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Web制作の修正依頼の伝え方|違和感を言語化するコツ【2026年】

この記事の対象: Web制作を外注していて、デザインの修正をうまく伝えられず困っている発注担当者
読了時間: 約12分

デザイン案が上がってきた。悪くはない。でも「なんか違う」。

この違和感をどう言葉にすればいいか分からず、「もう少しシュッとした感じで」「もっと高級感を出してほしい」と曖昧な言葉を投げてしまった経験はないでしょうか。

制作会社のディレクター経験から正直に言うと、「なんか違う」は制作側にとってもかなり困る依頼です。何をどう直せばいいか分からない。結果、制作者の解釈で修正が入り、「そうじゃないんだけど…」とさらにやり取りが増える。お互いにとって不幸なループです。

この記事では、デザインの違和感を「伝わる言葉」に変換するための具体的な方法を紹介します。特別な知識は必要ありません。見るべきポイントと、伝え方の型を知っているかどうかの差です。


「なんか違う」を制作側はどう受け取っているか

「なんか違う」を制作側はどう受け取っているか

制作者が本当に困る修正依頼のパターン

制作現場で対応に苦慮する修正依頼には、共通するパターンがあります。

よくある修正依頼 制作側が内心で思っていること
「もっとおしゃれにしてください」 おしゃれの基準が人によって違う。誰にとっての?
「なんか違うんですよね…」 何が違うか分からないと手が動かない
「もう少しインパクトが欲しい」 文字を大きくする?色を変える?写真を差し替える?
「社長がダメって言ってます」 社長が何をダメと感じたのか、そこを聞きたい
「前に見たサイトみたいな感じで」 どのサイトのどの部分を指している?

共通しているのは、「何が引っかかっているか」が分解されていないことです。

制作者はデザインの修正指示を受け取ったとき、「どの要素を」「どの方向に」「どの程度」変えるかを判断します。「なんか違う」だけでは、この3つのうちどれも分かりません。手探りで直すしかなくなり、結果として的外れな修正になりやすいのです。

「感覚的な指示」が悪いわけではない

これは発注者が悪いという話ではありません。

デザインの違和感は最初、言葉になっていない状態で感じるのが普通です。「なんか違う」と感じること自体は正しい反応で、むしろその感覚こそが重要な判断材料になります。

問題なのは、その感覚を分解しないまま伝えてしまうことです。少しの手間をかけて「何が引っかかっているか」を特定するだけで、修正の精度はまったく変わります。


違和感を分解する5つの観点

違和感を分解する5つの観点

「なんか違う」と感じたとき、次の5つの観点からどこに引っかかっているか確認してみてください。すべてに当てはまる必要はありません。引っかかるポイントが1つでも特定できれば、修正依頼の精度は格段に上がります。

1. 色・トーン

もっともよくある違和感の正体が「色」です。

確認するポイント:

  • メインカラーが自社のブランドカラーと合っているか
  • 全体の色味が明るすぎる/暗すぎると感じないか
  • 色の数が多すぎて散漫に見えないか
  • 競合他社のサイトと似すぎていないか

伝え方の例:
「メインの青が鮮やかすぎて、落ち着いた印象にならないと感じます。彩度を抑えた紺に近い青にできますか?」

2. レイアウト・余白

要素の配置や余白に関する違和感です。

確認するポイント:

  • 情報が詰まりすぎて窮屈に見えないか
  • 逆に余白が多すぎてスカスカに感じないか
  • 最初に目に入る情報が、伝えたい情報と一致しているか
  • スマートフォンで見たときの並び順に違和感がないか

伝え方の例:
「ファーストビューに情報が多く、何を見ればいいか迷います。キャッチコピーと問い合わせボタンがまず目に入るようにしたいです。」

ページ内の情報の優先順位がそもそも整理できていない場合は、情報設計とページ構成の進め方を先に読んでおくと、修正依頼の精度が上がります。

3. 文字の大きさ・書体

意外と見落とされやすいのが文字まわりの違和感です。

確認するポイント:

  • 見出しと本文の大きさの差は適切か
  • 書体(フォント)の印象がサイトの内容に合っているか
  • 行間が詰まりすぎて読みにくくないか
  • 文字の色が背景に対して見づらくないか

伝え方の例:
「本文の文字が小さく感じます。40代以上の経営者が読むことを想定しているので、もう少し大きくしてほしいです。」

4. 写真・画像

写真素材の選び方ひとつで、サイト全体の印象は変わります。

確認するポイント:

  • 写真の雰囲気がサイトのトーンと合っているか
  • 素材写真っぽさが気にならないか
  • 自社の実態と写真のイメージにギャップがないか
  • 人物写真の表情や服装がターゲットに合っているか

伝え方の例:
「トップの写真が大企業の高層オフィスに見えます。従業員10名の会社なので、もう少し身近で親しみのある雰囲気の写真にしたいです。」

写真や原稿の素材準備は、デザイン修正以前にサイトの出来を左右します。準備の進め方については素材準備の記事でまとめています。

5. 全体の印象・世界観

個々の要素ではなく、サイト全体から受ける印象への違和感です。もっとも言語化が難しい部分でもあります。

確認するポイント:

  • 「自社らしさ」が伝わるかどうか
  • ターゲットのお客さんが見たとき、どう感じそうか
  • 同業他社のサイトと並べたとき、埋もれないか
  • 3年後に見ても古く感じなさそうか

この観点だけは、デザインの話だけでは解決しにくい性質があります。「自社らしさ」を伝えるには、そもそも自社が何を大事にしていて、誰に届けたいのかを整理しておく必要があるからです。

この整理ができていないまま制作に入ると、デザインの修正が「好みの話」になりやすく、関係者が増えるほど収拾がつかなくなります。「なぜWebサイト制作は事業整理から始まるのか」で触れている通り、最初に事業の方向性を揃えておくことが、結果的にデザイン修正の手戻りを防ぎます。



修正依頼を伝えるときの基本の型

修正依頼を伝えるときの基本の型

違和感を分解できたら、次は「伝え方」です。修正依頼1件につき、以下の4つの要素を含めると制作者が迷いません。

修正依頼を組み立てる4つの要素
どこ対象の場所を特定する
何がどの要素が気になるか
なぜ引っかかる理由を添える
どうしたい方向性を示す

この4要素がそろっていると、制作者は修正の意図を正確に汲み取れます。完璧な表現でなくて構いません。「どこの何が気になって、こうしたい」が伝われば十分です。

伝わらない書き方と伝わる書き方の違い

修正依頼の伝わり方を分けるもの

伝わる修正依頼

  • 対象箇所が明確
  • 気になる理由がある
  • 方向性を示している
  • 参考資料がついている

伝わらない修正依頼

  • 「全体的に」で済ませる
  • 感覚だけを共有する
  • 「おまかせで」と丸投げ
  • 口頭のみで記録がない

具体的に比べてみます。

伝わらない例:
「トップページ、もうちょっと洗練された感じにしてください。あと、全体的にインパクトが足りない気がします。」

伝わる例:
「トップページのファーストビューについて2点あります。
①キャッチコピーの書体が丸みを帯びていて、カジュアルな印象です。BtoB向けサービスなので、直線的な書体に変えて信頼感を出したいです。
②背景の写真がぼんやりしていて印象が弱いと感じます。サービス紹介ページにある機器の写真のような、くっきりした画像にしたいです。」

後者のほうが文字数は多いですが、制作者はほぼ一発で意図通りの修正ができます。やり取りの往復が減るので、結果的にかかる時間は短くなります。

参考サイトの伝え方にもコツがある

「こんな感じにしてほしい」と参考サイトを送ることもあると思います。このとき気をつけたいのは、参考サイトの「どこ」を参考にしてほしいかを明示することです。

NG: 「このサイトいい感じなので参考にしてください」→ 色のこと?レイアウト?写真の使い方?何を参考にすべきか分からない

OK: 「このサイトのトップページの余白の取り方と写真の配置バランスを参考にしたいです。色味やフォントは今のままで構いません。」

参考サイトを探す段階から制作会社と共有しておくと、好みのすり合わせが早い段階でできます。Soreiine!!ギャラリーのようなデザインギャラリーサイトを使うと、「この雰囲気が近い」「この配色はイメージと違う」といった会話がしやすくなります。


修正のやり取りを短くするためにできること

修正のやり取りを短くするためにできること

デザインの判断基準を事前に社内で決めておく

修正のやり取りが長引くケースの多くは、何をもって「良い」とするかの基準が社内で共有されていないことが原因です。

たとえば、こんな状況はよく起きます。担当者は「いいと思います」と返したのに、上司が見て「うちっぽくない」と差し戻し。上司の意見を反映したら、今度は別の役員が「地味すぎる」と言い出す。全員の好みに合わせようとして、最終的に誰にも刺さらないデザインになってしまう。

これを防ぐには、デザイン制作に入る前に「判断基準」を決めておくのが有効です。

  • 誰に向けたサイトか(ターゲットの具体像)
  • そのターゲットにどんな印象を持ってもらいたいか(信頼感、親しみやすさ、先進性など)
  • 絶対に避けたい印象は何か(安っぽい、古臭い、堅すぎるなど)
  • 最終的な承認者は誰か(決裁権を持つ人を明確にする)

この基準があれば、修正の場面でも「ターゲットの40代経営者にとって読みづらい」「避けたい『安っぽい印象』に近づいている」のように、基準に照らして伝えられます。好みの言い合いにならずに済みます。

「好み」と「目的」を意識して分ける

デザインの修正で気をつけたいのは、「自分の好み」と「サイトの目的に合っているか」を混同しないことです。

担当者個人としては「もっと明るい色が好き」だったとしても、ターゲットが求める信頼感を考えると落ち着いた色味のほうが適切な場合があります。

修正を検討するとき、自分に問いかけてみてください。「これは自分の好みの話か、それともサイトの目的に合っていない話か?」

好みの話であれば、制作者に「個人的には○○のほうが好きなのですが、ターゲットを考えるとどちらが適切ですか?」と聞いたほうが建設的です。プロの視点を引き出すことで、より良い判断ができます。

修正はまとめて・優先度をつけて伝える

思いつくたびに1件ずつ連絡するのではなく、ひと通り確認してからまとめて伝えるほうが効率的です。

  1. デザイン全体をひと通り見て、気になる点を書き出す
  2. 各修正を「どこ・何が・なぜ・どうしたい」で整理する
  3. 優先度をつける(「必ず直してほしい」「できれば」「相談したい」の3段階)
  4. まとめてメールやチャットで送る

優先度をつけるのは、制作者にとって非常に助かる情報です。すべてが同じ重みで送られてくると、全部を直すのか一部でいいのかが判断できず、スケジュールの見通しが立ちにくくなります。


修正がスムーズに進む制作には「上流の設計」がある

修正がスムーズに進む制作には「上流の設計」がある

修正のやり取りを繰り返していると、デザインの話だけで完結しているように見えるかもしれません。でも実際には、修正がスムーズにいくかどうかは、制作の最初の段階で何を決めたかに大きく左右されます。

「問いを立てる→デザインに落とし込む→作りきる→数字で確かめる→育て続ける」という流れで制作を進める考え方があります。この流れの中で、最初の「問いを立てる」段階で事業の方向性やターゲットが整理されていれば、デザインの判断基準が自然と明確になります。修正も「この問いに対する答えとして適切か」で判断できるので、「なんか違う」が起きにくくなるのです。

問いを立てないまま「とりあえずかっこいいサイトを」で進めてしまうと、戦略と制作がつながっていないため、修正のたびに方向性がぶれやすくなります。

サイトの目的や方向性がまだはっきりしていないなら、修正の伝え方を工夫する前に、まずそこを整理するほうが近道かもしれません。


よくある質問

よくある質問

デザインの修正回数に上限はありますか?

制作会社の多くは、契約時に修正回数の上限を設けています。「デザイン修正2回まで」「3回目以降は追加費用」といった条件が一般的です。見積書や契約書に記載されているはずなので、制作開始前に必ず確認してください。修正を的確に伝えることで、限られた回数を有効に使えます。

修正依頼はメールとチャットのどちらがいいですか?

記録が残る方法であれば、どちらでも問題ありません。大事なのは修正内容が文字で残っていることです。電話や口頭だけで伝えると認識のずれが生まれやすくなります。画面のスクリーンショットに赤字でコメントを入れて送るのも効果的です。ツールに迷ったら、制作会社が普段使っているものに合わせるのがスムーズです。

デザインの専門用語が分からなくても修正は伝えられますか?

伝えられます。専門用語を使う必要はありません。「この文字をもう少し大きく」「この部分の背景色をもっと薄く」のように、見たまま・感じたままの言葉で十分です。制作者が困るのは用語がないことではなく、「どこの何が気になっているか」が分からないことです。場所と理由を伝えることのほうがずっと重要です。

修正を依頼するタイミングはいつがベストですか?

デザインカンプ(完成イメージのデザインデータ)の確認段階で伝えるのがベストです。コーディング(HTMLやCSSでの実装作業)に入ったあとにレイアウトを大きく変えると、作り直しの工数が発生し、追加費用や納期の延長につながることがあります。制作会社から「デザインの確認をお願いします」と連絡が来た段階で、承認者も含めてしっかり確認しましょう。

上司の「ダメ出し」をそのまま制作会社に伝えていいですか?

「社長がダメと言っています」だけでは、制作者は対応に困ります。可能であれば、何がダメなのかをもう一歩掘り下げて聞いてみてください。「どの部分が気になりますか?」「どんな印象にしたいですか?」と聞くだけで、修正の方向性が見えてきます。もし上司自身も言語化できない場合は、この記事で紹介した5つの観点を一緒に見ながら「色?レイアウト?写真?」と一つずつ確認してみるのも手です。


まとめ

デザインの修正依頼で大事なのは、デザインの知識ではなく「分解して伝える」という姿勢です。

  • 「なんか違う」と感じたら、5つの観点(色、レイアウト、文字、写真、全体の印象)のどこに引っかかるか確認する
  • 修正依頼は「どこ・何が・なぜ・どうしたい」の4要素で整理して伝える
  • 判断基準を事前に共有しておくと、修正のやり取りが短くなる
  • 好みと目的を分けて考えることで、修正の方向性がぶれなくなる

デザインの修正は、発注者と制作者の対話そのものです。伝え方を少し変えるだけで、やり取りの回数が減り、仕上がりの満足度も上がります。

「何が引っかかっているかを分解して伝える」——この習慣を身につけるだけで、制作会社とのやり取りは確実に変わります。