この記事の対象: 制作会社の見積書に「修正2回まで」と書かれていて不安を感じている発注担当者
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見積書を開いたとき、「デザイン修正:2回まで。以降は別途費用」という一文に目が止まったことはないでしょうか。
「たった2回で理想のデザインになるのか」「追加費用はいくらかかるのか」――初めてWebサイトの制作を外注するなら、不安になって当然です。そもそも修正の進め方自体がわからない状態ですから。
ただ、修正回数の制限には制作側なりの理由があります。そしてその理由を知ったうえで確認の段取りを工夫すれば、2回の修正でも十分に納得できるデザインに仕上げることは可能です。
この記事では、回数制限の背景にある制作側の事情を開示したうえで、限られた回数の中でデザインの精度を上げる進め方を具体的に解説します。
「修正2回まで」は制作会社の怠慢ではない

見積書の修正回数を見て「ケチっている」と感じるかもしれません。ですが、回数を区切ることには発注側にもメリットがあります。
修正回数を区切る3つの理由
① 品質を守るため
デザインは方向性を定めてから細部を詰めていく工程です。回数の区切りがないと「とりあえず出して、あとで直せばいい」という進め方になりがちで、全体の統一感が少しずつ崩れていきます。「今回の修正で何を確定させるか」を意識せざるを得ない状況のほうが、1回ごとの確認が丁寧になり、結果として仕上がりの質が上がります。
② 費用を予測可能にするため
修正が無制限だと、制作会社は「最悪のケース」を見込んで見積もりを高く設定するしかありません。回数を区切ることで見積もりの精度が上がり、発注側にとっても予算が読みやすくなります。見積書の読み方についてはホームページ制作費用の内訳|見積書の読み方と比較の判断軸【2026年】で詳しく解説しています。
③ プロジェクトを前に進めるため
修正のやり取りが延々と続くと、デザイン工程だけで数か月かかることがあります。公開予定日を守るためにも、確認→修正→確認のサイクルに区切りを設けるのは合理的な判断です。
修正回数の「相場」はどのくらいか
制作会社によって異なりますが、一般的にはデザイン修正の上限を2〜3回に設定している会社が大半です。
| 修正回数の設定 | 傾向 |
|---|---|
| 2回まで | 中小規模の制作会社やコストを抑えたプランに多い |
| 3回まで | 中〜大規模の制作会社の標準プランに多い |
| 回数制限なし | 高単価プランやリテイナー契約に限られる |
「2回」と聞くと心もとなく感じますが、後述する確認の進め方を押さえれば、2回でも十分に機能します。
何が「修正1回」にカウントされるのか
ここがトラブルになりやすいポイントです。
制作会社ごとにカウント方法は異なりますが、一般的には「フィードバックをまとめて提出し、制作会社が修正を反映する」という1往復が「1回」です。10箇所の修正を1回にまとめて出せば「1回」、同じ10箇所を3回に分けて出すと「3回」消費します。
ここで注意したいのは、修正の「回数」と「箇所数」は別の概念だということ。多くの制作会社は「回数」で区切っており、1回あたりの箇所数には上限を設けていないケースが大半です。ただし大幅な方向転換を含む場合は「仕様変更」として別扱いになることがあります(後述)。
契約前に確認しておくべき3つのポイント:
- 「1回」のカウント方法(1往復か、1箇所か)
- 1回あたりの修正箇所に上限はあるか
- 対象工程はどこまでか(デザインだけか、コーディング後の調整も含むか)
見積書に明記されていなければ、契約前に書面で確認しましょう。口頭での「大丈夫ですよ」は、担当者が変わった瞬間に意味をなくします。
追加費用が発生するパターンと金額の目安

修正回数を超えた場合にどのくらいの費用がかかるのか。見積もり段階で把握しておけば、予算に余裕を持たせる判断ができます。
「修正」と「仕様変更」の境界線
追加費用の話の前に、「修正」と「仕様変更」の違いを押さえておきましょう。制作会社にとってこの2つはまったく別物です。
修正(回数内)
- 決まった方針の中での調整
- 色味・余白・文字サイズの変更
- 写真の差し替え
- 文言の微調整
仕様変更(別途費用)
- 方針そのものの変更
- ページ構成の追加・削除
- レイアウトの全面やり直し
- 承認済みデザインの方向転換
「修正」は決定済みの方向性の中での微調整、「仕様変更」は方向性自体を変えることです。見積書の「修正2回」は前者を指していることがほとんどで、後者は別途見積もりになります。
厄介なのは、発注側からすると「ちょっとした変更」に見えるものが、制作側では「仕様変更」に該当するケースがあること。
| 依頼の内容 | 制作側での扱い |
|---|---|
| メインビジュアルの写真を変えたい | 素材の差し替え → 修正 |
| 見出しのフォントサイズを大きくしたい | スタイルの調整 → 修正 |
| やっぱりトップページにスライダーを入れたい | 構造の追加 → 仕様変更 |
| ページの並び順を全部変えたい | 情報設計のやり直し → 仕様変更 |
迷ったときは、修正を依頼する前に「これは修正の範囲内ですか?」と確認するのが確実です。後から「仕様変更なので別途費用です」と言われるより、事前に線引きを共有しておくほうがお互いにストレスがありません。
追加修正の費用感
修正回数を超えた場合の追加費用は、修正内容と規模によって変動します。一般的な目安は次の通りです。
| 修正の内容 | 追加費用の目安(1回あたり) |
|---|---|
| テキスト・色味など軽微な調整 | 5,000〜15,000円 |
| レイアウトの部分的な変更 | 15,000〜50,000円 |
| ページ全体のデザイン再制作 | 50,000〜150,000円 |
制作会社や契約内容によって幅があるため、見積もり段階で「修正回数を超えた場合の費用の算出方法」を確認しておくと安心です。作業時間で計算する会社もあれば、作業内容ごとに固定単価を設けている会社もあります。
修正回数を無駄にしない確認の進め方

ここからが実践編です。限られた修正回数の中で納得のいくデザインに仕上げるための進め方を紹介します。
デザイン確認の前に社内で決めておくこと
修正回数を浪費する最大の原因は、社内の意見がまとまっていない状態でフィードバックを出すことです。
よくあるのが、担当者が「これでOKです」と返答した後で、上司や役員から「やっぱりここを変えてほしい」と追加の修正が入るパターン。これだけで1回分が消えます。
デザイン確認の前に、最低限やっておくべきことは3つです。
- 決裁者を明確にする ── デザインの最終判断を誰がするのか、プロジェクト開始時に決めておく
- 確認期間を設ける ── デザインが届いたら、社内関係者全員の意見を集める期間(3〜5営業日)を確保する
- 判断基準を共有する ── 「なんとなくイメージと違う」ではなく、何を基準に判断するかを事前に合意する
社内の体制づくりについてはホームページの社内担当者の決め方|体制づくりで進行が変わる【2026年】も参考にしてください。
フィードバックを「1回」にまとめる方法
修正依頼はできるだけ1回にまとめて出すのが鉄則です。
フィードバック収集シートを用意する
社内の関係者にデザインを見てもらう際、次のような項目を設けた共有シート(スプレッドシートでもドキュメントでも構いません)を作っておくと、意見がバラバラに届く事態を防げます。
| 記入項目 | 記入例 |
|---|---|
| 該当ページ・箇所 | トップページ メインビジュアル |
| 現状 | 青系の背景に白文字 |
| 修正希望 | 背景を白に変え、文字を濃紺にしたい |
| 理由 | ターゲット層(40代経営者)に落ち着いた印象を与えたい |
「理由」の欄があることで、制作会社が意図を汲み取りやすくなり、的外れな修正になるリスクが減ります。
期限を切ることを遠慮しない
社内の確認依頼に期限を設けないと、いつまでも意見が出続けます。「○月○日の17時までに記入してください。期限後のフィードバックは次回にまとめます」と明確に伝えることで、修正回数を計画的に使えます。
デザイン確定前に「方向性の確認」を挟む
修正回数を減らすうえで最も効果的なのは、作り込みに入る前に方向性を合意することです。
方向性やラフ案の段階で「イメージと違う」を解消しておけば、デザイン案での手戻りは大幅に減ります。この段階を省略すると、修正回数を消費したうえに仕上がりも中途半端になりがちです。
方向性を伝えるときは、Soreiine!!のギャラリーで参考サイトを探してみてください。「このサイトの雰囲気が近い」「ここの配色は好みだけど、レイアウトはもっとシンプルがいい」と実際のサイトを見せながら伝えるほうが、言葉だけで説明するより格段にイメージを共有しやすくなります。
修正依頼の伝え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
修正の「回数」ではなく「精度」を上げる考え方

修正回数を気にするあまり「とりあえずOKにしよう」と妥協してしまうのは本末転倒です。少ない回数でも精度の高い修正ができる状態を作ること。それには、制作の進め方そのものが関わってきます。
「何を作るか」の前に「なぜ作るか」を共有する
修正が繰り返される案件には共通するパターンがあります。サイトの目的や「誰に何を届けるのか」がぼんやりしたまま制作に入っているケースです。
目的が曖昧なまま進むと、デザインの良し悪しを判断する基準がありません。確認するたびに「なんとなく違う気がする」という感想しか出てこず、制作会社も修正の方向が定まらないまま回数だけが消費されていきます。
逆に、「中小企業の経営者が事業承継を検討する際、最初に訪れるサイトにしたい」「採用候補者が応募前に必ず見る会社紹介にしたい」といった具体的な目的が共有できていれば、デザインの判断は「この目的に合っているか」というシンプルな基準に収束します。
制作をうまく進めている会社に共通しているのは、デザインの前に「なぜこのサイトが必要なのか」「誰のどんな行動を変えたいのか」を言語化するステップを踏んでいることです。いきなり「どんなデザインにするか」から入るのではなく、まず「問い」を立てるところから始めると、デザインの方向性がブレにくくなり、修正の回数も自然と減っていきます。
「何を作るか」だけ伝えて「なぜ作るか」を共有しないまま進めると、修正は確実に増えます。制作の前段階を丁寧に進めることの意味についてはなぜWebサイト制作は事業整理から始まるのか|最初に問うべきことでも掘り下げています。
戦略と制作がつながっていないと修正が膨らむ
修正が増えやすいもうひとつの構造的な問題があります。サイトの戦略を考える人と、デザインを作る人と、公開後に運用する人がそれぞれ別になっているケースです。
戦略を考えたコンサルタントの意図がデザイナーに正確に伝わっていない。デザインの意図が運用担当に共有されていない。工程の切り替わりのたびに認識のズレが生まれ、そのズレが修正という形で表面化します。
戦略と制作と運用が分断されると、各工程での判断基準がバラバラになり、デザインの一貫性も少しずつ失われていきます。修正回数の問題も根は同じです。一貫した意図がプロジェクト全体に通っていれば、各工程での判断がブレにくくなり、結果として修正も減ります。
制作会社を選ぶ際は、修正回数の上限だけでなく「戦略から制作、運用まで一貫して関われる体制か」という観点も加えてみてください。修正の多さは、回数の設定ではなく制作体制の分断から生まれていることが少なくありません。
戦略・制作・運用が分断するとどんな問題が起きるかは戦略・制作・運用の分断がブランドを薄める理由と、それを防ぐ進め方で詳しく解説しています。
まとめ
修正回数の制限は、制作の質を保ち、費用と期間を予測可能にするための仕組みです。「たった2回」と不安になる必要はありません。回数を有効に使うためのポイントを振り返ります。
- 契約前に確認する ── 「1回」のカウント方法、「修正」と「仕様変更」の線引き、超過時の費用算出方法
- 社内の意見をまとめてから出す ── 決裁者を明確にし、確認期間を設け、収集シートを活用する
- 方向性を早い段階で合意する ── ラフ案や参考サイトの共有で「なんとなく違う」を潰しておく
- 「なぜ作るか」を言語化する ── 目的が明確なら判断基準もシンプルになる
修正回数の問題は、「何回まで直せるか」というテクニックの話に見えて、実は「どれだけ丁寧にゴールを共有できているか」というコミュニケーションの話です。「問い」を立てるところから制作会社と一緒に始められれば、回数を気にする場面そのものが減っていくはずです。
よくある質問

修正2回で足りなかった場合、必ず追加費用がかかりますか?
契約内容によります。多くの制作会社は見積書や契約書に超過時の扱いを明記しているため、まずはその記載を確認してください。軽微な調整であれば柔軟に対応してくれる会社もありますが、口約束に頼らず書面ベースで確認しておくのが確実です。
デザインがまったくイメージと違った場合も「修正1回」に数えられますか?
一般的にはカウントされます。ただし、制作会社側のヒアリング不足や方針の取り違えが原因であれば、回数に含めない対応をしてくれるケースもあります。大切なのはデザインの作り込みに入る前に方向性を合意しておくこと。ラフ段階での確認を挟めば、完成形が大きくズレるリスクを減らせます。
コーディング(実装)後の修正も回数に含まれますか?
契約内容次第です。「デザインの修正回数」と「コーディング後の調整回数」を別に設定している会社もあれば、すべて合算している会社もあります。コーディング後の修正はデザイン段階より工数がかかるため、費用も高くなる傾向があります。どの工程が修正回数の対象なのか、契約前に確認しておきましょう。
修正依頼は口頭とメールのどちらで伝えるべきですか?
必ず文面に残る形(メール・チャット・共有ドキュメントなど)で伝えてください。口頭での依頼は認識のズレや「言った・言わない」のトラブルにつながりやすく、修正回数のカウントでも揉める原因になります。修正箇所・現状・希望・理由を整理した一覧表を添えるのが理想です。
修正回数が「無制限」の制作会社を選んだほうが安心ですか?
一概にそうとは言えません。「修正無制限」を謳っていても、対象範囲が限定されていたり、そのぶん制作費が高めに設定されていたりします。回数の上限よりも、修正が少なく済む進め方(方向性の事前共有、社内合意の徹底)を実践するほうが、コストも品質も良い方向に向かうことが多いです。

