業界・事例

文房具・生活用品のWebサイトデザイン事例6選|傾向と自社サイトへの活かし方

この記事の対象: 文房具・生活用品ブランドのWeb担当者、EC・コーポレートサイトの制作を検討している方
読了時間: 約8分

Soreiine!!には数多くのWebサイトを掲載していますが、そのうち「文房具・生活用品」カテゴリに分類されるものは6件です。数としては決して多くありませんが、この6件を並べてみると、業種特有の「見せ方の型」がくっきり浮かび上がってきます。

今回はこの6件を色使いとレイアウトの2軸で分類し、なぜその傾向になるのかを制作者目線で読み解きます。あわせて、実際の事例を1つずつ紹介しながら、自社サイトのリニューアルやLP制作に活かせるポイントを探っていきます。


データで見る傾向|グリーン系とシングルページが目立つ理由

データで見る傾向|グリーン系とシングルページが目立つ理由

まず数字から確認します。掲載6件のカラー傾向は以下の通りでした。

カラー系統 件数
グリーン系 2件
イエロー系 1件
ベージュ系 1件
グレー系 1件
ブルー系 1件

レイアウトの傾向はこちらです。

レイアウト 件数
シングルページ 2件
グリッドレイアウト 2件
1カラム 1件
スプリットレイアウト 1件

6件という母数ではっきりした「業界の定石」と言い切るには早いのですが、グリーン系とシングルページがそれぞれ2件ずつという結果は、生活用品というジャンルの性質を反映していると考えられます。

グリーンは「自然」「安心」「環境への配慮」を想起させる色で、食器や柔軟剤のように暮らしに寄り添う商品との相性が良いためよく選ばれます。またシングルページ構成は、1つの商品やコラボ企画にフォーカスして世界観を一気に見せたいプロモーションサイトで採用されやすい形式です。生活用品はブランドの世界観そのものが購買動機になりやすいため、ページ遷移で集中を切らさない設計が好まれるのだと考えられます。

6件のカラー×レイアウトの組み合わせ

グリーン系(2件)

  • グリッド(ECサイト)
  • シングルページ(コーポレート)

イエロー・ベージュ・グレー・ブルー(各1件)

  • グリッド/1カラム/スプリット/シングルページ

同じ「グリーン系」でも、EC訴求とブランド訴求ではレイアウトの選び方がまったく違う。

同じグリーン系でも、目的によってレイアウトの選び方が正反対になっている点が興味深いところです。この後、実例で具体的に見ていきます。


実例紹介|6サイトを1つずつ読み解く

実例紹介|6サイトを1つずつ読み解く

フェリシモ「100枚便せん特集ページ」|グリッドで“ギャラリー感”を出す

100 LETTER SHEETS FOR WRITERS & ART LOVERS

ミントグリーンの背景に、アンティーク調のカードイラストが散りばめられた特集ページです。100枚すべて柄違いという商品特性を活かし、グリッドレイアウトでカードをずらりと並べる「ギャラリー」のような見せ方をしています。

【制作者目線】
商品数が多いほどグリッドは効果を発揮しますが、単に並べるだけだと単調になりがちです。このページはミントグリーンの背景色とアンティーク調のイラストという2つの統一感で全体をまとめつつ、カードごとの個性を殺していません。「バリエーションの多さ」を魅力に変える設計として参考になります。

【発注者目線】
中央にSNSシェア機能のモーダルを配置しているのも見逃せないポイントです。特集ページ単体で終わらせず、ソーシャル拡散までを設計に組み込んでいます。商品点数が多い企画では、単なる商品一覧ではなく「見て楽しいギャラリー」として作ることで、シェアされやすさそのものがマーケティング効果を持つようになります。

studio CLIP×ノラネコぐんだん|イエローとキャラクターで賑わいを作る

コラボレーションページ

イエロー基調にキャラクターイラストが画面を駆け回る、賑やかで楽しいデザインです。中央にはノラネコ柄ブランケットに包まれた親子の写真を配置し、右サイドには円形アイコンでStory・Lineup・Aboutが整理されています。

【制作者目線】
キャラクターコラボは「原作の世界観をどこまで壊さずに再現できるか」が勝負どころです。パン柄のアイコンなど、原作の細かなモチーフを装飾に落とし込んでいる点に、原作ファンへの目配りが感じられます。

【発注者目線】
商品写真だけでなく「使用シーン」を親子の写真で見せているのが効果的です。生活用品は機能説明よりも「これを使う暮らしのイメージ」が購買を後押しします。キャラクターの賑やかさと生活シーンの落ち着きのバランスが、このページの説得力を作っています。

studio CLIP×キューライス|ベージュとシーン別構成で暮らしを提案

Find Fun Friends

ベージュを基調にした温かみのある背景に、鹿・うさぎ・にんじんなどの脱力系キャラクターが配置されたコラボ企画です。at Kitchen、at Living Room、at Study Roomとシーン別にアイテムが紹介されています。

【制作者目線】
1カラムのシンプルな構成ながら、シーンごとにセクションを区切ることで情報の見通しを良くしています。派手な演出をせずとも、キャラクターの表情とベージュの色調だけで「くすっと笑える」トーンを保てているのは、イラストの力に頼った良い設計判断です。

【発注者目線】
「どこで使うか」をキッチン・リビング・スタディルームと生活動線で分けて提示しているため、来訪者は自分の暮らしに当てはめて商品をイメージしやすくなります。生活用品の紹介ページを作るなら、商品カテゴリではなく生活シーンで区切る発想は真似しやすいポイントです。

リンナイ青山ショールーム|グレーとスプリットでハイエンドを演出

Rinnai Aoyama

ダークグレーの背景に「Rinnai Aoyama」の白いテキストが右寄せで置かれた、極めてミニマルなサイトです。住所とGoogle Mapsリンクが添えられているだけの構成です。

【制作者目線】
情報量を極限まで絞り、スプリットレイアウトで余白を大胆に使うことで「上質さ」を演出しています。ガスコンロや給湯器メーカーというイメージを持つ企業が、南青山にブランド拠点を構えたことを、装飾ではなく「引き算」で表現している点が特徴的です。

【発注者目線】
生活用品メーカーであっても、ショールームという「体験の場」を訴求する場合はEC的な賑やかさは不要です。むしろ情報を絞ることで来訪への期待感を高めています。オンラインで完結させず、実店舗・ショールームへの動線として設計されたサイトの好例です。

ソダテルラボ「育てる柔軟剤」|ブルーとシングルページで商品を主役にする

ソダテルラボ

水色のボトルが泡のパーティクルとともに画面中央に大きく配置されたプロモーションサイトです。左サイドにTOP・ABOUT・FEATURES・PRODUCTS・Q&A・NEWSのナビゲーションが縦に並んでいます。

【制作者目線】
シングルページ構成で、ボトルというプロダクトそのものをヒーロービジュアルの主役に据えています。泡のパーティクルという動きのある演出で「洗うたびふんわり変わる」という商品体験を視覚的に翻訳しているのが巧みです。

【発注者目線】
「質感が変わる」という体験価値は、写真や文章だけでは伝わりにくいものです。動きのあるビジュアル表現に投資することで、他の柔軟剤と横並びで比較されるのではなく「体験そのもの」を売る訴求に成功しています。差別化が難しい生活消耗品カテゴリでの、1つの解決策と言えます。

竹中金網(食器メーカー)|グリーンとシングルページで理念を語る

自然の息吹を感じる食器メーカーのコーポレートサイト

深い緑の山間の渓谷写真をフルスクリーンで展開したサイトです。言葉による説明は最小限に抑えられています。

【制作者目線】
食器メーカーのサイトでありながら、商品写真ではなく「自然の風景」をファーストビューに置く判断は勇気がいるものです。しかし素材や産地へのこだわりという、文章では伝わりにくい企業姿勢を、風景写真1枚で雄弁に語らせています。ビジュアルファーストの設計思想が徹底されています。

【発注者目線】
「何を作っているか」より先に「どういう姿勢で作っているか」を伝える設計です。競合との機能比較で戦うのではなく、ブランドの背景にある価値観に共感してもらう戦略を取る場合、この見せ方は非常に有効です。


自社サイトに活かすポイント

自社サイトに活かすポイント

6件を並べて見えてきたのは、「同じ生活用品ジャンルでも、目的によって色とレイアウトの組み合わせは正反対になる」という点です。

目的別に見る色とレイアウトの選び方

商品数を見せたい(EC・特集)

  • グリッドレイアウトで一覧性を確保
  • 統一色で乱雑さを抑える
  • SNSシェア導線を組み込む

世界観・体験を見せたい(ブランド・プロモーション)

  • シングルページで集中を切らさない
  • 写真や演出でヒーロービジュアルを主役に
  • 情報を絞って余白で語る

このように整理すると、「うちのサイトは何を優先すべきか」の判断がしやすくなります。商品点数が多く比較検討してもらいたいならグリッド、ブランドの世界観や体験価値で選んでもらいたいならシングルページ、という基本軸を押さえておくとよいでしょう。

色についても、グリーン系が2件選ばれていた背景には「自然・安心・暮らしへの寄り添い」という生活用品ジャンルとの親和性があります。ただし、この記事の事例が示す通り、グレーやブルーを選んでハイエンドさや清潔感を演出する道もあります。自社ブランドが伝えたい価値観に合わせて、色の意味から逆算して選ぶことが重要です。

制作面では、グリッドレイアウトを組むならタブUIやアコーディオンでカテゴリを整理する実装が有効です。

シングルページで縦スクロールの演出を作りたい場合は、CSSのscroll-snapを使った実装も選択肢になります。

また、EC構築でShopifyを使う場合は、グリッド表示の際に商品オプション(色・サイズ)の見せ方も検討事項になります。


よくある質問

よくある質問

文房具・生活用品サイトのデザインで最も選ばれている色は何ですか

Soreiine!!掲載6件の中ではグリーン系が2件で最多でした。ただし母数が6件と少ないため、業界全体の絶対的な傾向とまでは言い切れません。自然・安心・暮らしへの寄り添いを連想させる色として選ばれやすい傾向はあると考えられます。

シングルページとグリッドレイアウトはどちらを選ぶべきですか

商品点数が多く比較検討を促したい場合はグリッド、1つの商品やブランドの世界観に集中させたい場合はシングルページが向いています。今回の事例でも、EC系の特集ページはグリッド、ブランドやプロモーションのページはシングルページを採用する傾向が見られました。

生活用品ブランドのコラボ企画ページを作る際のポイントは何ですか

紹介したstudio CLIPの2事例のように、原作キャラクターの世界観を装飾の細部まで再現することと、商品を「生活シーン」に落とし込んで見せることがポイントです。機能訴求だけでなく、使用シーンの写真やイラストで暮らしのイメージを喚起する設計が効果的です。

コーポレートサイトで商品写真を使わずに企業理念を伝える方法はありますか

竹中金網の事例のように、自然の風景写真をフルスクリーンで見せる手法があります。商品そのものではなく、素材や産地へのこだわりといった背景にある価値観を、写真1枚で表現するアプローチです。文章での説明が難しい姿勢や世界観を伝えたい場合に有効です。

制作費用はどのくらいを見ておけばよいですか

シングルページのプロモーションサイトか、複数階層を持つグリッド構成のECサイトかで工数は大きく変わります。実装の複雑さ(動きのある演出の有無、商品バリエーション数、CMS連携の要否)によって見積もりの幅は変動するため、具体的な予算感は要件を整理したうえで制作会社に条件ベースで確認するのが確実です。