この記事の対象: ホームページの制作を外注しており、まもなく公開を控えている企業の担当者
読了時間: 約10分
制作会社から「最終確認をお願いします」と連絡が来た。テスト環境のURLを開いてみたものの、何をどこまで見ればいいのか分からない——そんな経験はないでしょうか。
制作会社は、リンク切れや表示崩れ、ページの読み込み速度といった技術面のチェックを行っています。ところが、掲載されている料金が最新かどうか、代表者の肩書きが正しいか、プライバシーポリシーが自社の実態に合っているか。こうした「中身の正しさ」は、制作会社には判断のしようがありません。
この記事では、発注者にしか確認できない項目を「公開後に直すと影響が大きいもの」から順に整理しています。社内で回覧するチェックシートとしても使えるように構成しました。
制作会社のチェックと発注者のチェックは別の作業

ホームページの公開前チェックには、2つのまったく異なる領域があります。
制作会社が確認する領域
- リンク切れ・404エラー
- ブラウザ・端末ごとの表示
- ページ読み込み速度
- フォームの送受信
- セキュリティ設定(SSL等)
発注者が確認する領域
- 掲載内容の正確さ
- 法的表記の過不足
- 料金・サービス内容の最新性
- 人名・肩書き・連絡先
- 表記ゆれ・文章のトーン
制作会社は「サイトが正しく動くか」を見ています。発注者は「サイトに載っている情報が正しいか」を見る必要があります。
この役割分担が曖昧なまま公開日を迎えると、公開後に「料金が去年のままだった」「退職した社員が載っている」といった事故が起きます。デザインの好みを伝えるだけで終わりにしてしまうケースが実際に多いのですが、見た目の確認よりも「情報に間違いがないか」の確認の方が、公開後のリスクに直結します。
公開後に修正の影響が大きいものから確認する

公開前に見落とした情報は、公開後に修正することになります。テキストの誤字なら数分で直せますが、法的表記の不備やサービス内容の誤りは、修正が完了するまでの間にトラブルへ発展しかねません。
ここでは、公開後に問題が大きくなりやすい順に並べています。
1. 法的表記・利用規約・プライバシーポリシー
最も優先度が高い項目です。不備があった場合、法的リスクに直結します。
- プライバシーポリシー: 個人情報の取得項目・利用目的・第三者提供の有無が、自社の実態に合っているか。問い合わせフォームでメールアドレスを取得するなら、その旨の明記が必要
- 特定商取引法に基づく表記(ECサイトの場合): 販売価格、送料、返品条件、事業者名、所在地など、法定の記載事項に漏れがないか
- 利用規約: サービスサイトの場合、免責事項や禁止事項が実態と合っているか
- 著作権表記: フッターの©表記。社名や年号が正しいか
制作会社がテンプレートを用意してくれることもありますが、テンプレートはあくまで雛形です。自社の事業内容に合っているかの判断は、発注者にしかできません。不安がある場合は、法務担当者や顧問弁護士への確認を依頼しましょう。
2. 料金・価格・サービス内容
料金の誤りは、顧客との金銭トラブルに直結します。
- 掲載している料金は最新か(税込み・税別の表記も含めて)
- サービスメニューに過不足がないか(終了済みのサービスが残っていないか)
- 料金改定の予定がある場合、公開日と整合性が取れているか
- 「お問い合わせください」にしている項目は、本当にWebに出せない金額なのか
特に注意したいのは、原稿を制作会社に渡してから公開日までに料金改定があった場合です。原稿提出から公開まで数週間〜数か月かかることもあるため、公開直前にもう一度突き合わせる習慣をつけておくと安全です。
3. 会社情報・所在地・連絡先
基本情報ほど「合っているはず」という思い込みで見落としやすい項目です。
- 会社名の正式名称(「株式会社」の前後位置、全角半角の区別)
- 所在地(ビル名の変更、フロア移転はないか)
- 電話番号・FAX番号(代表番号と部署直通の使い分け)
- メールアドレス(担当者個人のアドレスではなく、共有アドレスになっているか)
- 営業時間・定休日
- アクセス情報(地図のピン位置、最寄り駅からの所要時間)
移転やフロア変更が近い場合は、制作会社に「この部分は変更の可能性がある」と伝えておきましょう。修正しやすい構造にしてもらえます。
4. 人名・肩書き・部署名
掲載されている人物の名前と肩書きは、必ず本人または上長に確認してもらいましょう。
- 代表者名の表記(旧字体・新字体の区別)
- 役職名が最新か(「取締役」「代表取締役」「CEO」など、社内での統一ルールに沿っているか)
- スタッフ紹介に載せる社員が退職予定ではないか
- 顔写真と名前の組み合わせが正しいか
肩書きの間違いは、社内でも社外でも気まずい事態を招きます。制作会社は提供された原稿をそのまま掲載するため、原稿の時点で間違っていれば、そのまま公開されます。
5. 表記ゆれ・文章のトーン
サイト全体を通して、表記が統一されているかを確認します。
| 確認項目 | よくあるゆれの例 |
|---|---|
| 会社名 | (株)/ 株式会社 / ㈱ |
| 数字 | 3つ / 三つ / 3つ |
| 英語表記 | Eメール / e-mail / email |
| 送り仮名 | お問い合わせ / お問合せ |
| 敬称 | お客様 / お客さま |
| サービス名 | 正式名称と略称が混在していないか |
1ページだけ見ても気づきにくいのが表記ゆれの厄介なところです。トップページでは「お問い合わせ」なのにサービスページでは「お問合せ」——こうした不統一は、複数ページをまたいで確認しないと見つかりません。
表記ゆれそのものは公開後でも修正できますが、ブランドの一貫性という点では、最初から揃っている方が信頼感につながります。表記ルールを制作前に決めておけるのが理想ですが、公開前のこのタイミングが最後の機会です。
確認を効率よく進めるコツ

チェック項目が分かっていても、段取りなく進めると抜け漏れが起きます。確認作業を手戻りなく進めるための方法を整理します。
この流れで進めると、確認作業が属人的にならず、漏れも減ります。
確認の担当を分ける
すべてを一人で見ようとすると、抜け漏れが起きやすくなります。項目ごとに適任者は異なります。
| 確認項目 | 適任者の例 |
|---|---|
| 法的表記 | 法務担当・管理部門 |
| 料金・サービス内容 | 営業部門・事業責任者 |
| 会社情報・連絡先 | 総務・管理部門 |
| 人名・肩書き | 掲載される本人+上長 |
| 文章のトーン・表記 | 広報・マーケティング担当 |
全ページを全員が見る必要はありません。担当領域を決めて分担し、指摘を一箇所に集める方が結果的に早く終わります。
指摘はまとめてから伝える
見つかった修正点を気づいた順にバラバラ送ると、制作会社側で対応が重複したり、漏れが生じたりします。「確認中なので少し待ってください」と伝え、確認期間を区切って一括で修正依頼を送る方がスムーズです。
修正を伝えるときの書き方に迷ったら、こちらの記事が参考になります。
スマートフォンでも見る
パソコンだけで確認を済ませてしまうケースは多いのですが、実際のユーザーの多くはスマートフォンからサイトを見ます。スマートフォン特有の確認ポイントがあります。
- 電話番号をタップすると正しい番号に発信されるか
- 住所をタップすると地図アプリで正しい場所が開くか
- 長い表が画面からはみ出していないか
- ボタンが指でタップしやすいサイズか
表示崩れの確認は制作会社の領域ですが、「この番号に発信されて問題ないか」「この住所で地図が合っているか」は発注者でなければ判断できません。
公開前にもう一歩踏み込んで確認しておくこと

「間違い探し」だけでなく、公開後の運用を見据えて確認しておくと助かる項目もあります。
アクセス解析の設定
Googleアナリティクス(サイトへのアクセス状況を記録するツール)やサーチコンソール(検索エンジンからの流入を分析するツール)は、制作会社が設定していることが多いはずです。以下を確認しておきましょう。
- 自社のGoogleアカウントに閲覧・編集の権限が付与されているか
- お問い合わせ完了など、成果を計測する設定(コンバージョン設定)が入っているか
公開後に「アクセス解析を見たいのにログインできない」「成果の数字が取れていなかった」と気づいても、公開直後のデータは遡って取得できません。
CMS(更新システム)の操作確認
CMSを導入しているなら、公開後に自社で更新する範囲と手順を把握しておきます。
- お知らせやブログの投稿方法
- 画像の差し替え方法
- 更新してよいページと、触ってはいけないページの区別
「更新できると聞いていたが、やり方が分からない」という状態で公開日を迎えると、そこから更新が止まります。公開前に一度、テスト投稿を試しておくのが確実です。
SNS・Googleビジネスプロフィールとの整合性
ホームページの情報を新しくしても、SNSプロフィールやGoogleビジネスプロフィールが古いままでは、ユーザーに混乱を与えます。公開と同時に更新しておきたい情報は以下のとおりです。
- 電話番号、住所、営業時間
- WebサイトのURL
- 事業やサービスの説明文
よくある質問

公開前の確認にはどのくらい時間を見ておけばよいですか?
サイトの規模によりますが、5〜10ページ程度であれば、担当を分けて進めて2〜3営業日が目安です。法的表記の確認に法務担当者や弁護士が関わる場合は、さらに数日の余裕を見てください。公開日から逆算して、確認期間をスケジュールに組み込んでおくことが大切です。
確認作業を制作会社に任せることはできませんか?
技術面のチェック(リンク切れ、表示崩れ、速度など)は制作会社に任せられます。一方、掲載内容の正確さは発注者にしか判断できません。料金が最新か、肩書きが正しいか、法的表記が自社の事業実態に合っているかは、制作会社には分からない情報です。「中身の正しさ」は発注者の責任範囲だと考えてください。
確認で見つけた修正は、公開前にすべて対応してもらえますか?
誤字の修正や情報の差し替え程度であれば、公開前に対応してもらえるのが一般的です。ただし、ページの追加やデザインの大幅な変更は、追加費用や納期延長の対象になる場合があります。修正の規模が大きくなりそうなときは、早めに制作会社に相談しましょう。
公開直前に重大な間違いが見つかったら、公開を延期できますか?
法的表記の不備や料金の誤りが見つかった場合は、予定通り公開するよりも延期した方がリスクは小さくなります。間違ったまま公開すると、修正完了までの間にトラブルが起きる可能性があるためです。制作会社に早めに状況を共有し、公開日を調整してください。
テスト環境で確認すれば本番は見なくてよいですか?
本番環境でも確認してください。基本的には同じ表示になりますが、本番への移行時に設定の差異が出ることがまれにあります。特にフォームの送信テストは、本番環境で実際に送って受信できるかを確かめておくと安心です。
まとめ
制作会社はサイトを「正しく動く状態」に仕上げる専門家ですが、掲載されている情報が正しいかどうかは、発注者にしか判断できません。
公開前の確認で優先度が高いのは、法的表記、料金、連絡先、人名です。これらは間違っていた場合の影響が大きく、しかも制作会社では正誤を判断できない情報です。
確認は一人で抱え込まず、項目ごとに適任者を決めて分担すること。指摘はまとめて伝えること。スマートフォンでも見ること。この3つを押さえるだけで、公開後の「しまった」は大幅に減ります。
ホームページは公開がゴールではなく、公開してからが本番です。このタイミングで丁寧に確認しておくことが、安心して運用を始められる土台になります。


