この記事の対象: コーポレートサイトの新規制作・リニューアルを検討中の企業担当者
読了時間: 約12分
コーポレートサイトを作り直したい。でも自社にどんなデザインが合うのか、構成はどこまで必要なのか、判断材料が少ない——こんな状態で制作会社に相談しても、提案の良し悪しを見分けられず、言われるまま進んでしまうリスクがあります。
この記事では、Soreiine!!ギャラリーに掲載されたコーポレートサイトの中から8つの実例を取り上げ、「なぜこのデザインが効いているのか」をデザインの方向性ごとに整理しました。費用相場の目安と、参考事例を自社の発注方針に落とし込む手順もあわせて解説します。
コーポレートサイトの発注前に固めるべき3つの判断軸

制作会社に声をかける前に、社内で方向性を固めておきたいポイントが3つあります。ここが曖昧なまま制作を進めると、デザインの修正が繰り返し発生し、追加費用と工期延長の原因になります。
誰に何を伝えるサイトか
コーポレートサイトの主な訪問者は、取引先候補・求職者・株主の3種類です。「すべてに対応したい」と欲張ると、どの層にも刺さらない中途半端な構成になりがちです。
| 主なターゲット | 重視すべきコンテンツ | デザインの方向性 |
|---|---|---|
| 取引先・見込み客 | 事業内容、実績、強み | 信頼感・堅実さ |
| 求職者 | 社風、働く環境、社員の声 | 親しみやすさ・透明性 |
| 株主・投資家 | IR情報、経営方針、数字 | 信頼感・透明性 |
もちろん複数のターゲットに対応できますが、「最優先は誰か」を決めておくと、トップページのメインビジュアルや導線の設計がブレにくくなります。
競合と差別化したいポイント
同業他社のサイトを見て「似たようなデザインが多い」と感じたことはないでしょうか。後述する実例でも、技術力を打ち出す企業、人間味を前面に出す企業、クリエイティブ力で勝負する企業で、選ぶ色やレイアウトがまったく異なります。差別化のポイントが明確な企業ほど、サイトに個性が出ます。
公開後の運用体制
「作って終わり」にしないために、公開後に誰がどのくらいの頻度で更新するかも決めておきましょう。更新頻度が低いならCMS(コンテンツ管理システム:専門知識なしでページを編集できる仕組み)は最小限で済み、費用も抑えられます。反対に、お知らせやブログを週1回以上更新するなら、使いやすいCMSの導入が必須です。
実例で見るコーポレートサイトのデザイン4パターン

Soreiine!!ギャラリーに掲載されたコーポレートサイトを分析すると、デザインの方向性はおおむね4つに分かれます。自社が目指す印象に近いパターンを探しながら読んでみてください。
パターン1:信頼感・堅実さで勝負するデザイン
BtoB企業やIT企業に多い、ブルー系のカラーと整ったレイアウトで堅実な印象を伝えるパターンです。
電気・システム事業を手がける同社のサイトは、ブルーのグラデーション背景に英語コピーを大きく配置しています。注目したいのは、社屋やスタッフの写真をコラージュ風に重ねたレイアウトです。複数事業を展開する企業の場合、テキストで並べるよりも写真の重なりで「多角的な事業展開」を直感的に伝えるほうが効果的です。ブルーという定番色を使いながらも、大胆なフォントサイズで先進性を出しているバランスが参考になります。
IT企業のサイトは「技術力」を押し出すものが大半ですが、コサウェルは業界の常識をずらしたメッセージで差別化しています。ライトブルーとホワイトのグラデーション背景に3DCGのロゴが浮かぶファーストビューは、テクノロジーの深みと清潔感を両立。同業他社と似たトーンになりがちなとき、「あえて違う切り口のメッセージを置く」という選択肢は覚えておいて損はありません。
信頼感を軸にしたサイト設計の事例は、BtoB企業サイトのデザイン事例10選|問い合わせを増やす設計でも紹介しています。
パターン2:クリエイティブ・先進性を打ち出すデザイン
デザイン会社や映像制作会社など、表現力そのものが商品になる企業に多いパターンです。
余白の多いミニマルなデザインが特徴です。社名の「sukima(隙間)」と画面の余白がリンクしている構成が秀逸で、デザインそのものが企業のコンセプトを体現しています。ナビゲーションも企業の在り方を重視した構成で、単なる実績紹介ではなく「どんな考え方でものづくりをしているか」が伝わる設計です。
commono inc.(Soreiine!!で詳しく見る)
ダークトーンの背景にスマートフォン型のUIとポスタービジュアルを組み合わせた実験的なレイアウトが目を引きます。自社の立ち位置を明確にするメッセージを掲げており、サイト全体がポートフォリオとして機能しています。サイトを見た瞬間にクリエイティブの質が伝わる——自社サイトが実力証明になるという好例です。
マゼンタピンクの背景に制作現場の写真を散りばめた、エネルギー全開のファーストビューです。コピーが円形に配置され、テレビ番組制作の現場写真が臨場感を伝えています。映像やメディア制作の会社がサイトで見せるべきは「完成した作品」だけでなく「作る過程の熱量」でもある、ということを教えてくれます。
パターン3:親しみやすさ・安心感を伝えるデザイン
医療機関やサービス業など、訪問者の不安を和らげることが重要な業種に向いたパターンです。
大きな木の下で人々が過ごすイラストが画面全体に広がるファーストビューは、心理療法という繊細なサービスに対する訪問者の緊張をやわらげる効果があります。語りかけるようなコピーも、売り込みではなく寄り添いの姿勢を感じさせます。グリーン基調の自然モチーフが安らぎを感じさせつつ、料金やサービス内容への導線もきちんと確保されています。医療系サイトにありがちな硬さを避けたい場合に参考になるデザインです。
医療・クリニック系のサイト設計については、医療・クリニックのホームページ制作事例と必須コンテンツもあわせてご覧ください。
SAS IRIAM事務所(Soreiine!!で詳しく見る)
VTuber/VLiver事務所のサイトで、所属タレントが横一列に並ぶメインビジュアルが華やかな第一印象をつくっています。白とライトブルーの清潔感ある背景がキャラクターの魅力を引き立て、タレント募集のEntryボタンも目立つ位置に配置。「見せたいものを主役にして、背景は邪魔をしない」という引き算のデザインが徹底されています。自社の商品やサービスがビジュアルで伝わる業種なら、この「主役以外を削ぎ落とす」アプローチは有効です。
パターン4:透明性・オープンさを示すデザイン
投資家やパートナー企業に向けて、経営の透明性をアピールしたい企業に効果的なパターンです。
力強いコピーがオレンジのアンダーラインで強調されたファーストビューは、メッセージと視覚的なアクセントのバランスが効いています。ベージュの落ち着いた背景に人物写真とイラストを組み合わせたグリッドレイアウトで、信頼感と親しみやすさを両立。経営陣の写真を大きく配置して「顔が見える」姿勢を打ち出しているのも特徴です。ベンチャーキャピタルに限らず、経営者の想いや顔を前面に出して信頼感を高めたいケースで参考になります。
コーポレートサイトの費用相場|構成と規模ごとの目安

「こういうデザインだといくらかかるのか」は発注前に最も気になる部分です。制作費はページ数・機能・デザインの作り込み度で変わりますが、大まかな目安を表にまとめました。
| サイト構成 | ページ数 | 費用相場 | 含まれる主な内容 |
|---|---|---|---|
| テンプレート利用のシンプル構成 | 5〜7P | 30〜80万円 | トップ、会社概要、事業紹介、お問い合わせ |
| オリジナルデザインの標準構成 | 10〜20P | 100〜250万円 | 上記+採用情報、ブログ、CMS導入 |
| アニメーション・動画を活用した構成 | 15〜30P | 200〜500万円 | 上記+動画撮影、スクロールアニメーション |
| フルオリジナルのブランディング重視 | 20P以上 | 400〜800万円〜 | ブランド戦略策定から設計・実装まで一貫対応 |
注意点が2つあります。
1つ目は、同じ条件でも制作会社によって2〜3倍の開きが出ること。 金額の差は「デザインの作り込み度」「ディレクションの手厚さ」「公開後のサポート体制」で生まれます。見積もりを比較する際は、金額だけでなく内訳の項目を揃えて比べるのが鉄則です。最低3社に同じ要件で見積もりを取りましょう。
2つ目は、動きの多いデザインは実装費が上乗せになること。 パターン2で紹介したようなスクロールアニメーションや3D表現を多用するサイトは、コーディングの工数が増えるぶん費用も上がります。インタラクティブな演出を求めるなら、その分の予算確保が必要です。
採用ページを含む場合のサイト設計については、採用サイトのデザイン事例10選|応募を増やすUIの工夫を徹底分析が参考になります。
参考事例を自社の発注方針に落とし込む3ステップ

「いいサイトを見つけた」で終わらせず、制作会社への発注に使える形にするための手順を紹介します。
ステップ1:「好き」と「合う」を仕分ける
参考サイトを集めるとき、「デザインが好きだから」と「自社のビジネスに合っているから」を混同しがちです。まずは5〜10サイト集めて、次の3つの基準でふるいにかけてみてください。
- ターゲット層が近いか(同じ業種、または同じ顧客層を狙っている)
- 伝えたいメッセージの方向性が近いか(信頼感重視か、先進性重視か)
- 運用リソースで維持できるか(コンテンツ更新の多いサイトは運用負荷も高い)
Soreiine!!ギャラリーではコーポレートサイトの実例を多数掲載しており、色やレイアウトでの絞り込みもできます。参考サイト集めの起点として使ってみてください。
ステップ2:要件を「必須」と「できれば」に分ける
参考サイトから取り入れたい要素をリストアップしたら、予算オーバー時に削れるものとそうでないものに分けます。
| 分類 | 要素の例 |
|---|---|
| 必須 | レスポンシブ対応、お問い合わせフォーム、CMS、SSL |
| できれば | スクロールアニメーション、動画ファーストビュー、多言語対応、チャットボット |
この仕分けをしておくと、見積もりが予算を超えたときの取捨選択がスムーズになります。
ステップ3:参考サイトには「何を参考にしたいか」を添える
「このサイトみたいにしてください」だけでは、制作会社はどの要素を拾えばいいのかわかりません。参考サイトを提示するときは、必ず具体的な理由を添えてください。
伝え方の例:
– 「色使いとフォントの雰囲気を参考にしたい」
– 「トップページのセクション構成(並び順)を参考にしたい」
– 「写真の見せ方やレイアウトの余白感を参考にしたい」
– 「ナビゲーションのわかりやすさを参考にしたい」
たとえば今回紹介した事例なら、「sukimaのような余白を活かしたミニマルな方向で」「デライト・ベンチャーズのように人物写真を大きく使って透明性を出したい」といった伝え方になります。
リニューアルを検討中の方は、Webサイトリニューアル成功事例5選|成果を出したサイトの共通点を徹底分析もあわせて確認しておくと、制作会社との打ち合わせがスムーズになります。
まとめ
コーポレートサイトのデザインは、「信頼感・堅実さ」「クリエイティブ・先進性」「親しみやすさ・安心感」「透明性・オープンさ」の4パターンに大別できます。
今回紹介した8つの事例のポイントを整理します。
| パターン | 事例 | 参考にしたいポイント |
|---|---|---|
| 信頼感・堅実さ | 井上株式会社 / コサウェル | ブルー系の配色、写真コラージュ、業界の常識をずらすコピー |
| クリエイティブ・先進性 | sukima / commono / メディアプルポ | 余白の活用、ダークトーンの実験的レイアウト、現場写真の臨場感 |
| 親しみやすさ・安心感 | 西宮心理療法オフィス / SAS IRIAM | イラスト活用、引き算のデザイン、寄り添うコピー |
| 透明性・オープンさ | デライト・ベンチャーズ | 経営陣の顔出し、グリッドレイアウト |
発注前に固めるのは「誰に何を伝えるか」「競合との差別化ポイント」「公開後の運用体制」の3つ。参考サイトを集める際は、Soreiine!!ギャラリーのコーポレートサイトカテゴリを使うと、色・レイアウト・業種で絞り込みながら比較できます。
費用相場はテンプレート利用のシンプル構成で30〜80万円、オリジナルデザインの標準構成で100〜250万円が目安です。必ず同じ要件で3社以上の見積もりを取り、金額だけでなく内訳を見比べてください。
