コラム

AI webサイトクリエイターは使えるのか|判断は3点で決まる

この記事の対象: 自分でサイトを作りたい個人事業主・小規模事業の担当者、外注する前に選択肢を比べておきたい人
読了時間: 約9分

先に答えを書きます。AI webサイトクリエイターは「骨格を数分で出す道具」としては十分に使えます。ただしそのまま公開できる水準になるのは、1ページ完結の告知サイトや型が決まった業種に限られます。採用・BtoB・ECのように情報設計と導線が成果に直結するサイトでは、AIが出したものを人が作り直す時間のほうが長くなります。

判断の基準は3つだけです。

  1. そのツールのAIはどこまでやるのか(文章だけか、デザインまでか、公開可能な状態までか)
  2. 作りたいサイトが「型どおり」か「個別性が要る」か
  3. 公開前のチェック3点を通せるか(スマホ表示・文字のコントラスト・読み込み中の見え方)

この記事では、この3つをそのまま順番に判断できる形で解説します。すでに契約を検討しているなら、まず2番目から読んでください。向いていない用途だと分かった時点で、比較検討そのものが不要になります。


結論を先に:使える用途と使えない用途

AI生成が弱いのは技術力ではありません。「そのサイトにしかない文脈」を汲み取ることです。AIは学習した大量の型の平均値を出すのが得意なので、型が決まっている用途ではその速さがそのまま強みになり、型から外れる用途では平均値に引き戻される弱さが出ます。

用途別に見たAI生成の向き不向き

AIで十分に足りる

  • 個人・フリーランスの名刺的な1ページサイト
  • イベント告知・期間限定の告知ページ
  • 構成がほぼ型どおりの業種(整体・教室・士業など)
  • 社内向けの案内ページ・簡易ドキュメント

AIだけでは届かない

  • ブランドの世界観で差別化したいサイト
  • 採用・BtoBなど情報設計が複雑なサイト
  • ECなど導線が売上に直結するサイト
  • 規制業種(医療・医薬品・金融など)

右側に当てはまるなら、AIツールを比較する前に「AIをどの工程に使うか」を決めるほうが先です。右側の用途でAI生成をそのまま公開すると、見た目は整っているのに問い合わせが増えない、という結果になりやすい部分です。規制業種の難しさは表現の制約が設計そのものに効いてくるためで、たとえば医薬品まわりの事情はwebサイト制作を医薬品業界で検討する前に知っておきたい設計の勘所で扱っています。


「AIが作る」の中身は3段階に分かれている

AI webサイトクリエイターとは、業種やキーワードを入力するだけで、レイアウト・配色・文章・画像をAIが自動生成し、数分でサイトの形を作るツールの総称です。従来のテンプレート型ビルダー(決まった枠に文字と画像を差し込むもの)と違い、生成AIが構成そのものを都度組み立てる点が特徴です。

ここで最初に押さえたいのは、「AIが作る」が指す範囲がサービスごとにまったく違うということです。

段階 具体的に何をAIがやるか 公開までの残り作業
①文章支援 見出し・コピーの草案を生成。レイアウトは人がテンプレートから選ぶ デザイン選定と全ページの流し込み
②デザイン下地 配色・フォント・セクション構成を業種に合わせて自動選定 文章の書き直しと画像の差し替え
③フルビルド 構成・デザイン・文章・画像まで一括生成し、ほぼ公開できる状態にする 事実関係の修正と表示チェック

検索して比較している方が期待しているのは③ですが、実際に提供されているツールの多くは①〜②の支援にとどまります。この差を知らずに契約すると、「AIで作ったのに結局自分で全部直した」という結果になります。

契約前に確認すべき一文

無料プランや紹介ページでは、どの段階なのかがぼかされていることがあります。確認したいのは次の点です。

  • 生成されるのは1ページだけか、複数ページ構成か
  • 文章は業種の一般論か、こちらの入力を反映するか(店名を入れただけで中身が汎用文のままなら①です)
  • 画像はストック素材か、生成画像か、自分で差し替える前提か
  • 生成後にHTML/CSSを直接編集できるか(できないと細部を直せません)

この4点を確認するだけで、期待値のズレはほぼ防げます。特に最後の「編集できるか」は、あとで述べる公開前チェックで修正が必要になったときに直接効いてきます。


公開前に必ず見る3点

AIが生成したサイトは、生成した瞬間の見た目は整っているのに、使われ方まで設計されていないという共通の弱点があります。言い換えると、スクリーンショットでは良く見えて、実際に触ると粗が出ます。

出やすいのは次の3つです。

  • スマホ幅での崩れ: PC画面を基準に組まれたレイアウトが、スマホで余白とフォントサイズのバランスを崩す
  • コントラストの甘さ: 配色の雰囲気は良くても、文字と背景のコントラスト比が低く読みづらい
  • 読み込み中の表現がない: 画像やコンテンツが出揃うまでの「待ち時間」の見せ方が考慮されていない
公開前に通す3つの確認
スマホで開く余白と文字サイズがPC版と同じ読みやすさか見る
文字の見やすさを見る背景色と文字色のコントラストが足りているか測る
読み込みの瞬間を見る画像が出るまでに空白や崩れが出ないか見る

この3つは、自分がAIツールで作ったサイトを公開する前の基準としても、外注先が出してきた制作物を評価する基準としても同じように使えます。順番にも意味があり、スマホ表示を直すとレイアウトが変わるので、先にそこを決めてから文字と読み込みに進むほうが手戻りが少なくて済みます。

スマホ表示は「1種類」ではない

AI生成でレイアウトが崩れる原因の多くは、想定している画面幅が1つしかないことです。実際のスマホは画面サイズが複数あり、どれを基準に設計するかで余白の見え方が変わります。前提の整理はスマホの画面のサイズは4種類|混ぜると設計が狂う理由と直し方にまとめているので、崩れの出どころを特定したいときに読んでください。CSSで使う具体的な基準値はスマホの画面幅は何px?CSSで使う基準値とブレイクポイントの決め方が近い内容です。

文字サイズについては、AIが出すコードがブレイクポイントごとに固定値を切り替える古い書き方になりがちという癖があります。境目で文字が飛ぶ現象が出たら、1行で画面幅に追従させる方法に置き換えるのが早いです。

コントラストは好みで判断しない

配色の読みやすさは、見た目の印象だけで判断すると人によって結論が変わります。数値で確認する手順があるので、公開前に一度測っておくほうが確実です。測り方と、色そのものを変えずに基準を満たす直し方は配色のコントラスト比をWebで確認する手順|崩さず基準を満たすで解説しています。

読み込み中の見せ方を後から足したい場合は、中身の形を先に場所取りしておく実装が定番です。


どこまでAIに任せるかを先に決める

AI webサイトクリエイターを実務で使うときに失敗しやすいのは、「全部AIに任せよう」という入り方です。得意な範囲と苦手な範囲がはっきり分かれているので、最初に分担を決めてから生成したほうが、結果的に手直しの総量が減ります。

工程 AIに任せる 人が決める
ページ構成(何ページ必要か) △ 草案は出せる ◯ 業種と目的から決める
コピー・見出し文 ◯ 草案生成が速い ◯ 最終的なトーンの調整
配色・デザインの方向性 △ 候補を出させる ◯ ブランドとの整合性
写真・画像の選定 △ 仮置きとして使う ◯ 実物の写真に差し替える
コンバージョンへの導線 ✕ 型どおりになりがち ◯ 業種特有の意思決定を反映

この表で分かるのは、AIが単独で完結できる工程がほとんどないことです。特に導線設計は、業種ごとに「何を見てから問い合わせるか」が違うため、汎用的な出力だけでは詰めが甘くなります。導線と検索対策を同時に成立させる考え方はサイト導線設計とオンページSEOの両立|実装手順と判断基準にまとめています。

「仮置き」と割り切ると速い

現実的な使い方は、AIに叩き台を出させて、差し替える前提の箇所に印を付けておくやり方です。

AI生成を下書きとして使う流れ
構成だけ人が決める必要なページと問い合わせまでの道筋を書き出す
AIに骨格を出させるレイアウトと文章の草案を一気に生成する
固有の情報を入れる実物の写真・実績・料金の条件を自分で書く
3点チェックを通すスマホ・コントラスト・読み込みを確認して公開

1番目を飛ばしてAIに丸投げすると、出てきた構成に引っ張られて、本来必要だったページが抜けたまま完成してしまいます。構成だけは紙に書いてからツールを開くのが、最も効く手順です。


「良いデザイン」の基準を自分の中に持つ

AI生成物を評価するときに一番難しいのは、比較する基準が自分の中にないことです。初めて見たレイアウトは、それが平均的なものなのか、よく考えられたものなのか判断がつきません。

ここは実例を見る量で解決します。レイアウトの型をひととおり把握しておくと、AIの出力が「どの型の平均値なのか」が見えるようになります。構成の種類と向いている用途はグリッドレイアウトのWebデザイン実例9選|向いているレイアウトの作り方が分かりやすく、情報量が多いサイトの組み方ならポータルサイト・メディア参考事例5選|レイアウト構成の選び方とデザインが近い内容です。

配色についても同じことが言えます。AIが選ぶ配色は無難な方向に寄るので、業種の中で埋もれやすくなります。色の効き方を業種別に見ておくと、生成された配色を採用するか差し替えるかの判断が速くなります。

【制作者目線】 AI生成物を引き取って仕上げる仕事は今後増えます。そのとき最初に見るのは、HTMLとCSSを直接編集できるかどうかです。編集できないツールで作られたものは、崩れを直すために作り直すしかなく、結果として「ゼロから作るより高くつく」状況が起きます。見積もりを出す段階で、どのツールで作られたかを確認しておくと齟齬を防げます。

【発注者目線】 AIで作った状態から外注する場合、「これを直してほしい」より「これを参考に作ってほしい」のほうが安く早く済むことがあります。AI生成物は構成の希望を伝える材料としては優秀なので、要望を言葉で説明する手間が省けます。直すか作り直すかは、制作側に現物を見せて判断を仰ぐのが確実です。


よくある質問

AI webサイトクリエイターで作ったサイトはそのまま公開していい?

1ページ完結の告知ページや名刺的なサイトなら、公開前チェック3点(スマホ表示・文字のコントラスト・読み込み中の見え方)を通せばそのまま公開して問題ありません。複数ページの企業サイトや問い合わせを増やしたいサイトは、構成と導線を人が決め直したほうが結果が安定します。

AIと人のデザイナー、どちらに頼むべき?

型が決まっている用途ならAIで十分です。ブランドでの差別化、採用・BtoBの情報設計、ECの導線設計が必要なサイトは、人の判断が入る工程を残してください。判断に迷うときは「このサイトは競合と同じ見た目でも成立するか」を考えると分かれます。成立するならAI、しないなら人です。

AI生成サイトかどうかは見分けられる?

決定的な見分け方はありません。ただし、スマホでの余白の崩れ、文字と背景のコントラストの甘さ、読み込み中の表現がない、という3つが揃っていると、生成したまま手を入れていない可能性が高いと考えられます。

AIにサイトを作らせる前に、自分で決めておくべきことは?

ページ構成(何ページ必要か)と、問い合わせまでの道筋の2つです。この2つをAIに任せると汎用的な型に寄るため、見た目は整っていても成果が出にくいサイトになります。紙に書き出してからツールを開いてください。

AIで作ったサイトを後から外注できる?

できます。ただし、HTMLとCSSを直接編集できないツールで作られている場合は、手直しではなく作り直しになることがあります。外注を検討するなら、どのツールで作ったかと、コードを編集できるかを制作側に先に伝えてください。


まとめ|AI生成は「下書き装置」として使う

AI webサイトクリエイターは、ゼロから完成品まで一人で完結させる道具ではなく、最初の骨格を速く出すための下書き装置です。骨格ができた後の、スマホでの見え方・文字のコントラスト・読み込み中の表現・導線設計といった「使われ方を想定した仕上げ」は、今のところ人の目と判断が必要な領域です。

判断の手順をもう一度並べます。

  1. 作りたいサイトが型どおりか、個別性が要るかを決める
  2. 検討中のツールのAIが①文章支援/②デザイン下地/③フルビルドのどれかを確認する
  3. ページ構成と問い合わせまでの道筋だけ自分で書き出す
  4. 生成後に公開前チェック3点を通す

自分で作る場合も、外注先がAIツールを使っていると分かった場合も、見るところは同じです。第一印象ではなく、スマホで開いたとき・文字を読んだとき・読み込みの瞬間を実際に確認してから公開を判断してください。