写真より、日常の一場面を自然光で撮った写真のほうが、求職者には「加工されていない現実」として伝わりやすい傾向があります。
イラストと配色で親近感を作る事例

写真を主役にしない、あるいは写真だけでは伝えにくい業種では、イラストレーションが効果的です。
大野記念病院のイラスト採用サイトは、病院をモチーフにしたイラストが画面中央に描かれ、建物の断面図のように内部でスタッフが働く様子が見える構図になっています。ベージュの柔らかな背景色に水色のロゴを合わせることで、医療機関にありがちな緊張感のある雰囲気を払拭しています。雲の浮かぶ空と街並みの中に病院が描かれているため、地域に根ざした病院であることも視覚的に伝わってきます。医療職はどうしても「厳しそう」というイメージが先行しがちなので、イラストで間口を広げる設計は理にかなっています。
保育園を運営するさくらさくみらいの中途採用サイトは、ピンクを基調とした柔らかなデザインに、保育士と子どもたちが笑顔で遊ぶ写真を大きく配置しています。「子ども・保護者・職員 三者の笑顔が満ちた おうちのようなほいくえん」というコピーが園の理念を端的に伝えており、支度金の案内バナーや募集職種一覧、資料請求のCTAもきちんと目立つ位置に置かれています。イラストではなく写真主体ですが、配色とコピーで「親近感」を作っている点は大野記念病院の事例と共通する狙いです。
イラスト・柔色系が向く業種
- 医療・保育・福祉など緊張感を下げたい業種
- 撮影できる現場が限られる職場
- 専門性より人柄を伝えたい採用
写真・実写系が向く業種
- オフィスワーク・IT・専門職
- 職場環境そのものが訴求材料になる
- スタッフの表情で信頼感を作りたい採用
自社がどちらに近いかを最初に決めておくと、デザイン会社への発注時に方向性のすれ違いが起きにくくなります。
ブランドサイト・サービスサイトの参考事例10選|構成とデザインの決め方
発注前に決めておきたい3つのポイント
事例を見ていると、良い採用サイトには共通点があります。デザインの好みを伝える前に、次の3つを整理しておくと、制作会社との打ち合わせがスムーズになります。
1. 誰に一番読んでほしいか
新卒か中途か、専門職か総合職かで、見せるべき情報の優先順位が変わります。BuySell Technologiesの事例は新卒向けに絞ってメッセージを組んでいますし、さくらさくみらいは中途採用に特化して支度金の案内など実務的な情報を前面に出しています。ターゲットを絞らずに「みんなに向けて」作ると、結局誰の心にも刺さらないサイトになりがちです。
2. コピー・写真・イラストのどれを主役にするか
上で見てきた通り、方向性によって撮影や素材準備の負荷が大きく変わります。写真主体にするなら撮影日程の確保が必要ですし、イラスト主体ならイラストレーターの手配とテイストのすり合わせに時間がかかります。着手前に「何を主役にするか」を決めておくと、スケジュールの見積もりが立てやすくなります。
3. CTA(応募導線)をどこに置くか
コサウェルの事例のようにEVENTとENTRYの2つのCTAを使い分ける方法もあれば、グローウィン・パートナーズのように1つのENTRYボタンに絞る方法もあります。応募までのハードルを下げたいなら、まずは説明会やイベントへの軽い導線を用意し、本エントリーは別に置くという二段構えが有効です。
| 判断軸 | パターンA | パターンB |
|---|---|---|
| ターゲット | 新卒中心・母集団形成重視 | 中途中心・即戦力の見極め重視 |
| 主役素材 | 撮影写真・スタッフインタビュー | イラスト・グラフィック |
| CTA設計 | 説明会エントリー+本エントリーの二段階 | ENTRY一本に絞る |
採用サイト制作にかかる費用の目安
制作費は「テンプレートを活用するか、フルオーダーで組むか」「ページ数」「撮影・イラストなど素材制作を含むか」で大きく変わります。あくまで一般的な条件での目安として、次のように整理できます。
- テンプレート利用・5ページ構成程度:既存の採用サイト用テーマをベースにコピーと写真を差し替える形なら、比較的短期間・低コストで公開できます。
- フルオーダー・10ページ前後、撮影込み:トップページのビジュアル設計、スタッフインタビューの取材・撮影、コピーライティングを含めると、テンプレート利用より工数が大きく増えます。
- イラスト制作を含む場合:オリジナルイラストを起こす場合、イラストレーターへの発注が別途必要になり、その分の期間とコストが上乗せされます。
同じ「10ページの採用サイト」でも、撮影を新規で行うか既存写真を使うか、コピーライティングを自社で用意するか制作会社に依頼するかで金額は大きく変わります。見積もりを比較する際は、ページ数だけでなく「撮影の有無」「コピーライティングの範囲」「更新のしやすさ(CMS化するか)」を条件として揃えた上で比較するのが確実です。
採用サイトはコーポレートサイトと違い、公開後も募集職種や社員インタビューを追加していくことが多いサイトです。発注時にCMS化や更新のしやすさまで含めて相談しておくと、公開後の運用コストで悩まずに済みます。
まとめ
採用サイトのデザインは、コピーで惹きつける型、写真で職場のリアルを見せる型、イラストで親近感を作る型の大きく3方向に分かれます。どの型を選ぶにしても、①誰に読んでほしいか、②何を主役にするか、③CTAをどう設計するかの3点を先に決めておくことが、制作会社とのやり取りをスムーズにする一番の近道です。
今回紹介した事例はいずれもSoreiine!!ギャラリーに掲載されている実例です。気になったサイトがあれば、実際のページを開いて、ファーストビューの見え方やナビゲーションの組み方を自分の会社に当てはめて考えてみてください。
よくある質問
採用サイトの制作期間はどれくらいかかりますか
テンプレートを活用する場合は1〜2ヶ月程度で公開できるケースが多いです。撮影やスタッフインタビューを新規で行うフルオーダーの場合は、素材準備の時間が加わるため3ヶ月以上を見ておくと安心です。
コーポレートサイトの採用ページと、独立した採用サイトはどちらがいいですか
情報量が多く、更新頻度も高い場合は独立した採用サイトのほうが管理しやすい傾向があります。募集職種が少なく、コーポレートサイトの一部として十分な情報量で足りる場合は、無理に切り分ける必要はありません。
写真とイラスト、どちらで作るか迷っています
職場環境そのものが魅力になる業種(オフィス・現場の雰囲気を見せたい場合)は写真、緊張感を下げて親しみやすさを出したい業種(医療・保育・福祉など)はイラストが向いている傾向があります。この記事の「イラストと配色で親近感を作る事例」で挙げた大野記念病院とさくらさくみらいの事例を見比べると、判断材料になります。
採用サイトのCTAは何個くらい設置するのが適切ですか
多すぎると求職者がどれを押せばいいか迷ってしまいます。コサウェルの事例のように「説明会エントリー」と「本エントリー」の2つに絞り、段階を分けて設置するのが分かりやすい構成です。
採用サイトは何ページくらいあれば十分ですか
必須なのは代表メッセージ・仕事内容・選考フロー・エントリーページの4つです。ここに社員インタビューや福利厚生のページを加えると、8〜10ページ程度になるのが一般的な構成です。
