業界・事例

美容・健康・化粧品のWebサイトデザイン事例9選|傾向と選び方

この記事の対象: 美容・健康・化粧品ブランドのサイト制作を検討している担当者、同業種のデザインを研究したい制作者
読了時間: 約9分

Soreiine!!に掲載されているサイトのうち、美容・健康・化粧品カテゴリは9件です。件数としては多くありませんが、だからこそ「なぜこの業種はこの色・このレイアウトを選ぶのか」という傾向が輪郭を持って見えてきます。今回はその9件を素材に、カラーとレイアウトの内訳を数字で示しながら、制作者目線と発注者目線の両方から読み解いていきます。


掲載9件の内訳|色とレイアウトに偏りがある

掲載9件の内訳|色とレイアウトに偏りがある

まず数字から見ていきます。9件のカラー傾向は次のとおりです。

カラー系統 件数
ベージュ系 2
ピンク系 1
ホワイト系 1
グレー系 1
レッド系 1
ブルー系 1
グリーン系 1
カラフル 1

最多はベージュ系の2件ですが、実際には8色系統に1〜2件ずつ分散しているのが特徴です。美容・健康・化粧品と一括りにされがちなこのカテゴリですが、実際のサイトを見ると「これが業種の色」と言い切れるほどの一色支配は起きていません。これは後述するように、ブランドごとの世界観づくりが強く働く業種だからだと考えられます。

レイアウトの内訳はこうなっています。

レイアウト 件数
スプリットレイアウト 3
シングルページ 3
1カラム 2
2カラム 1

こちらはカラーよりもはっきりした偏りが出ています。スプリットレイアウト(画面を左右や上下に分割する構成)とシングルページ(縦に長い1本道の構成)が、それぞれ3件ずつで並んで最多です。合わせて9件中6件、実に3分の2がこの2パターンに集約されています。

美容・健康・化粧品サイトのレイアウト分布(9件中)

スプリットレイアウト(3件)

  • ビジュアルとテキストを左右で分離
  • 世界観を保ったまま情報を並置できる

シングルページ(3件)

  • スクロールで物語を追わせる
  • ブランドコピーと写真を交互に展開

1カラム2件・2カラム1件は残りの3件に分散。

この図が示しているのは、美容・健康・化粧品サイトの多くが「情報を並べる」よりも「体験として見せる」構成を選んでいるということです。次の章で、実例をもとにその理由を掘り下げます。


なぜスプリットとシングルページが選ばれるのか|実例で見る

なぜスプリットとシングルページが選ばれるのか|実例で見る

BOTANIST フレグランスコレクション|スプリットレイアウトで香りを”見せる”

BOTANISTの春限定フレグランスコレクション特集ページは、画面を左右に分けるスプリットレイアウトの好例です。淡いピンクのクリーム状のテクスチャが画面の半分を占め、もう半分にセリフ体でコレクション名を伝えるコピーが配置されています。

【制作者目線】香りという視覚化できない商品を、テクスチャの質感で代弁させる発想が巧みです。ソフトフォーカスの写真は、シャープに撮るよりも「香りの広がり」という曖昧な感覚を伝えるのに向いています。スプリットレイアウトは、ビジュアル要素とテキスト要素を明確に分離できるため、写真の情報量を上げても文字が読みにくくならないという実務上の利点もあります。

【発注者目線】限定コレクションという「特別感」を伝える必要がある案件では、通常のECページの文法(商品写真+価格+購入ボタン)をそのまま使うと安っぽく見えてしまいます。スプリットレイアウトは通常の商品ページより制作工数はかかりますが、ブランドの世界観を毀損せずに情報を伝えられる構成として、特設ページでは検討する価値があるパターンです。

美容室らふる|アートとビューティを融合させたスプリット

美容室らふるの公式サイトも、左側に絵画のようなアートビジュアル、右側にシンプルなテキストを配したスプリットレイアウトです。サロン名の由来である「笑顔」を印象づける大きめのロゴタイプが配置されています。

【制作者目線】一般的な美容室サイトは、カットスタイルの写真をグリッドで並べる構成が定番ですが、このサイトはあえて絵画タッチのビジュアルを主役に置いています。スプリットレイアウトのおかげで、左のアートは自由な世界観を保ちながら、右のテキストは予約導線までしっかり機能を担保できています。

【発注者目線】地域の美容室は競合が多く、スタイル写真の並びだけでは差別化が難しくなっています。「アートのような世界観を持つ美容室」という一点で記憶に残す狙いは、価格競争に巻き込まれたくない店舗にとって有効な選択です。下部にきちんと予約導線が用意されている点も見逃せません。世界観を作ることと、行動を促すことを両立させています。

neuler|2カラムでリラクゼーションを演出

梅田のマシンピラティススタジオneulerは、左にナビゲーション、右に施術中の写真を配した2カラム構成です。ベージュのソフトな色調が採用されています。

【制作者目線】ピラティスという「穏やかさ」を売りにする業態にとって、彩度の低いベージュは正しい選択です。原色に近い色を使うと、リラクゼーションよりも「エネルギッシュさ」を連想させてしまいます。2カラムはスプリットよりも実用寄りの構成で、ナビゲーションを常時表示しながら情報を探せる作りになっています。

【発注者目線】体験レッスンの予約CTAが右上に固定配置されている点が重要です。世界観づくりに寄せすぎると予約導線が埋もれるサイトをよく見ますが、このサイトは「穏やかな世界観」と「迷わず予約できる動線」を両立しています。実店舗を持つ美容・健康系サービスは、ここが成果に直結するポイントです。

花王メリット Osolo とココパーム|シングルページで日常に寄り添う

シングルページ構成の代表例として、花王メリットのOsolo特設サイトとココパームのブランドサイトが挙げられます。

Osoloは、洗濯物を干すカップルの自然体な写真をメインビジュアルに据え、ブルーグリーンのアクセントで清潔感を演出しています。ココパームは、海・岩・緑といった自然素材のコラージュビジュアルを画面全体に広げ、環境への配慮を軸にしたブランドコピーで姿勢を伝えています。

【制作者目線】どちらもシングルページで、スクロールに合わせて写真とコピーを交互に配置する構成です。この形式は、複数ページに分けて情報を探させるよりも、ブランドが伝えたい順番どおりにストーリーを追わせられるという特徴があります。特にココパームは「環境意識」という抽象的な価値観を、写真のコラージュという視覚言語で語らせている点が丁寧です。

【発注者目線】新しい価値提案(Osoloの「ペアで使う」という提案、ココパームの「環境に配慮した」という提案)をユーザーに理解してもらうには、情報を断片的に見せるより、一本のストーリーとして読ませたほうが伝わりやすいというのがこの2件から読み取れる共通点です。新商品や新ブランドの立ち上げ時にシングルページが選ばれやすい理由がここにあります。


Shopifyメタフィールドで商品ページに独自項目を追加する実装手順|定義からLiquid出力まで

BOTANISTやOsoloのような特設ページをShopifyやECサイトで作る場合、商品情報を独自の形で持たせたい場面が出てきます。メタフィールドの実装手順はこちらにまとめています。


カラーが分散する理由|”業種の色”より”ブランドの色”

カラーが分散する理由|”業種の色”より”ブランドの色”

レイアウトには明確な傾向があった一方で、カラーは8系統に分散していました。これは偶然ではなく、業種特性として説明できます。

美容・健康・化粧品は「誰に何を提案するか」がブランドごとに大きく異なる業種です。同じ化粧品でも、資生堂の肌グミ洗顔はパステルカラーのカラフルな配色で若年層に「楽しさ」を訴求していますし、コスメキッチンのホリデー特集は赤白ストライプでクリスマスという季節性を前面に出しています。

【制作者目線】資生堂の肌グミは、ハート型・リボン型のグミ状洗顔料をパステルカラーで散りばめたビジュアルが特徴です。透明感のあるテクスチャ表現と手書き風の擬音コピーが、新カテゴリ商品の「楽しさ」を直感的に伝える設計になっています。一方コスメキッチンは、赤白ストライプという季節限定の強い配色を使いながらも、カテゴリ別の導線はきちんと整理されており、購買行動を妨げない工夫がされています。

【発注者目線】この2件を比べると分かるのは、「誰に売るか」と「何を伝えたいか」が決まっていれば、色は業種の慣習に縛られなくてよいということです。肌グミは新しい体験価値を若年層に伝えたいので遊び心のある配色を、コスメキッチンは季節商戦という文脈を伝えたいので季節を象徴する配色を選んでいます。発注時に「美容系だからこの色」と決め打ちするのではなく、「誰に何を伝えたいか」から逆算して色を決めるべきだという教訓がここにあります。

もうひとつの例として、SALONIAのNiziUコラボ特設ページは白基調の1カラム構成です。白背景にロゴとナビゲーションだけをシンプルに配置し、ヘッダーの充実したナビでユーザーを他コンテンツへ誘導する設計は、美容家電ブランドらしいクリーンさを保ったまま機能性を確保している例と言えます。

色選びを決める2つの軸
誰に伝えるかターゲット層の感性に合う彩度・色相を選ぶ
何を伝えるか季節性・新規性・清潔感など訴求内容を決める
色を決める業種の慣習ではなく上の2軸から逆算する

この流れが示すとおり、色は「業種だから」ではなく「誰に・何を」から逆算して決めるべきものです。美容・健康・化粧品カテゴリでカラーが分散しているのは、各ブランドがこの逆算を丁寧に行っている結果だと考えられます。


シングルページ構成のブランドサイトでは、商品ラインナップやギャラリーを横スクロールで見せる場面がよくあります。JS不要で実装する方法はこちらです。


自社サイトに活かすポイント

自社サイトに活かすポイント

ここまでの分析を、実際にサイトを検討する際の判断材料としてまとめます。

  • 色を先に決めない。9件のカラーが分散していたように、美容・健康・化粧品には「勝ちパターンの色」は存在しません。ターゲット層への訴求内容が決まってから色を選ぶ順番を守ることが、他ブランドとの差別化にもつながります。
  • 世界観と行動導線は両立できる。美容室らふるやneulerの事例が示すとおり、アートやリラクゼーションといった世界観を追求しても、予約・購入への導線を犠牲にする必要はありません。むしろ両立させているサイトほど成果につながりやすいと考えられます。
  • 新商品・新ブランドの立ち上げにはシングルページが向く。OsoloやココパームのようにコンセプトをストーリーとしてPRしたい局面では、複数ページに分散させるより、一本の流れで読ませる構成のほうが伝わりやすい傾向があります。
  • スプリットレイアウトは”見せたいもの”が2つあるときに機能する。BOTANISTの香りとコピー、らふるのアートと機能情報のように、性質の異なる2つの要素を同居させたいときに検討する価値があります。

美容・健康・化粧品カテゴリは件数こそ多くありませんが、それぞれのサイトが「誰に・何を・どう伝えるか」を丁寧に設計している点で学びが多い分野です。自社サイトのリニューアルを検討する際は、まず自社ブランドが「世界観型(スプリット・シングルページ)」なのか「実用型(1カラム・2カラム)」なのかを見極めることから始めるとよいでしょう。


よくある質問

よくある質問

美容室やサロンのサイトはどんなレイアウトが向いていますか?

今回の分析では、美容室らふるがスプリットレイアウトを採用し、アートビジュアルとテキスト情報を分離することで世界観と予約導線を両立させていました。ピラティススタジオneulerは2カラムで、ナビゲーションと施術写真を常時並べる実用的な構成です。店舗の世界観をどこまで前面に出したいかによって選ぶとよいでしょう。

化粧品・美容ブランドのサイトに決まった色の傾向はありますか?

今回調査した9件では、ベージュ系が2件で最多だったものの、ピンク・ホワイト・グレー・レッド・ブルー・グリーン・カラフルと8系統に分散していました。業種として統一された色の傾向はなく、各ブランドがターゲット層と訴求内容から個別に色を選んでいると考えられます。

新商品のプロモーションサイトはどんな構成にすべきですか?

花王メリットOsoloや資生堂の肌グミのように、新しい価値提案や新カテゴリの商品を伝えるプロモーションサイトでは、シングルページ構成でストーリーとして見せる例が複数見られました。情報を断片的に探させるより、伝えたい順番で読ませる構成が向いています。

スプリットレイアウトはどんな場面で使うべきですか?

BOTANISTのようにビジュアルとコピーを対等に見せたい場合や、美容室らふるのように世界観の演出と機能的な情報(予約導線など)を同居させたい場合に有効です。性質の異なる2つの要素を、互いを邪魔せずに並べたいときに検討するとよいでしょう。

この記事のデータは何件を対象にしていますか?

Soreiine!!に掲載中のサイトのうち、美容・健康・化粧品カテゴリに分類される9件を対象にしています。件数は多くありませんが、実サイトを丁寧に見ることでカテゴリ特有の傾向を読み取っています。