この記事の対象: アパレルブランドのサイト制作・リニューアルを検討している発注者、業種特化のデザインを研究したい制作者
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Soreiine!!ギャラリーに掲載されているアパレル・ファッションカテゴリのサイトは5件。母数としては小さいものの、この5件を並べてみると「なぜこの業種はこの色・このレイアウトを選ぶのか」という共通の理屈が透けて見えてきます。今回はその5件を分類し、傾向の背景にあるビジネス的な判断まで踏み込んで解説します。
掲載5件の分類データ
まず数字から見ていきます。カラーとレイアウトの内訳は以下の通りです。
| カラー系統 | 件数 |
|---|---|
| ホワイト系 | 3件 |
| ネイビー系 | 1件 |
| オレンジ系 | 1件 |
| レイアウト | 件数 |
|---|---|
| グリッドレイアウト | 2件 |
| 1カラム | 1件 |
| スプリットレイアウト | 1件 |
| シングルページ | 1件 |
5件中3件がホワイト系という結果は、偶然というより業種特性の反映と考えられます。アパレルは「服そのものの色・質感」が主役の商材なので、背景がホワイト系であるほど商品写真の発色が正確に伝わり、ノイズが少なくなります。逆にネイビーやオレンジを選んだ2件は、いずれも単なる商品紹介ではなく「季節感」「生活感」といった世界観を打ち出す用途で使われていました。ここは後述の実例で具体的に見ていきます。
レイアウトはグリッドが最多の2件。これも商品点数や提案アイテムを並列に見せる必要があるアパレルならではの結果と言えるでしょう。
ホワイト系(3件)
- 商品写真の発色を最優先
- ブランドの上品さ・清潔感を担保
- 404ページ等の裏側でも一貫性を保てる
ネイビー・オレンジ系(2件)
- 季節や生活シーンの空気感を演出
- ギフト提案・世界観訴求に強い
- 差し色として温かみを付加
この図が示す通り、色数を絞ってホワイトを基調にするサイトは「商品を主役にしたい」という判断が先にあり、逆に有彩色を使うサイトは「シーンやストーリーを主役にしたい」という判断が先にあります。どちらが優れているという話ではなく、そのページで何を売りたいかで決まる、という点が重要です。
実例紹介

URBAN RESEARCHのホリデー特集(404エラーページ)
- URL: https://www.urban-research.jp/shop/pages/c-special-onlinestore-251121-holiday-campaign.aspx
- Soreiine!!掲載: https://soreiine.jp/?p=2427
実はこのページ、URBAN RESEARCHオンラインストアの404エラーページです。ブランドロゴを上部に置き、「ご指定のページが見つかりませんでした」というメッセージとトップページへの導線だけを示すシンプルな1カラム構成。白背景にブラウンのロゴカラーという控えめな配色が、ナチュラルで上品なブランドトーンを崩していません。
【制作者目線】404ページは通常のページ制作フローの中で後回しにされがちなパーツです。しかしこのサイトは、エラーページであってもブランドの世界観を維持する設計を貫いています。離脱の可能性が最も高い「想定外の遷移先」でこそ、丁寧な導線設計が効いてきます。制作費は案件の規模や既存デザインシステムの有無によって幅がありますが、404ページを別工程として見積もりに含めるかどうかで、後半の作業負荷が変わってきます。
【発注者目線】404ページの品質は検索エンジンやSNSからのリンク切れなど、あらゆる経路からユーザーが辿り着く可能性がある場所です。ここで「壊れたサイト」という印象を与えてしまうと、それまで積み上げたブランド信頼が一瞬で崩れます。制作会社に依頼する際は、トップページや商品ページだけでなく、404ページのデザインまで発注範囲に含めるべきです。見積もり時点で「エラーページ・お知らせ欄などの周辺ページも本体と同じトーンで作るか」を条件として明示しておくと、後工程での認識のズレを防げます。
ゴールドウインの感謝ギフト特集ページ
- URL: https://www.goldwin.co.jp/store/contents/thanksto/2025part1/
- Soreiine!!掲載: https://soreiine.jp/?p=2417
THE NORTH FACEなどを扱うゴールドウインによるギフト提案ページ。クリスマスツリーやプレゼントボックスを配したスタイリング写真を3カラムのグリッドで並べ、ギフト選びの楽しさを視覚的に演出しています。ネイビーの帯に「Thanks to」のタイポグラフィを重ね、「パートナーへ、自分へ、そして子どもたちへ」というコピーでギフトの贈り先を具体的に想起させています。
【制作者目線】3カラムグリッドは選択肢の多さを示すのに適したレイアウトですが、単に商品を並べるだけでは物量に埋もれてしまいます。このページは商品を生活シーンの中で見せることで、「使っている姿」を先に想像させてから購買への流れを作っています。ネイビーという寒色を使いながらも冷たい印象にならないのは、写真自体が温かみのあるシーンを切り取っているためです。
【発注者目線】ギフト提案は「誰に何を贈るか」で購買の意思決定が変わるカテゴリです。ターゲットを明示するコピーとグリッドレイアウトの組み合わせは、来訪者が自分の状況に当てはめやすく、結果的に離脱率を下げる設計になっていると考えられます。ギフト訴求のページを作る際は、単なる商品陳列ではなく「贈る相手」を軸にした構成を検討する価値があります。撮影点数が多くなるほど費用は上振れしやすいため、掲載アイテム数と撮影パターンを先に決めてから見積もりを取るとブレが少なくなります。
ウールリッチと星野リゾートの冬コラボLP
- URL: https://www.woolrich.jp/woolrichwonderfulwinter
- Soreiine!!掲載: https://soreiine.jp/?p=3056
アウトドアブランドWOOLRICHと星野リゾートBEB5軽井沢のコラボレーションLP。手描きイラストで冬のリゾートシーンを温かく描き、「WOOLRICH WONDERFUL WINTER ダウンと過ごす、特別な冬の物語」というコピーで季節感を演出しています。左にテキストとロゴ、右にイラストを配置するスプリットレイアウトが特徴です。
【制作者目線】写真ではなくイラストを採用している点が独特です。実写だと生々しくなりがちな「冬の贅沢な時間」というイメージを、手描きの柔らかいタッチで表現することで、コラボレーション先の星野リゾートの世界観とも自然になじんでいます。スプリットレイアウトはテキストとビジュアルの役割を明確に分離できるため、コピーをじっくり読ませたい訴求に向いています。
【発注者目線】ブランド同士のコラボレーションでは「どちらの世界観を優先するか」で衝突が起きがちです。このページはイラストという中間的な表現を採用することで、両ブランドの個性を薄めずに共存させています。他社とのコラボ企画を検討する際は、写真ではなくイラストという選択肢も交渉の余地として持っておくとよいでしょう。イラスト制作は撮影と違って天候やロケーションに左右されない分、修正回数やタッチの方向性をどこまで詰めるかで工数が変わる点は事前にすり合わせておく必要があります。
暮らしを彩るアパレルブランドkittoi
- URL: https://kittoi.com/
- Soreiine!!掲載: https://soreiine.jp/?p=3839
「みんなにいいが、きっとある。」をコンセプトにしたアパレルブランドのシングルページサイト。窓辺にかけられた白いワンピースの写真がメインビジュアルで、自然光とオレンジの壁が生活感のある温かい空間を演出しています。手書き風のロゴと「toi toi toi」の文字を重ね、ブランドの柔らかな世界観を表現。お知らせセクションには完売情報も掲載されています。
【制作者目線】オレンジという有彩色を壁面という「背景側」に使うことで、主役である白いワンピースの存在感を邪魔していません。色を使う位置を工夫すれば、有彩色でも商品を引き立てる設計は可能だという好例です。シングルページ構成はブランドの世界観を一気に伝えるのに適しており、情報量を絞ることで手書き風ロゴの柔らかさが際立っています。
【発注者目線】完売情報の掲載は、一見マイナスに見える情報ですが「人気があるブランドである」という社会的証明として機能しています。在庫状況を隠さず見せる誠実さが、かえって信頼感につながっていると考えられます。小規模ブランドがシングルページで勝負する際は、情報を絞り込みつつも「人気の証拠」だけは残す判断が有効です。ページ数が少ない分、単価は抑えやすい構成ですが、写真の質と手描き要素のクオリティに予算を寄せる判断が結果を左右します。
クレヨンしんちゃんの日本製Tシャツ
- URL: https://crayonshinchan-japancrafts.jp/
- Soreiine!!掲載: https://soreiine.jp/?p=2737
クレヨンしんちゃんをモチーフにした日本製クラフトアパレルのECサイト。白背景にランダム配置された写真が浮遊するようなグリッドレイアウトが特徴で、家族やカップルがTシャツを着用した生活シーンを切り取っています。
【制作者目線】通常のグリッドは整然と並べることが多いですが、このサイトはあえて配置をランダムにすることで単調さを避け、余白を大胆に取ることで高級感を演出しています。キャラクターグッズという「カジュアルになりがちな商材」を、上質なライフスタイル提案として見せる工夫が随所にあります。
【発注者目線】キャラクターIPを扱う商品は往々にして「安っぽい」印象を持たれやすいカテゴリです。このサイトは余白とグリッドの崩し方だけでその先入観を覆しています。ライセンス商品を扱う事業者にとって、デザインの質でブランド価値を底上げできることを示す好例です。IP監修が入る案件は確認フローが増える分スケジュールが伸びやすいため、デザイン工数とは別に監修往復の期間を見込んでおくと計画が立てやすくなります。
自社サイトに活かすポイント
ここまでの5件から見えてきた傾向を整理すると、アパレル・ファッションサイトの設計は以下のフローで考えると迷いにくくなります。
とくに見落とされがちなのが4番目です。URBAN RESEARCHの事例が示すように、トップページや商品ページばかりに力を入れて、エラーページや通知欄が手つかずになっているケースは少なくありません。制作を依頼する際は、目立つページだけでなく「普段見られない箇所」までブランドトーンが行き届いているかを確認することをおすすめします。
Shopifyでアパレルサイトを構築する場合、商品ページのバリエーション表示や在庫切れ表示の作り込みも購買体験に直結します。あわせて読んでおくと実装の解像度が上がるはずです。
グリッドレイアウトで商品を並べる構成にする場合、画像点数が増えるぶんページ表示速度への配慮も欠かせません。画像の読み込み方法は以下の記事で解説しています。
また、ギフト特集やコラボLPのような期間限定ページを頻繁に作るブランドであれば、Shopifyのセクションをテンプレートごとに出し分ける仕組みを持っておくと運用が楽になります。
よくある質問
アパレルサイトの背景色はなぜホワイトが多いのですか?
商品写真の発色を正確に見せることが最優先されるためです。今回の5件でも3件がホワイト系で、いずれも商品そのものが主役のページでした。有彩色を使う場合は、商品ではなく季節感や生活シーンを主役にしたいという意図がある場合に選ばれる傾向が見られます。
グリッドレイアウトはどんな時に向いていますか?
商品点数やスタイリング提案の数が多く、選択肢の幅を見せたい場合に向いています。今回の事例ではギフト特集やキャラクターグッズのECサイトでグリッドが採用されており、いずれも「複数の選択肢から選んでほしい」という設計意図が共通していました。
シングルページ構成はアパレルブランドに向いていますか?
ブランドの世界観を一気に伝えたい小規模ブランドには向いています。kittoiの事例のように、情報量を絞り込みながらも在庫状況などの重要情報は残すことで、信頼感とコンパクトさを両立できます。ただし商品点数が多いブランドには不向きな場合があります。
404ページのデザインまで発注に含めるべきですか?
含めるべきです。URBAN RESEARCHの事例が示すように、404ページはリンク切れなどで想定外に訪れるユーザーが多い場所です。ここでブランドトーンが崩れると、それまでのページで築いた信頼感が損なわれる可能性があります。見積もり段階で対象ページに含めるかどうかを制作会社に確認しておくと、後からの追加費用を避けやすくなります。
アパレル以外の業種でも今回の傾向は参考になりますか?
「主役を明確にしてから色とレイアウトを決める」という判断フローは業種を問わず応用できます。ただしアパレルは商品自体の色・質感が命であるという特性が強く出ているため、他業種では主役の定義そのものが異なる点に注意が必要です。


