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Web制作のスケジュールが遅れる原因|遅延は決まった工程に集中する

この記事の対象: Web制作を依頼中、またはこれから依頼する企業の担当者
読了時間: 約10分

「公開予定日は◯月でしたよね?」──制作会社にやんわり催促されて、ギクッとした経験はないでしょうか。スケジュールどおりにWebサイトが完成するプロジェクトのほうが珍しい、と言ってしまうと身もふたもないですが、遅れる原因には明確なパターンがあります。

原稿が出てこない。写真の撮影が進まない。デザイン案を見せたら「上に確認します」で2週間止まる。そして公開予定日が後ろにずれていく。

この記事では、Web制作の工程ごとに「どこで、誰の作業が原因で止まりやすいか」を整理します。遅れやすいポイントがわかれば、前倒しで手を打てるものも見えてきます。


遅れが起きる場所はだいたい決まっている

遅れが起きる場所はだいたい決まっている

Web制作の進行は、大まかに次の流れで動きます。

Web制作の基本的な工程
要件定義目的・構成・機能を決める
設計ページ構成とワイヤーフレーム
デザインビジュアルの制作と確認
実装コーディングとCMS組み込み
テスト・公開動作確認と本番反映

このうち、遅延が集中するのは「要件定義」「デザイン確認」「素材準備」の3つです。いずれも制作会社の作業ではなく、発注側のアクションが必要な工程にあたります。

制作会社のコーディングやシステム実装で遅れるケースもゼロではありませんが、現場で繰り返し発生する遅延は「発注側の手元で止まっている時間」に集中しています。責めたいわけではなく、知っておくだけで防げる遅れが多いという話です。


工程ごとに見る──誰の手元で止まりやすいか

工程ごとに見る──誰の手元で止まりやすいか

工程ごとに、遅れの原因と「誰のボールか」を整理します。

工程 止まりやすい原因 主に誰のボールか
要件定義 目的や優先順位が社内でまとまらない 発注側
設計(ワイヤーフレーム) 確認に出しても反応が返らない 発注側
デザイン制作 制作会社の作業。比較的予測しやすい 制作会社
デザイン確認 「上に見せます」から戻りが遅い 発注側
原稿・写真の準備 通常業務と並行で後回しになる 発注側
コーディング 仕様変更が入ると手戻りが発生する 制作会社(原因は変更依頼)
テスト・修正 確認依頼への返答が遅い 発注側
公開作業 最終承認が下りない 発注側(決裁者)

8つの工程のうち6つで「発注側」が主なボトルネックになりえます。制作会社にすべてお任せしているつもりでも、実は自社のアクション待ちで止まっているケースがほとんどです。

ここから、特に遅延が起きやすい3つの場面を掘り下げます。

原稿と写真──「あとで出します」が最大の遅延要因

Web制作で最もスケジュールを押すのが、原稿と写真の準備です。

制作会社からは「デザインに入るまでに原稿をください」と言われますが、担当者は通常業務を抱えながら原稿を書くことになります。会社概要やサービス説明は「わかっているから書けるだろう」と思いがちですが、いざ書き始めると時間がかかります。

よくあるパターンはこうです。

  • 制作会社から原稿依頼が来る
  • 担当者が「今週中に書きます」と回答する
  • 通常業務に追われて手がつかない
  • 気づくと2〜3週間経っている
  • 制作会社から「デザインに入れません」と連絡が来る

写真も同様です。撮影のスケジュール調整、カメラマンの手配、撮影場所の準備。これらが後回しになると、デザインに仮画像を入れたまま進行し、差し替え時に手戻りが発生します。

素材準備の進め方は、以下の記事で具体的に解説しています。

社内確認──「見ておいて」では進まない

デザイン案やワイヤーフレームを制作会社から受け取ったあと、社内で確認を回す工程も大きな落とし穴です。

問題は「誰が、いつまでに、何を判断するか」が決まっていないこと。担当者がデザイン案を受け取り、上司に転送し、上司が「部長にも見せておいて」と言い、部長が出張で不在──。こうした玉突きで1〜2週間はあっという間に過ぎます。

厄介なのは、確認者が増えるほどフィードバックがバラバラになること。「もっとシンプルに」と「情報が足りない」が同時に返ってくると、制作会社は身動きが取れません。修正の方向を誰が決めるのかもはっきりしないまま、やり取りだけが増えていきます。

社内の確認フローは、制作が始まる前に決めておくべきです。「デザイン案の確認は担当者と上長の2名」「返答期限は受領から5営業日以内」──このくらいの取り決めがあるだけで、進行は変わります。ホームページの社内担当者の決め方|体制づくりで進行が変わる【2026年】では、確認体制の作り方を詳しく紹介しています。

決裁──「最後に社長に見せます」の落とし穴

最終デザインの承認や公開判断で、決裁者(多くの場合は社長や役員)の確認が必要なケースは多いです。これ自体は当然のことですが、問題は「決裁者がプロジェクトの途中経過を知らない」場合です。

途中段階を見ていない決裁者が最後に登場すると、「思っていたのと違う」「もっとこうしたい」という大幅な修正指示が出ることがあります。ここまでの作業が大きく巻き戻り、スケジュールが1〜2か月延びることも珍しくありません。

対策はシンプルで、要件定義の段階で決裁者にも方向性を共有しておくことです。デザインの細部まで見せる必要はなく、「こういう方向で進めます」という確認だけで十分です。5分の共有を1回入れるだけで、最後の大幅な巻き戻りを防げます。



前倒しで準備できるものリスト

前倒しで準備できるものリスト

制作会社との契約前、あるいは制作開始直後に着手できるものは意外と多くあります。「制作会社に言われてから動く」のではなく、先に準備しておくだけで、スケジュール全体に余裕が生まれます。

準備すべきもの 内容 いつ始められるか
会社概要の原稿 事業内容、沿革、所在地などの基本情報 制作依頼前
サービス紹介文 各サービスの概要・特徴・対象顧客 制作依頼前
代表メッセージ 理念やビジョンを文章化したもの 制作依頼前
スタッフ写真 社員の顔写真、オフィスの写真 制作依頼前
製品・サービスの写真 商品写真、施工事例、店舗写真など 制作依頼前
ロゴデータ AI・EPS・SVG形式の元データ 制作依頼前
社内確認フロー 誰が確認し、誰が最終承認するかの取り決め 制作依頼前
参考サイト 「こういう雰囲気がいい」の具体例を3〜5つ 制作依頼前
現サイトのログイン情報 CMSの管理画面、サーバー情報、ドメイン管理 制作開始時
掲載NGの情報 載せてはいけない情報の範囲を社内で確認 制作開始時

これらのほとんどは、制作会社の専門知識がなくても用意できるものです。制作の専門的な判断は制作会社に任せてよいですが、「自社のことを文章にする」「社内の体制を決める」は発注側にしかできない仕事です。

何を準備すべきで、何は制作会社に任せてよいのか。その線引きについては以下の記事でまとめています。


「何のために作るか」が曖昧だと、全工程で遅れる

「何のために作るか」が曖昧だと、全工程で遅れる

ここまで工程ごとの遅延原因を見てきましたが、根っこにある問題がひとつあります。「何のために作るのか」がはっきりしないまま制作が始まっているケースです。

目的が曖昧だと、あらゆる工程で判断に迷います。ページ構成を決めるとき「これは必要だろうか」と悩み、デザインを確認するとき「これでいいのかわからない」と止まり、原稿を書こうとしたとき「何をどう伝えればいいのか」と手が動かない。すべての遅延の根っこに、目的の曖昧さがあることは少なくありません。

制作プロセスの最初に「問いを立てる」工程を設ける考え方があります。そもそも誰に向けたサイトなのか。訪問者にどんな行動をしてほしいのか。今のサイトの何が課題なのか。こうした問いに向き合ってから設計に入ると、そのあとの工程で判断基準ができます。

目的から逆算して制作を組み立てていれば、途中で「この修正は目的に沿っているか」で判断できるため、社内確認でも意見が散らかりにくくなります。逆に、目的を確かめないまま制作に入ると、判断基準がないまま関係者全員が「なんとなく」で意見を出すことになり、確認のたびに方向がブレて遅れが積み重なります。

制作会社を選ぶ際、「いきなりデザインの話に入る会社」と「まず事業や目的の話から始める会社」があります。後者のほうがスケジュールが安定しやすいのは、こうした理由からです。なぜWebサイト制作は事業整理から始まるのか|最初に問うべきことも合わせて読むと、制作前に整理しておくべきことが具体的にわかります。


制作会社側で止まっている場合の見極め方

制作会社側で止まっている場合の見極め方

ここまで発注側の原因を中心に書いてきましたが、制作会社側でスケジュールが遅れるケースももちろんあります。

よくあるのは、制作会社が複数案件を同時に抱えていて、リソースが逼迫(ひっぱく)しているパターンです。「素材をお待ちしています」と言いながら、実は別案件にかかりきりで着手できていないということもあります。

見極めるポイントは、こちらが素材やフィードバックを返したあとの反応速度です。「こちらのボールは返したのに、次の工程がなかなか始まらない」と感じたら、制作会社側で詰まっている可能性があります。

制作会社からの連絡が途切れたとき、遠慮して待ち続けるのは得策ではありません。「次のステップと期日を教えてください」と率直に聞くことが、プロジェクトを動かす最善の手段です。この点についてはホームページ制作会社から連絡こない・進まないときの対処法【2026年】で詳しく取り上げています。


スケジュールを守るために、発注側ができること

スケジュールを守るために、発注側ができること

最後に、ここまでの内容を「遅れにくいプロジェクト」と「遅れやすいプロジェクト」の対比でまとめます。

スケジュールが守れるかどうかの分かれ目

遅れにくいプロジェクト

  • サイトの目的が言語化されている
  • 確認者と返答期限が決まっている
  • 原稿・写真を先に準備している
  • 決裁者が方向性を把握している

遅れやすいプロジェクト

  • 「とりあえずいい感じに」で始まる
  • 確認を回す先が決まっていない
  • 素材は「言われてから」用意する
  • 決裁者が最後にだけ登場する

共通しているのは、遅れにくいプロジェクトほど「制作が始まる前に考える時間」を取っていることです。サイトの目的、社内の体制、素材の準備──これらは制作会社がいなくても進められるものばかりです。

制作会社に依頼する=すべてを任せる、ではありません。「自社のことを決めるのは自社の仕事」と割り切って動くほうが、結果的にスケジュールどおりに進みます。そして、目的と体制が整った状態で始まったプロジェクトは、出来上がるサイトの質も上がります。


よくある質問

よくある質問

Web制作のスケジュールはどのくらい遅れることが多いですか?

規模や進め方によりますが、中小企業のコーポレートサイト(10〜20ページ程度)の場合、当初の予定から1〜2か月遅れるケースは珍しくありません。遅延の主な原因は素材準備や社内確認の停滞で、制作会社の作業そのものよりも発注側の対応スピードに左右されることが多いです。

制作会社にスケジュール管理を任せれば大丈夫ですか?

制作会社はスケジュールを引いて進捗を管理しますが、「原稿を書く」「社内で確認を取る」「決裁者の承認を得る」は発注側にしかできない工程です。制作会社がどれだけ管理しても、これらで止まればスケジュールは動きません。社内の確認フローと返答期限を制作開始前に決めておくのが最も効果的な対策です。

原稿や写真をすべて制作会社にお願いすることはできますか?

ライティング代行やカメラマン手配に対応する制作会社もあります。ただし、取材や撮影のための社内調整(スタッフのスケジュール確保、撮影場所の準備など)は発注側の協力が欠かせません。原稿の元になる情報の提供や、完成原稿の事実確認も発注側の作業として残ります。「任せる」と「何もしなくていい」は別のことだと考えてください。

スケジュールが遅れたら追加費用がかかりますか?

発注側の都合による遅延には、一定の猶予を設けている制作会社が多いです。ただし、大幅な遅延(数か月単位)や、遅延に伴う仕様変更が発生した場合は、追加費用が発生することがあります。契約前に「スケジュール変更時の取り扱い」を確認しておくと安心です。

公開予定日が決まっている場合、何から始めればいいですか?

まず公開予定日から逆算して、制作に必要な期間を制作会社に確認してください。そのうえで「いつまでに原稿・写真を用意する必要があるか」「社内確認にどれくらいの期間を見込むか」を把握します。素材準備と社内確認フローの確定は、制作会社を探す作業と並行して進められます。時間がないときほど、先に準備できるものを洗い出すことが重要です。