この記事の対象: ホームページ制作の発注を検討しており、制作会社への見積もり依頼をこれから行う方
読了時間: 約12分
制作会社に見積もりを取ろうとして、「何をどう伝えればいいのか」で手が止まった経験はないでしょうか。
とりあえず電話やメールで「こういうサイトが欲しい」と伝え、3社から見積もりをもらった。ところが出てきた金額は50万円・120万円・200万円。比較のしようがありません。金額の差が「会社ごとの単価の違い」なのか、「含まれている作業が違う」のかが読めないからです。
この問題は、依頼内容の伝え方ひとつで解消できます。全社に同じ条件を渡せば、見積もりは「同じ土俵」に乗ります。この記事では、依頼内容に含めるべき項目と、そのまま使えるテンプレートを紹介します。
見積もりが比較できないのは「伝え方」の問題

相見積もりで金額に開きが出ること自体は珍しくありません。ただ、その差の中身がわからないと判断材料になりません。
制作の現場で繰り返し見てきたのが、こんなケースです。
- A社には電話で「5ページくらいのサイト」と伝えた
- B社にはメールで「ブログとお知らせ機能も欲しい」と書いた
- C社には打ち合わせで「デザインにこだわりたい」と話した
この3社の見積もりを並べて「A社が安い」と判断しても意味がありません。A社はブログ機能を含めていないかもしれないし、C社はオリジナル撮影の費用まで入れているかもしれない。
比較するために必要なのは、全社に同じ情報を、同じフォーマットで渡すこと。これだけで「金額差=各社の単価や提案力の差」になり、判断がつくようになります。
条件を揃えて依頼
- 金額差=単価・提案力の差
- 含まれる作業が明確
- 比較表を作成できる
口頭でバラバラに依頼
- 金額差=条件の差か不明
- 含まれない作業が見えない
- 「安い=良い」か判断不能
条件を揃えるだけで、見積もりの読み方が根本から変わります。
依頼内容に入れるべき12の項目

制作会社が見積もりを作るとき、最低限必要な情報があります。以下の12項目を押さえれば、どの会社に渡しても見積もりの精度が上がります。
| # | 項目 | 記載する内容 | 書く理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | サイトの目的 | なぜサイトを作る(作り直す)のか | 提案の方向性を決める判断材料 |
| 2 | ターゲット | 誰に見てほしいサイトか | デザインや導線設計の基準になる |
| 3 | ページ構成 | 必要なページの種類と大まかな数 | 制作ボリュームの算出に直結 |
| 4 | 必要な機能 | フォーム、ブログ、EC、予約など | 機能の有無で費用が大きく変わる |
| 5 | CMS | WordPress等の導入有無 | 構築方法と工数が変わる |
| 6 | デザインの方向性 | 参考サイトのURL+好きな理由 | デザイナーの工数見積もりに影響 |
| 7 | 素材の状況 | 写真・テキスト・ロゴの手持ち | 撮影やライティング費用の有無を判断 |
| 8 | ドメイン・サーバー | 既存の契約状況 | 初期設定や移管の工数に関わる |
| 9 | 公開希望時期 | いつまでに公開したいか | スケジュールと体制の判断材料 |
| 10 | 予算の目安 | 幅を持たせた金額帯 | 提案内容の取捨選択に使われる |
| 11 | 公開後の運用 | 更新頻度、保守の希望 | 月額費用・保守契約の見積もりに必要 |
| 12 | 選定スケジュール | いつまでに発注先を決めたいか | 制作会社側の稼働確保に影響 |
全項目を完璧に埋める必要はありません。「未定」「相談したい」と正直に書くほうが、制作会社も適切な提案を出しやすくなります。ただし、1・3・4・9の4項目は最低限埋めてください。ここが空白だと、制作会社は「念のため多めに見積もる」か「最小構成で見積もる」かの二択になり、いずれにしても比較に使える数字が出てきません。
項目ごとの書き方と、制作会社が見ているポイント

テンプレートの項目を埋めるとき、「何をどの粒度で書けばよいか」に迷うことがあります。制作会社がどこを見ているかを知っておくと、伝わる書き方ができます。
「目的」は数字で書けると提案の精度が上がる
「かっこいいサイトが欲しい」「古くなったのでリニューアルしたい」だけでは、制作会社は何を提案すればよいか判断がつきません。
- 月間の問い合わせを現在の5件から10件に増やしたい
- 採用ページからのエントリーを月3件以上にしたい
- 紙のカタログをやめてWebに情報を集約したい
サイトが達成すべき状態を書くと、提案の焦点が絞られます。目標の立て方に迷ったら、以下の記事が参考になります。
「ページ構成」は一覧にして渡す
「10ページくらい」ではなく、具体的にページ名を並べます。
- トップページ
- 会社概要
- 事業内容(3ページに分割)
- 実績紹介(一覧+詳細テンプレート)
- お知らせ(一覧+詳細テンプレート)
- お問い合わせ
- プライバシーポリシー
この一覧があれば、制作会社はページ数とテンプレートの種類を正確に数えられます。「実績紹介」が一覧と詳細のセットなのか、1ページに収めるのかで工数は変わるため、構成がわかる粒度で書いてください。
「予算」を書かないとフルスペック提案が返ってくる
予算を伝えることに抵抗がある方は少なくありません。しかし、書かなければ制作会社は「できる限り良いものを」とフルスペックの見積もりを出す傾向があります。結果、予算と大きくかけ離れた金額が返ってきて、お互いの時間が無駄になります。
「50〜100万円の範囲で検討中」のように幅を持たせた書き方で十分です。上限がある場合は「上限80万円」と明記したほうが、その枠内で最大限できることを提案してもらえます。
費用感を先につかんでおきたい場合は、費用シミュレーターで条件を入力してみると目安がわかります。
「デザインの方向性」はURLだけでなく理由を添える
参考サイトのURLだけ貼られても、制作会社は「全体の雰囲気が好きなのか」「ナビゲーションの使い勝手が気に入っているのか」「配色が好きなのか」を判断できません。
- ○○のサイト → トップの写真の使い方が好き
- △△のサイト → メニューの見やすさが理想に近い
- □□のサイト → こういう雰囲気は避けたい
「好き」の参考だけでなく、「こうはしたくない」という逆の参考を添えると、デザインの方向性がぶれにくくなります。
「素材」の有無で見積もりの幅が変わる
写真素材を自社で持っているか、撮影が必要かによって、見積もりが数十万円単位で開くことがあります。テキスト原稿も同様で、自社で用意するか制作会社にライティングを依頼するかで費用構成が変わります。
以下のように現状を箇条書きで添えるだけで十分です。
- 写真: 商品写真は手元にあり/社員・社屋の写真は撮影が必要
- テキスト: 会社概要は用意できる/事業内容のライティングは依頼したい
- ロゴ: Illustratorデータあり
そのまま使える依頼内容テンプレート

12の項目をまとめたテンプレートです。メール本文にコピーするか、Wordファイルに貼り付けて空欄を埋めてください。
■ サイト制作 依頼概要書
1. 会社情報
– 会社名:
– 担当者名・部署:
– 連絡先(メール/電話):
– 業種:
2. プロジェクト概要
– サイトの種類: □ 新規制作 □ リニューアル
– リニューアルの場合、現サイトURL:
– サイトの目的(具体的に):
– ターゲットユーザー:
3. サイト構成
– 必要なページ(ページ名を列挙):
– 参考にしたいサイトURL(理由も記載):
4. 機能要件
– □ 問い合わせフォーム
– □ ブログ/お知らせ更新機能
– □ EC機能(商品点数の目安: 点)
– □ 予約機能
– □ 会員機能
– □ 多言語対応(対応言語: )
– □ その他( )
5. CMS
– □ WordPress希望 □ Shopify希望 □ 相談したい □ 不要
6. 素材の状況
– 写真: □ 自社で用意可 □ 撮影を依頼したい □ 素材サイトの写真でOK
– テキスト原稿: □ 自社で用意可 □ ライティングを依頼したい
– ロゴ: □ データあり □ ロゴ制作も依頼したい
7. ドメイン・サーバー
– ドメイン: □ 取得済み( ) □ 新規取得希望 □ 相談したい
– サーバー: □ 契約済み(サービス名: ) □ 相談したい
8. スケジュール
– 公開希望時期:
– 発注先の決定時期:
9. 予算
– 初期制作費の予算目安:
– 月額の保守・運用予算(あれば):
10. 公開後の運用
– 更新頻度の想定:
– 更新作業の担当: □ 自社 □ 制作会社に依頼 □ 相談したい
– 保守(セキュリティ・バックアップ等)の希望:
11. 見積もりに含めてほしい情報
– □ ページごとの単価内訳 □ 修正対応の回数と範囲 □ 納品後サポートの内容と期間
12. その他
– 現サイトの課題や困っていること:
– 選定で重視するポイント(費用/実績/対応スピード等):
この概要書をさらに整えた「RFP(提案依頼書)」形式のテンプレートは、下記から無料でダウンロードできます。初期費用が200万円を超える規模や社内稟議が必要なプロジェクトでは、RFP形式のほうが社内合意もスムーズに進みます。
テンプレートを送るときに押さえておくこと

全社に同じ文書を渡す
メールなら同じ文面を送り、PDFやWordファイルを添付する形でも構いません。口頭で補足する場合も、ベースとなる文書は統一してください。会社ごとに口頭で伝える内容が変わると、条件がずれて見積もりの比較精度が落ちます。
空欄は「未定」と書く
決まっていない項目は「未定・提案を希望」と記入してください。空欄のままだと、制作会社は「書き忘れ」なのか「不要」なのか判断できず、確認のやり取りが往復します。
見積もりの出し方も指定する
依頼内容を揃えても、返ってくる見積書のフォーマットがバラバラだと結局比較しにくくなります。テンプレートの「11. 見積もりに含めてほしい情報」欄でフォーマットを揃えておくと、比較表がそのまま作れます。
見積書の読み方や金額差が出る構造については、こちらの記事で詳しく解説しています。
この流れを踏むだけで、「なぜこの会社が高いのか」「何が含まれていないのか」を読み取れる見積もりが揃います。
テンプレートを埋める前にやっておくこと

社内の窓口と決裁者を決める
制作会社とのやり取りは誰が担当し、最終的にOK/NGを出すのは誰かを先に決めてください。「担当者が持ち帰って上長に確認して、修正指示が入って…」の往復が増えると、スケジュールの遅延に直結します。依頼概要書に「窓口担当: 総務部○○/決裁者: 取締役○○」と明記しておくと、制作会社側もコミュニケーション設計がしやすくなります。社内体制の作り方はホームページの社内担当者の決め方|体制づくりで進行が変わる【2026年】で解説しています。
今のサイトの問題点を言語化する
リニューアルの場合、「なんとなく古い」「使いにくい」ではなく、何が具体的に問題かを書き出してください。
- スマートフォンで見ると文字が小さくて読みづらい
- お知らせの更新に毎回制作会社への依頼が必要で、費用と手間がかかっている
- 検索しても自社名以外のキーワードで表示されない
- 問い合わせフォームの項目が多すぎて途中離脱が多い
この情報があると、制作会社は「現状の何を解決するサイトか」を理解した上で提案を組み立てられます。依頼概要書の「12. その他」欄に書いてもよいですし、別紙で添えても構いません。
よくある質問

依頼内容は何社に送ればよいですか?
3〜5社が適切です。2社では比較軸が少なく、5社を超えると各社への対応だけで時間を取られます。規模や得意分野の異なる会社を混ぜると、提案内容に幅が出て判断材料が増えます。
予算を書くと足元を見られませんか?
予算を書かないほうがリスクは高くなります。制作会社は要件に対して「できる限り良いもの」を提案するため、金額の上限がわからなければフルスペックの見積もりが出やすくなります。「50〜100万円で検討中」のように幅を持たせて書くことで、その範囲内で最適な構成を提案してもらえます。
テンプレートの項目が埋められないときはどうすればよいですか?
決まっていない項目は「未定・提案を希望」と書けば問題ありません。ただし目的・ページ構成・必要な機能・公開時期の4項目だけは最低限埋めてください。この4つが空白だと見積もりの精度が大きく下がり、概算の幅が広がりすぎて比較に使えなくなります。
この依頼概要書とRFPは何が違いますか?
依頼概要書は「見積もりに必要な最低限の要件をまとめたもの」、RFPは「提案の評価基準や選定プロセスまで含む正式な文書」です。初期費用が200万円を超える規模や社内稟議が必要なプロジェクトではRFPを用意したほうが、選定の透明性も確保でき社内調整がスムーズに進みます。
メールで送ればよいですか?それとも打ち合わせで渡すべきですか?
メール本文に記載するか、PDFやWordファイルを添付する形で十分です。口頭だけで伝えると「言った・言わない」のトラブルにつながりやすいため、必ず文書として残してください。制作会社も文書があったほうが社内で正確に見積もりを回せます。
まとめ
依頼内容を整えることは、「良い見積もりを引き出す」ための最も確実な手段です。
やることはシンプルで、12項目を埋めたテンプレートを作り、全社に同じ文書を渡す。それだけで「金額の差が何の差なのか」が見えるようになり、発注先の選定にかかる時間と迷いは大きく減ります。
まずは上のテンプレートをコピーして、埋められるところから書き始めてみてください。



