コラム

ロサンゼルス ホームページ制作の進め方|日本から依頼する判断軸

この記事の対象: ロサンゼルスで事業を立ち上げる/すでに現地法人を持ち、英語サイトを作りたい経営者・広報担当者
読了時間: 約9分

「ロサンゼルスでホームページを作りたい」と検索したとき、出てくるのは現地の制作会社の一覧か、日本の会社が「英語サイト対応可」と一行だけ添えたページか、だいたいどちらかです。ところが実際に発注する側が本当に迷っているのは、会社選びのもっと手前にあります。

日本から依頼するのか、現地に依頼するのか。ドメインは .com なのか .jp なのか。サーバーはどこに置くのか。日本語と英語、どちらを先に作るのか。そもそも「ロサンゼルス向けのサイト」と「英語のサイト」は同じものなのか。

ここを曖昧にしたまま見積を取り始めると、比較できない見積が3枚並ぶだけで終わります。この記事では、ロサンゼルス向けサイトを作るときに先に決めておくべきことを、日本の制作現場の目線から整理します。


まず「誰が読むサイトか」を3つに分ける

まず「誰が読むサイトか」を3つに分ける

「ロサンゼルス向け」とひとことで言っても、中身はまったく違う3種類のサイトに分かれます。ここを取り違えると、作った後で「思っていたものと違う」が起きます。

ロサンゼルス向けサイトの3分類

A. 現地の英語話者に向けるサイト

  • 言語は英語のみ
  • 単位・日付・通貨は現地式
  • 問い合わせ動線も現地時間前提

B. 現地の日本語話者・日系コミュニティに向けるサイト

  • 言語は日本語が主
  • 読み手は日本の商習慣を知っている
  • 日本のサイトとほぼ同じ作り方でよい

C. 日本の顧客に「LAで事業をしている」と伝えるサイト

  • 読み手は日本国内
  • 英語は雰囲気づくりの要素
  • 実質は国内向けコーポレートサイト

Cを求めているのにAの見積を取ると、翻訳費と現地SEOの分だけ高くなります。

多いのはCです。「LAに拠点があることを日本の取引先に伝えたい」という目的なのに、検索窓には「ロサンゼルス ホームページ制作」と打ってしまう。この場合、必要なのは日本の制作会社に発注する普通のコーポレートサイトで、英語ページは1枚あれば足ります。

BとCなら、日本の制作会社でほぼ問題なく作れます。時差の壁も、日本語でやり取りできる相手がいる分だけ薄くなります。判断が本当に分かれるのはAのときだけです。

Aを選ぶなら、何が変わるのか

英語話者に読ませるサイトは、翻訳の話ではありません。作りそのものが変わります。

項目 日本国内向け LAの英語話者向け
電話番号 市外局番から表記 国番号付き・営業時間はPT表記
住所 都道府県から Street / City / State / ZIP の順
日付 2026年9月18日 September 18, 2026
フォーム 郵便番号7桁・全角許容 ZIPは5桁または9桁・全角を弾く
問い合わせ返信 当日中が期待値 時差で翌営業日が前提。自動返信で明示する
改行の考え方 禁則処理と文節での折り返し 単語単位・長い単語の折り返し制御

この表のうち、実は一番事故になりやすいのはフォームです。日本のフォーム部品をそのまま英語に置き換えると、郵便番号のバリデーションが5桁のZIPを弾いてしまい、問い合わせが一件も届かないまま数ヶ月が過ぎる、ということが起きます。公開前に、必ず現地の住所形式で自分でテスト送信してください。


ドメインとサーバーを、どこに置くか

ドメインとサーバーを、どこに置くか

ここは後から変えるのが一番面倒な部分なので、制作に入る前に決めます。

ドメインは、Aの用途なら .com を強く勧めます。.jp は日本の組織であることを示す記号として働くため、現地の顧客からは「日本の会社が遠隔でやっている」という読み取られ方をします。それが強みになる業種(日本食材・日本製品の輸出入など)なら .jp や .com の両方を持つ選択もありますが、迷うなら .com 一本です。

サーバーの設置場所は、以前ほど順位への影響を気にする必要はなくなりました。ただし体感速度には効きます。日本のサーバーに置いたサイトを西海岸から開くと、物理的な距離の分だけ初回表示が遅れます。CDNを噛ませればほぼ解消できるので、「サーバーは日本、配信はCDN」という構成が現実的な落としどころです。

そしてもうひとつ、これが本当に大事なのですが——ドメインとサーバーの契約名義を、必ず自社にしてください。

制作会社の名義で取得されたドメインは、乗り換えのときに手放してもらえないことがあります。海外拠点が絡むと、決済に使ったカードの名義、契約者の居住地、支払い通貨まで絡んできて、移管の難度がさらに上がります。


現地に頼むか、日本に頼むか

これが最大の分岐です。結論から言うと、判断軸はコストではなく「誰が原稿を書くか」です。

発注先の選び方:判断の分かれ目

日本の制作会社に頼む

  • 要件の詰めが日本語で完結する
  • 修正のやり取りが速い
  • 日本の商習慣に沿った進行
  • 英語コピーは別途ネイティブに依頼する

現地の制作会社に頼む

  • 英語コピーが自然に仕上がる
  • 現地の慣習に沿った作り
  • 時差で1往復に1日かかる
  • 契約書・支払い・請求の形式が異なる

日本の制作会社に頼む場合、英語のコピーだけは別の人に任せることになります。ここを機械翻訳で済ませると、文法は合っているのに読んでいて落ち着かない文章になります。ネイティブチェックではなく、ネイティブライティングとして最初から英語で書いてもらうほうが、結局は安く早く終わります。

逆に現地に頼む場合、English での要件定義が発注側の負担になります。ワイヤーフレームの修正一つに1往復1日かかる前提でスケジュールを引く必要があり、急ぎの案件には向きません。

現実的な折衷案

実務でよくまとまる形はこれです。

設計は日本・言語は現地という分担
要件と設計日本の制作会社と日本語で詰める
日本語で原稿を確定伝えたい中身を先に固める
英語ライティング現地のライターに書き起こしを依頼
実装と公開日本側で組み、現地で最終確認

この順番のポイントは、英語化を「翻訳」ではなく「書き直し」として最後に置くことです。設計段階から英語で進めようとすると、要件の齟齬が言語の壁で見えなくなります。

見積を複数社から取る段階では、依頼内容のまとめ方そのものが比較の精度を決めます。こちらの記事のテンプレートがそのまま使えます。


検索から見た「ロサンゼルス ホームページ制作」というキーワードの実情

検索から見た「ロサンゼルス ホームページ制作」というキーワードの実情

「ロサンゼルス ホームページ制作」のような地域名を冠した制作系キーワードは、一般に検索ボリューム自体が小さいロングテールに分類されます。全国区の「ホームページ制作」に比べると月間の検索数は限られ、その分だけ上位に並ぶページの数も少なくなりがちです。

ここから読み取れることは2つあります。

ひとつは、検索ボリュームが小さいからこそ、上位に入れば競合がほとんどいない領域になりやすいということです。全国区のビッグキーワードで戦うより、地域名を含む具体的な検索意図に正面から答えるページを作るほうが、少ない本数でも上位を取りやすい傾向にあります。

もうひとつは、2ページ目以降に沈んでいるページは、存在していないのとほぼ同じということです。地域キーワードで集客を考えているなら、そのキーワードで自分が今何位にいるかを Search Console で確認するのが先です。順位が下位にとどまっているなら、ページを新しく増やすよりも、既存ページの中身を検索意図に合わせて書き直すほうが速く効くことが多いです。


Soreiine!!ギャラリーの実例から学べること

今回のテーマに直接対応するギャラリー掲載サイトは、現時点でこちらに用意できていません。事実として確認できていない事例をここに書くわけにはいかないので、代わりに、ギャラリーを見るときの視点だけ置いておきます。

海外向けサイトを企画するとき、参考サイトの探し方には順序があります。

  1. 同じ言語のサイトを探す前に、同じ「読み手の状態」のサイトを探す — 初めてその会社を知る人が開くのか、既に知っている人が確認しに来るのかで、ファーストビューの作りは変わります
  2. 業種で絞る前に、コンバージョンの種類で絞る — 問い合わせなのか、来店予約なのか、資料請求なのかで導線が変わります
  3. デザインの好みは最後に見る — 先に見ると、構造の良し悪しが判断できなくなります

Soreiine!!のギャラリーは業種とカテゴリで絞り込めるので、この順序で見ていくと、自社サイトに必要な要素が具体的に拾えます。「かっこいいサイト」を集める作業ではなく、「自社の読み手と同じ状態の人を、どう次の行動へ運んでいるか」を集める作業だと思ってください。

【制作者目線】
海外向け案件を受けるとき、デザインの前に確認すべきは文字組みです。英語は日本語より1文字あたりの幅が狭く、同じ文字数でも行の長さが変わります。日本語で組んだレイアウトに英語を流し込むと、行が間延びして読みにくくなる。本文の1行あたりの文字数(英語なら50〜75文字程度)を先に決めてから、カラム幅を決めるのが順序です。

【発注者目線】
英語サイトの制作費が日本語サイトより高くなる理由は、主に3つです。英語ライティング費、英語での校正・確認工数、そして日英2言語を管理する仕組み(多言語対応の設計)。このうち3つ目は、「英語ページを何枚作るか」で大きく変わります。全ページを2言語で作る必要が本当にあるのか、最初に絞り込むだけでコストの構造が変わります。


スケジュールで見落としやすいこと

スケジュールで見落としやすいこと

海外向けサイトで進行が遅れる原因は、制作工程そのものではなく、その周辺にあります。

工程 国内向けとの差
原稿の確定 日本語確定 → 英語化で1工程増える
写真素材 現地撮影が必要なら、渡航か現地手配の調整が入る
確認・承認 時差で1往復あたりの実時間が伸びる
法務まわり プライバシーポリシーの表記が国内と異なる場合がある
公開後の運用 更新依頼のタイミングが現地時間に引きずられる

このうち一番読み違えやすいのが原稿の確定です。日本語の原稿が固まっていない状態で英語ライティングに進むと、日本語が直るたびに英語もやり直しになります。「日本語を完全に確定させてから英語へ渡す」という一線を引くだけで、後半の手戻りが目に見えて減ります。

急ぎの案件で工程をどこまで縮められるかは、こちらの記事に工程別で整理してあります。


発注先を決める前に、この5つを埋める

発注先を決める前に、この5つを埋める

見積を取る前に、次の5つに答えられる状態にしてください。答えが埋まっていれば、どの会社に頼んでも比較可能な見積が返ってきます。

  • 読み手は誰か — 冒頭のA・B・Cのどれか。「両方」と答えたくなったら、優先順位を付ける
  • 英語ページは何枚必要か — 全ページか、会社概要と問い合わせだけか
  • 英語の原稿は誰が用意するか — 発注側か、制作会社か、別のライターか
  • 問い合わせを受けた後、誰がいつ返すか — 現地の担当者がいるか、日本から返すか
  • 公開後、誰が更新するか — 自社で更新するならCMSが要る。年に数回なら制作会社への都度依頼で足りる

4つ目と5つ目は忘れられがちですが、サイトの構造を決める要素です。問い合わせ対応が日本からになるなら、フォームに「返信はPTの翌営業日になります」と明記する必要があります。この一行があるかないかで、問い合わせ後の離脱がはっきり変わります。

自社で更新する前提なら、管理画面をどこまで触れるようにするかも先に決めておきます。WordPressで作る場合、不要な項目を隠しておかないと、納品後に「触ったら壊れた」という連絡が来ます。

費用の話をどう切り出すか

「ロサンゼルス向け」という条件が付くと、相場の目安が立てにくくなります。ただ、費用の考え方自体は国内案件と変わりません。ページ数と、機能と、原稿をどちらが用意するか。この3つで金額はほぼ決まります。

安い見積が出てきたときに、それが「効率がいい」のか「工程が省かれている」のかを見分ける観点は、こちらにまとまっています。

公開後にかかり続ける費用も、最初に足し上げておいてください。ドメイン、サーバー、CDN、SSL、保守。海外向けだとCDNが1項目増えます。


よくある質問

ロサンゼルス向けのホームページは、日本の制作会社に頼んでも大丈夫ですか

設計と実装は日本の会社で問題ありません。ただし英語のコピーだけは、機械翻訳や翻訳会社ではなく、英語で最初から書けるライターに任せてください。翻訳された英文は文法が合っていても読み手に違和感を残します。日本語の原稿を完全に確定させてから英語ライティングへ渡す順序を守ると、手戻りが減ります。

ドメインは .com と .jp のどちらを取るべきですか

現地の英語話者に向けるサイトなら .com です。.jp は日本の組織であることを示す記号として読まれるため、現地の顧客からは遠隔対応の会社と受け取られます。日本の顧客に「LAで事業をしている」と伝えるのが目的なら、.jp でも .com でも実害はありません。

サーバーはアメリカに置いたほうが有利ですか

順位への影響を気にする必要はほぼありません。ただし体感速度には効きます。日本のサーバーのままCDNを噛ませれば、西海岸からの初回表示は実用上問題ない水準まで縮みます。管理のしやすさを考えると、サーバーは日本・配信はCDNという構成が現実的です。

英語ページは全ページ分作る必要がありますか

目的次第です。現地で集客するなら全ページ必要ですが、「海外にも拠点がある」と示すのが目的なら、会社概要と問い合わせの2枚で足ります。全ページを2言語にすると、制作費だけでなく更新の手間も常に2倍になり続けます。ここを最初に絞り込むだけでコスト構造が変わります。

問い合わせフォームで気をつけることはありますか

郵便番号のバリデーションです。日本の7桁前提のまま英語ページに流用すると、5桁のZIPが弾かれて問い合わせが一件も届きません。公開前に、現地の住所形式で実際にテスト送信して、自社のメールボックスに届くところまで確認してください。時差があるため、自動返信に「返信は翌営業日になる」旨を書いておくことも有効です。

地域名キーワードで検索順位が上がらないときはどうすればいいですか

まず自社のページが今何位にいるかを Search Console で確認してください。地域名を含むキーワードは検索ボリューム自体が小さいため、少しの改善でも順位が動きやすい領域です。新しいページを作る前に、既存ページの見出し構成と本文が検索意図(誰が・何を知りたくて検索しているか)に沿っているかを見直すほうが、多くの場合は早く結果につながります。


まとめ

ロサンゼルス向けのホームページ制作で本当に決めるべきことは、制作会社選びの前にあります。

  • 読み手を3分類する — 現地の英語話者か、現地の日本語話者か、日本の顧客か。ここが全ての前提
  • ドメインとサーバーは名義を自社に — 海外が絡むと移管の難度が上がる。最初に押さえる
  • 英語は翻訳ではなく書き直し — 日本語を確定させてから、英語で書き起こす
  • 見積の前に5つの質問を埋める — 読み手・ページ数・原稿の担当・問い合わせ対応・更新体制
  • 地域キーワードは順位を先に見る — 下位にとどまっているなら、増やすより書き直すほうが速い

海外向けというだけで身構える必要はありません。設計の作法は国内案件と同じで、増えるのは「言語」と「時差」という2つの変数だけです。この2つをスケジュールと見積に明示的に組み込めば、進行は普通のコーポレートサイトと変わらなくなります。