この記事の対象: 初めてWeb制作会社に発注する企業の担当者
読了時間: 約8分
「制作会社に発注するのは初めてで、何から手をつければいいかわからない」——こんな声をよく聞きます。
Web制作の発注は「問い合わせて、見積もりをもらって、契約する」だけではありません。発注前に決めておくべきこと、契約時に確認すべき項目、公開後のやるべきことまで含めると、全体の流れを把握しておかないと途中で手戻りが発生します。
この記事では、制作会社への発注から公開、運用開始までの流れを3フェーズ・12ステップで解説します。
全体の流れ(3フェーズ)
| フェーズ | 期間目安 | 主な作業 |
|---|---|---|
| Phase 1: 発注準備 | 2〜4週間 | 社内整理、RFP作成、制作会社選定 |
| Phase 2: 制作進行 | 2〜4ヶ月 | 設計、デザイン、開発、コンテンツ入力 |
| Phase 3: 公開・運用 | 公開後〜 | テスト、公開、運用体制構築 |
全体のプロジェクト管理については「WEBサイトリニューアルの進め方完全ガイド」で10ステップにまとめています。この記事では特に「発注側の担当者がやるべきこと」にフォーカスして解説します。
Phase 1: 発注準備(2〜4週間)
ステップ1: 発注前に決めておく5つのこと
制作会社に問い合わせる前に、以下の5点を社内で固めておきましょう。
| # | 決めること | 考え方のヒント |
|---|---|---|
| 1 | 目的 | 「問い合わせを増やしたい」「採用応募を増やしたい」「ブランドイメージを刷新したい」 |
| 2 | 予算 | 完璧な金額でなくてOK。「100〜200万円の範囲」程度で十分 |
| 3 | 納期 | 「○月の展示会に間に合わせたい」など、理由付きの期限 |
| 4 | 担当者と決裁者 | 日常の窓口は誰か。最終決定は誰がするか |
| 5 | 最低限の機能 | CMS必須? EC機能必要? 多言語対応は? |
この5つが曖昧なまま問い合わせると、制作会社との初回打ち合わせで「何がしたいんですか?」と聞かれて答えられない——という残念な状況になります。
予算の目安がわからない場合は「ホームページリニューアルの費用相場」を参考にしてください。
ステップ2: RFP(提案依頼書)の作成
決めた内容をRFPとしてまとめます。RFPを用意することで、制作会社から的確な提案と正確な見積もりを引き出せます。
RFPの具体的な書き方は「RFPの書き方ガイド」で10項目にわたって解説しています。
ステップ3: 制作会社への問い合わせ(3〜5社)
RFPを添えて3〜5社に問い合わせます。制作会社の探し方は以下の方法があります。
- 知人の紹介: 信頼度は高いが選択肢が限られる
- ギャラリーサイトから探す: Soreiine!!で気に入ったデザインのサイトを見つけ、制作会社を調べる
- マッチングサイト: Web幹事、比較ビズなど
- Google検索: 「Web制作会社 + 地域名」で探す
ステップ4: 提案・見積もりの比較
各社から提案書と見積書を受け取ったら、以下の軸で比較します。
- 提案内容: 課題に対する解決策が具体的か
- 費用: 項目別の内訳が明確か(「一式」は要注意)
- 実績: 同業種・同規模の制作実績があるか
- 対応力: 質問への返答速度、コミュニケーションの質
見積もりの比較方法は「見積もり比較のポイント」で詳しく解説しています。制作会社の選定基準は「WEB制作会社の選び方完全ガイド」も参考にしてください。
ステップ5: 契約
制作会社を選定したら、契約を結びます。契約書で必ず確認すべき5つのポイント:
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 納品物の定義 | デザインデータ、ソースコード、マニュアルは含まれるか |
| 修正回数の上限 | 何回まで無料か。超過時の費用は |
| 著作権の帰属 | 制作物の著作権はどちらに帰属するか |
| 支払い条件 | 着手金+中間+完了の分割か、一括か |
| 解約条件 | 途中解約の場合の精算方法 |
制作会社が教えてくれないポイント: 著作権の帰属は特に注意。「制作物の著作権は制作会社に帰属」という条項が入っていることがあります。これだと他社にリニューアルを依頼する際に、既存のデザインデータを利用できなくなります。
Phase 2: 制作進行(2〜4ヶ月)
ステップ6: キックオフ〜要件定義
契約後、最初の打ち合わせ(キックオフ)で以下を決定します。
- プロジェクトのゴールとKPIの最終確認
- サイトマップ(ページ構成)の確定
- スケジュールと各工程のマイルストーン
- コミュニケーション方法(Slack?メール?週次MTG?)
ステップ7: ワイヤーフレーム〜デザイン
制作会社がワイヤーフレーム(ページの骨格)→ デザインカンプ(完成イメージ)の順で制作します。
発注側の注意点:
– フィードバックはまとめて1回で出す。バラバラに出すと修正回数がすぐに上限に達する
– デザインの好み(主観)ではなく、目的(客観)で判断する。「この色が好き」ではなく「ターゲットユーザーにとって見やすいか」
ステップ8: 開発・コーディング
デザイン確定後、HTML/CSS/JSのコーディングとCMS構築に進みます。この工程で発注側がやることは:
- 原稿・写真素材の準備(自社用意の場合)
- 進捗確認のテストサイトチェック
ステップ9: コンテンツ入力・最終チェック
テストサイト上で原稿・画像を入力し、以下を最終確認します。
- 全ページの誤字脱字チェック
- リンク切れの確認
- フォームの動作テスト(自分で送信してみる)
- スマホでの表示確認
Phase 3: 公開・運用
ステップ10: 公開
テストが完了したら本番公開です。公開作業は制作会社が行いますが、発注側が確認すべきことがあります。
- DNS切り替え後のサイト表示確認
- 旧URLからのリダイレクトが正しく動作しているか
- Google Search Consoleでクロール状況を確認
- 問い合わせフォームのテスト送信
ステップ11: 公開後1ヶ月のチェック
公開直後は小さな不具合が出やすい時期。以下を重点的にチェックします。
- アクセス解析: GA4でPV・直帰率・コンバージョンを確認
- 検索順位: 主要キーワードの順位変動をモニタリング
- ユーザーフィードバック: 社内や顧客から「使いにくい」「見つからない」等の声がないか
ステップ12: 運用体制の構築
サイトは公開してからが本番です。継続的に成果を出すために、以下の運用体制を整えましょう。
| 作業 | 頻度 | 担当 |
|---|---|---|
| お知らせ・ブログ更新 | 週1〜2回 | 自社 |
| アクセス解析レポート確認 | 月1回 | 自社 or 制作会社 |
| セキュリティアップデート | 随時 | 制作会社(保守契約) |
| コンテンツ改善 | 月1回 | 自社 + 制作会社 |
発注でよくあるトラブルと予防策
| トラブル | 原因 | 予防策 |
|---|---|---|
| 納期遅延 | 発注側の原稿・素材準備が遅れる | スケジュールに「素材提出期限」を明記 |
| デザインの認識ズレ | 口頭だけの指示 | 参考サイトとRFPで視覚的に共有 |
| 追加費用の発生 | 要件の追加・修正回数超過 | 契約時に追加費用の条件を確認 |
| 公開後の放置 | 運用体制の未整備 | 保守契約の内容を事前に確認 |
まとめ
Web制作の発注から公開までの流れを3フェーズ・12ステップで解説しました。
Phase 1(発注準備): 目的・予算・納期を社内で固め、RFPを作成し、3〜5社から提案を受ける
Phase 2(制作進行): 要件定義→デザイン→開発→テストの順に進行。フィードバックはまとめて出す
Phase 3(公開・運用): 公開後1ヶ月のチェックと運用体制の構築が成功の鍵
初めての発注で最も大切なのは「何がわからないかを制作会社に正直に伝えること」。良い制作会社であれば、わからないことを丁寧にサポートしてくれるはずです。
