業界・事例

自動車・バイク・自転車のWebサイトデザイン傾向|掲載5件を分類してわかったこと

この記事の対象: 自動車・バイク・自転車業界のWebサイト制作を検討している発注者、業界サイトのリニューアルを担当する制作者
読了時間: 約8分

Soreiine!!に掲載している全162件のうち、自動車・バイク・自転車カテゴリは5件です。件数としては決して多くありませんが、だからこそ「このジャンルのサイトがどこに向かいがちなのか」がはっきり見えます。ホワイト系のカラーが3件、1カラムレイアウトが3件。数字だけ見ると単調に思えるかもしれませんが、実際に5件を1つずつ見ていくと、その「白」と「1カラム」の中身がまったく違うことに気づきます。この記事では実例をもとに、なぜこの業界がこの傾向に落ち着くのか、そして自社サイトに活かすならどこを見るべきかを整理します。


掲載5件を数字で見る

まず全体像です。カラーとレイアウトの内訳は以下の通りでした。

区分 内訳
カラー ホワイト系 3件/レッド系 1件/ベージュ系 1件
レイアウト 1カラム 3件/シングルページ 2件
サイト種別 プロモーション系 3件/コーポレート型 2件

自動車・バイク・自転車という業界は、本来なら「スピード感」「力強さ」を連想させる黒や赤を使いたくなりそうなものです。ところが実際に掲載された5件のうち3件がホワイト系でした。これは偶然というより、このジャンルのサイトが背負っている役割を考えると納得できる結果です。

自動車メーカーの製品サイトやカーコーティングのような専門サービスサイトでは、「クリーンさ」「信頼性」「清潔感」を伝える必要があります。車という高額商品を扱う以上、派手な演出よりも先に「安心して任せられそうか」を伝える必要があり、その手段として白基調のデザインが選ばれやすいのだと考えられます。

レイアウトについても、1カラムとシングルページで5件中5件を占めました。自動車業界のサイトは複雑な比較表や多段のグリッドを避け、ユーザーを縦方向にまっすぐ誘導する構成を好む傾向があるようです。これは車という検討期間の長い商品において、情報を一度に全部見せるのではなく、スクロールに沿って段階的に理解させる設計思想の表れといえます。

自動車・バイク・自転車サイトのカラー傾向

ホワイト系(3件)

  • 製品サイト・特設ページ
  • 信頼性・清潔感を重視
  • 日産サクラ/arinomama Pro/ダイハツMOVE

レッド系・ベージュ系(各1件)

  • 地域密着型・企画色の強いサイト
  • 親しみやすさ・世界観重視
  • マルヨシ自動車/スズキ ラパン

この図から読み取れるのは、「白が多数派だが、少数派の2件にこそブランドの個性が出ている」ということです。次の章で、5件それぞれの中身を見ていきます。


実例で見る5サイト|同じ「白」「1カラム」でも中身は違う

スズキ ラパンの花柄プロモーションサイト

スズキ ラパン特設サイト|Soreiine!!掲載ページ

画面いっぱいに水彩タッチの花のイラストが描かれ、中央に「NEW Lapin」の優美なタイポグラフィが置かれています。バラやカーネーションといった多彩な花がパステルカラーで散りばめられ、自動車のプロダクトサイトとは思えないほど華やかな仕上がりです。

【制作者目線】自動車サイトの「王道」から意図的に外れた設計です。スペックや性能を前面に出さず、ラパンのブランドイメージである「かわいらしさ」だけに全振りしている点が特徴的。それでいてカタログ請求やオンライン見積りへの導線は上部にきちんと確保されており、世界観づくりとコンバージョン導線を両立させています。

【発注者目線】ターゲットが明確な商品だからこそ成立するデザインです。軽自動車の中でも「女性ユーザーに刺さる1台」という立ち位置が定まっているからこそ、ここまで思い切った表現に踏み切れます。自社の商品がどんな顧客に選ばれているかが曖昧なままこの手法を真似ると、単に浮いたデザインになるので注意が必要です。

日産サクラのプロモーションサイト「静かなサクラできいてみた」

日産サクラ特設サイト|Soreiine!!掲載ページ

日産の軽EV「サクラ」の静粛性をテーマにしたサイトです。「静かなサクラできいてみた」というタイトルは、EVの走行音が静かであることを、あえてポジティブな企画に変換した発想が光ります。

【制作者目線】EVの静粛性は、裏を返せば「エンジン音による高揚感がない」という弱点にもなり得ます。それを逆手に取り、「静けさ」自体をコンテンツの主役にしてしまう構成力が見どころです。スペック一覧を並べるだけの製品サイトとは一線を画し、体験価値を軸にしたコンテンツマーケティングとして機能しています。

【発注者目線】自社製品の「弱点になりかねない特徴」を、発想を変えて強みとして語り直せないかを考えさせられる事例です。車名「サクラ」の桜色を連想させる清潔感のあるカラーリングも、ブランドの一貫性を支えています。スペックで差別化しづらい商品ほど、体験や物語で語る余地があるということです。

カーコーティング専門店紹介 arinomama Pro

arinomama Professional|Soreiine!!掲載ページ

白い背景の中央に「arinomama PROFESSIONAL」のロゴだけを配したローディング画面が印象的です。装飾を極力排したクリーンな作りが、カーコーティングという「美しさ」「クリア感」を売りにするサービスの本質をそのまま体現しています。

【制作者目線】専門店検索サービスという性質上、過剰な演出よりも信頼性を優先した堅実な設計です。ロゴのみを見せるローディング演出は、実装コストを抑えつつブランドの第一印象を強く残す手法として理にかなっています。

【発注者目線】サービス自体の価値(=コーティングの仕上がりの美しさ)をそのままデザイン言語に翻訳できている好例です。何かを足すことで魅力を伝えようとするのではなく、引き算でサービスの本質を伝えるという選択肢を検討する価値があります。

ダイハツMOVE 30周年記念特設サイト

ダイハツMOVE 30周年特設サイト|Soreiine!!掲載ページ

30年愛され続けた軽自動車「MOVE」の歴史を振り返る特設ページです。白基調のクリーンなデザインの中に、カーラインナップやアクセサリー情報への導線が整理されています。

【制作者目線】長期にわたる商品の「歴史」を扱うコンテンツは情報量が多くなりがちですが、実用的なナビゲーション設計によって迷わせない工夫が見えます。周年企画特有の「振り返り」と「現行商品への送客」という2つの目的を、白基調のトーンで違和感なくまとめています。

【発注者目線】節目の年数(10周年・30周年など)を持つ商品がある企業にとって参考になる型です。過去の実績を単なる年表として見せるのではなく、現行ラインナップへの導線に結びつけることで、ブランドの歴史そのものを営業資産に変えています。

マルヨシ自動車のイラスト活用サイト

マルヨシ自動車|Soreiine!!掲載ページ

「まごころの車屋さん」をキャッチコピーに掲げる地域密着型の自動車整備会社です。整備士のイラストを大胆に使い、赤・青・白のコントラストが鮮やかなデザインに仕上がっています。信号機モチーフのSNSアイコンなど、細部の遊び心も光ります。

【制作者目線】大手メーカーのプロモーションサイトとは対照的に、イラストと原色に近いカラーで「親しみやすさ」を前面に出す設計です。信号機モチーフのような細かい仕掛けは、地域の車屋さんという業態に合わせたユーモアの効かせ方として秀逸です。

【発注者目線】大手と同じ土俵(高級感・クリーンさ)で戦うのではなく、「顔の見える安心感」で勝負する戦略が明確に表れています。地域密着型のサービス業ほど、整った白よりも人の温かみを感じさせる色使いとイラストの方が信頼につながりやすいケースがあります。



なぜホワイト系・1カラムに集まるのか

ここまでの5件を並べると、同じ「白」でも役割が違うことが分かります。日産サクラとダイハツMOVEは製品プロモーションとしての「信頼性」、arinomama Proはサービスの「本質そのもの」を白で表現していました。一方、白を選ばなかった2件(ラパンのベージュ、マルヨシのレッド)は、いずれも明確な差別化戦略の結果として色を選んでいます。

自動車・バイク・自転車サイト制作の判断フロー
ターゲットの明確化誰に何を信じてもらいたいか
信頼優先か個性優先か大手品質訴求か地域密着か
色とレイアウトの選定白+1カラムか、独自色+企画型か
導線の確保カタログ・見積り・問い合わせへの動線

この判断フローが示す通り、色やレイアウトは「見た目の好み」で決めるものではなく、ターゲットと訴求ポイントから逆算して選ばれるべきものです。1カラム・シングルページが多いのも同じ理由で、車という検討期間の長い商品を、ユーザーに迷わせず段階的に理解させる導線として機能しています。

情報量が多くなりがちな業界サイトでは、ページ構成そのものの設計が肝になります。カスタム投稿タイプでラインナップやモデルの一覧を管理する場合は、こちらの記事も参考になります。

また、日産サクラやダイハツMOVEのような特設ページ・周年企画サイトでは、コンテンツをスクロールに沿って段階的に見せる設計が要になります。見出しごとの構成を追従させたい場合はこちらが役立ちます。

車種比較やアクセサリー一覧のような画像を多く扱うページでは、表示速度の劣化が離脱に直結します。特に製品写真が多いプロモーションサイトほど、この対策は欠かせません。



自社サイトに活かすポイント

5件の実例から見えてきたことをまとめます。

  • 白基調は「無難」ではなく「信頼の翻訳」である。デザインに迷った時に安易に白を選ぶのではなく、「なぜ白を選ぶのか」を言語化できているかを確認する
  • 1カラム・シングルページは情報の多さを解決する手段。比較表を並べるより、ユーザーの検討フローに沿って段階的に情報を出す方が、車のような高額・長期検討商品には向いている
  • 大手と同じ土俵で戦わない選択肢もある。マルヨシ自動車のように、地域密着型のサービス業では「親しみやすさ」を軸にした原色・イラスト活用が有効に働く場合がある
  • 導線は世界観づくりと同居させる。ラパンのように世界観に全振りしたサイトでも、カタログ請求やオンライン見積りへの導線は上部にきちんと確保されている

自社サイトを見直す際は、まず「うちは信頼優先か、個性優先か」を最初に決めることをおすすめします。そこが曖昧なまま色やレイアウトだけを他社事例から借りてきても、伝えたいメッセージとデザインがちぐはぐになりがちです。


よくある質問

自動車業界のWebサイトはなぜ白基調が多いのですか?

車という高額商品を検討してもらう上で、まず「信頼できそうか」を伝える必要があるためです。今回分析した5件でも、製品プロモーションサイトやサービス紹介サイトの多くが白基調を選んでおり、派手な演出より先に清潔感・信頼性を優先する傾向が見られました。

1カラムレイアウトはどんな業種に向いていますか?

検討期間が長く、情報を段階的に理解してもらう必要がある業種に向いています。自動車のように高額で比較検討に時間がかかる商品では、ユーザーをスクロールに沿ってまっすぐ誘導する1カラム構成が、情報の取捨選択を助ける役割を果たします。

地域密着型の自動車関連business(整備・修理など)は大手メーカーのデザインを真似るべきですか?

真似る必要はありません。今回紹介したマルヨシ自動車のように、大手メーカーとは異なる「親しみやすさ」や「顔の見える安心感」を軸にした色使い・イラスト活用の方が、地域密着型のサービス業には向いている場合があります。自社の強みが「信頼のブランド力」か「距離の近さ」かで、選ぶべきデザインの方向性は変わります。

プロモーションサイトとコーポレートサイトでデザインの考え方は変わりますか?

変わります。今回の5件でもプロモーション系3件・コーポレート型2件に分かれており、プロモーション系は世界観や企画性を優先する傾向、コーポレート型はナビゲーションの分かりやすさや信頼性の表現を優先する傾向が見られました。目的に応じてどちらの設計思想に寄せるかを最初に決めることが重要です。