リニューアルガイド

Shopifyでコーポレートサイト・EC兼用|分けない選択肢【2026年】

この記事の対象: 自社サイトのリニューアルやEC導入を検討している企業のWeb担当者・経営者
読了時間: 約25分

自社サイトをリニューアルしたい。ついでにECも始めたい。でも、コーポレートサイトとECサイトは別物だから、別々に作るのが普通――そう考えている方は少なくないはずです。

Web制作の現場では、この「分けて当然」という前提を疑わないまま2つのサイトを立ち上げ、更新や保守が二重になり、ブランドの印象がサイトごとにバラバラになっていくケースが後を絶ちません。

この記事では、Shopifyを使ってコーポレートサイトとECサイトを1つに統合する選択肢について、機能の事実・運用の現実・向き不向きの判断基準まで掘り下げて解説します。一方的にShopifyを推すのではなく、WordPressと分離すべきケースも正直に線を引きます。「うちの会社はどちらを選ぶべきか」を判断するための材料が、ここにそろっています。


コーポレートサイトとECサイト、なぜ多くの企業は分けてしまうのか

コーポレートサイトとECサイト、なぜ多くの企業は分けてしまうのか

「会社の顔」と「売り場」は別物という思い込み

コーポレートサイトは会社概要・理念・採用情報を載せる「名刺代わり」。ECサイトは商品を並べて購入してもらう「売り場」。この2つは目的が違うのだから、サイトも分けるべきだ――。こう考える方は非常に多いです。

確かに、コーポレートサイトとECサイトでは主な訪問者の行動が異なります。会社情報を調べに来た人と、商品を買いに来た人では、求めているものが違います。ただし、「行動が違う」ことと「サイトを分けなければならない」ことは、イコールではありません。

1冊の雑誌の中に、ブランドのストーリーを伝える記事と、その商品を購入できるページが同居していても、読者は混乱しません。むしろ、文脈がつながっているからこそ「この商品を買いたい」という気持ちが自然に生まれます。Webサイトでも同じことが起きます。

過去の技術的制約が残した慣習

10年前、ECサイトを作ろうとすれば、EC専用のシステム(カート機能・決済連携・在庫管理)を導入する必要がありました。当時の主要なCMS(コンテンツ管理システム=Webサイトの中身を管理するための仕組み)はECの機能を持っていなかったため、「コーポレートはWordPress、ECはEC専用カート」という構成が合理的だったのです。

この分業構造は当時の技術的制約から生まれた最適解であり、それ自体は間違いではありませんでした。問題は、技術が進化してその制約が消えた今でも、「分けるのが普通」という慣習だけが残っていることです。

制作会社側にも事情があります。コーポレートサイトとECサイトを別々に受注すれば、案件が2つになります。保守契約も2本になります。「分けたほうがいい」というアドバイスが、結果的に制作会社側の都合と一致してしまう構造がある点は、発注側として知っておいて損はありません。

分けること自体がコストを生む構造

2つのサイトを持つということは、2つのドメイン(またはサブドメイン)、2つの管理画面、2つの保守契約、2つのサーバー費用を持つということです。初期費用だけでなく、ランニングコストが恒常的に二重になります。

さらに見落とされがちなのが「人的コスト」です。お知らせを更新するとき、両方のサイトに同じ内容を反映しなければなりません。会社のロゴやカラーを変えたら、2つのサイトのデザインをそれぞれ修正する必要があります。この手間は、月に数時間というレベルではなく、「対応が遅れてどちらかのサイトが古い情報のまま放置される」という形で表面化します。

制作費を比較する際、「1つのサイトにまとめた場合」と「2つに分けた場合」のランニングコストを3年分で比較してみてください。差は想像以上に開きます。


分けた運用で実際に起きる4つの問題

分けた運用で実際に起きる4つの問題

「分けたほうが管理しやすい」と考えて2サイト構成にしたのに、運用が始まると逆の事態に陥る。このパターンには典型的な4つの症状があります。

更新の二重管理が起こす情報の劣化

コーポレートサイトに「新商品発売のお知らせ」を掲載する。ECサイトにも同じ商品のページを公開する。ここまでは対応できます。ところが半年後、商品のパッケージが変わったとき、ECサイトの画像は差し替えたのにコーポレートサイトのお知らせ記事は古い画像のまま――こうした「片方だけ更新漏れ」が当たり前のように起きます。

情報の劣化は、目に見えにくいからこそ厄介です。古い情報が残っていても、サイトがエラーを出すわけではありません。社内の誰かが気づくまで、ズレた情報が公開され続けます。お客様から「サイトに載っている情報と違うんですが」と問い合わせが入って初めて発覚することも珍しくありません。

ブランド体験の断絶

コーポレートサイトとECサイトを別々に制作すると、多くの場合、デザインのトーンがずれます。同時期に発注しても、担当デザイナーが異なれば微妙な違いが出ます。フォント、ボタンの形状、余白の取り方、写真のテイスト。1つ1つは些細な差でも、積み重なると「別の会社のサイトに飛ばされた」ような印象を訪問者に与えます。

企業サイトからECサイトに遷移したとき、URLが変わり、デザインが変わり、ナビゲーション構造が変わる。この体験は、ブランドへの信頼感を少しずつ削ります。特にBtoBの取引先や採用候補者が企業サイトを見た後にECサイトに遷移した場合、「この会社、ちゃんとしてるのかな」という印象を持たれるリスクがあります。

コーポレートサイトのデザインが持つ「信頼感」の要素について詳しく知りたい方は、コーポレートサイトの参考事例8選|デザインと構成のポイント【2026年】も参考にしてください。

ドメイン分散によるSEO評価の希薄化

検索エンジンは、ドメイン(Webサイトの住所にあたるもの)単位でサイトの評価を蓄積します。他のサイトからリンクされたとき、その評価はリンク先のドメインに蓄積されます。

コーポレートサイトが example.co.jp、ECサイトが shop.example.co.jpexample-shop.com のように分かれていると、被リンク(他サイトからのリンク)の評価がそれぞれに分散します。1つのドメインに集約していれば得られたはずの検索順位の押し上げ効果が、2つに割れてしまうのです。

ブログ記事をどちらのサイトに載せるかという問題も生じます。商品に関連する記事をECサイトに、会社の取り組みをコーポレートサイトに、と分けた結果、どちらのサイトのブログも記事数が少なくなり、検索エンジンから見た「このサイトはこの分野に詳しい」という評価が薄まります。

保守費用と契約先の二重化

2つのサイトを持つと、保守・運用の費用も二重になります。具体的にどんな項目が増えるのかを整理します。

費用項目 1サイト構成 2サイト構成
サーバー・ホスティング費用 1契約分 2契約分
ドメイン維持費 1ドメイン分 2ドメイン分
SSL証明書 1サイト分 2サイト分
CMS・プラットフォーム利用料 1プラットフォーム 2プラットフォーム
保守・更新代行費 1契約 2契約
デザイン修正・機能追加 1サイト分の見積もり 2サイト分の見積もり
担当者の管理工数 1つの管理画面 2つの管理画面を往復

この表の各項目が、年間を通じて発生し続けます。「分けたほうが安い」というケースは、特殊な事情がない限り成立しにくい構造になっています。


Shopifyはどこまでコーポレートサイトの役割を持てるか

Shopifyはどこまでコーポレートサイトの役割を持てるか

「ShopifyはECカートでしょう? 会社概要とか載せられるの?」という疑問は当然です。結論から言えば、Shopifyはコーポレートサイトに必要な機能の大部分を標準で備えています。

固定ページで企業情報を整備する

Shopifyでは「ページ」機能を使って、商品とは関係のない固定ページを自由に作成できます。

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 企業理念・ミッション
  • 沿革
  • アクセス情報
  • お問い合わせフォーム
  • プライバシーポリシー
  • 特定商取引法に基づく表記

これらはすべて、Shopifyの管理画面からHTMLやリッチテキストで作成・編集できます。WordPressの固定ページと同じ感覚で使えるため、EC機能の存在を意識せずにコーポレート情報を充実させることが可能です。

お問い合わせフォームもShopifyの標準機能として用意されています。テーマ(サイトのデザインテンプレート)に組み込まれたフォームを使えば、追加の費用をかけずに問い合わせ窓口を設けることができます。

ブログ機能でお知らせとコンテンツを発信する

Shopifyにはブログ機能が標準搭載されています。これは多くの人が見落としているポイントです。

ブログ機能でできること:

  • お知らせ・ニュース: 新商品の告知、イベント情報、会社のプレスリリース
  • オウンドメディア記事: 業界知識、ハウツーコンテンツ、お客様の声
  • SEOコンテンツ: 検索キーワードを狙った記事による集客

記事ごとにタイトル・本文・アイキャッチ画像・カテゴリ・タグを設定でき、SEOに必要なメタディスクリプション(検索結果に表示される説明文)やURL(パーマリンク)のカスタマイズにも対応しています。

WordPressほどブログ機能の拡張性は高くないものの、月に数本の記事を公開する程度の運用であれば十分に対応できます。ブログ記事から商品ページへの導線を自然に設計できる点は、ECプラットフォームならではの強みです。

ナビゲーションで会社情報と商品導線を統合する

サイトの使いやすさを左右するのがナビゲーション(グローバルメニュー)です。Shopifyでは、メニューの構造を管理画面から自由にカスタマイズできます。

たとえば、こんな構成が可能です:

コーポレート情報と商品導線を1つのグローバルメニューに統合した例

ホーム

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • アクセス
  • 沿革

商品一覧

  • カテゴリA
  • カテゴリB
  • カテゴリC

ブログ

お問い合わせ

下段はドロップダウンで開く項目です。会社を知るための導線と、商品を探すための導線が同じ階層に並びます。

コーポレート情報と商品カテゴリを同じグローバルメニューに並べることで、訪問者は「この会社が何をしていて、何を売っているのか」を1つのサイト内で把握できます。メニューの階層構造(ドロップダウン)も設定できるため、情報量が多くなっても整理しやすい仕組みです。

多言語・多通貨で海外展開にも対応する

将来的に海外展開を視野に入れている企業にとって、多言語・多通貨対応は重要な検討項目です。Shopifyはこれを標準機能としてサポートしています。

コーポレートサイトとECサイトを分けている場合、海外向けサイトを作ると「日本語コーポレート」「英語コーポレート」「日本語EC」「英語EC」と4つのサイトが必要になりかねません。1つのShopifyサイトに統合しておけば、多言語対応は1サイトの中で完結し、管理画面も1つのままです。

以下の表で、Shopifyが持つコーポレートサイト向けの機能を整理します。

機能 できること 補足
固定ページ 会社概要・採用情報・ポリシー等の作成 HTMLやリッチテキストで自由に編集可能
ブログ お知らせ・コラム・SEO記事の投稿 カテゴリ・タグ・メタ情報の設定に対応
ナビゲーション 会社情報と商品導線の統合メニュー ドロップダウンで階層化が可能
お問い合わせフォーム 標準テーマに組み込み済み カスタムフォームも実装可能
メタオブジェクト スタッフ・実績・事例などの構造化データ 次章で詳しく解説
多言語・多通貨 言語切り替え・通貨自動変換 1サイト内で完結。別サイト不要
カスタムドメイン 独自ドメインの使用 example.co.jp での運用が可能


メタオブジェクト・メタフィールドが変えるShopifyの可能性

メタオブジェクト・メタフィールドが変えるShopifyの可能性

Shopifyを「ECカートに毛が生えたもの」と見なす人はまだ多いですが、その認識を大きく覆すのがメタオブジェクト(metaobjects)とメタフィールド(metafields)という仕組みです。少し技術的な話になりますが、発注側としてこの仕組みを知っているかどうかで、制作会社との打ち合わせの質が変わります。

商品以外の構造化データを持てる意味

通常のECプラットフォームで管理できるデータは「商品」に紐づくものが中心です。商品名、価格、在庫数、説明文、画像。これらは商品データベースに格納されます。

メタフィールドは、この商品データに「追加の項目」を持たせる仕組みです。たとえば、商品ごとに「素材の産地」「製造者のコメント」「お手入れ方法」といった、標準項目にない情報を構造化された形で追加できます。

メタオブジェクトは、さらに踏み込んだ機能です。商品とはまったく関係のないデータの「型」を自分で定義して、管理画面から登録・編集できます。

スタッフ紹介・実績・導入事例への応用

メタオブジェクトを使うと、たとえば以下のようなデータを商品と同じ管理画面の中で一元管理できます。

  • スタッフ紹介: 名前、役職、プロフィール写真、自己紹介文
  • 制作実績・導入事例: クライアント業種、課題、解決策、成果の概要
  • 店舗情報: 店舗名、住所、営業時間、地図へのリンク
  • よくある質問(FAQ): 質問文と回答のペア
  • 受賞歴・メディア掲載: 受賞名、掲載媒体、日付

これらのデータは管理画面上でフォーム形式で入力でき、テーマ(サイトのデザイン)側で自動的に一覧ページや詳細ページとして表示される設計が可能です。

つまり、WordPressでカスタム投稿タイプ(投稿や固定ページとは別のコンテンツの型)を作って管理するのと似た運用が、Shopifyでもできるということです。

「ECカートに毛が生えたもの」ではない根拠

ここが、Shopifyを「コーポレートサイト兼ECサイト」として選ぶことの技術的な裏付けになります。

従来のECカートシステム(たとえばカラーミーショップやBASEなど)は、あくまで「商品を売る」ことに特化した設計です。会社概要ページを作ることはできても、それは「おまけ」であり、スタッフ紹介や導入事例を構造化データとして管理する仕組みは持っていません。

Shopifyのメタオブジェクトは、この制限を根本から取り払います。商品以外のあらゆるコンテンツを、「データとして管理し、デザインに反映する」という一気通貫の仕組みで扱えます。これがあるからこそ、コーポレートサイトとして必要な情報の幅と深さを、ECの管理画面と同じ場所でカバーできるのです。

ただし注意点もあります。メタオブジェクトを使いこなすには、テーマのカスタマイズができる制作会社に依頼する必要があります。管理画面でデータを登録しただけでは、サイトの表側には反映されません。「メタオブジェクトを活用したコーポレートサイト兼ECの設計ができるか」は、制作会社を選ぶ際の1つの判断基準になります。


Soreiine!!掲載サイトに見るShopify活用の幅

Soreiine!!掲載サイトに見るShopify活用の幅

ここからは、Webサイトギャラリー「Soreiine!!」に掲載されているサイトのデータをもとに、Shopifyが実際にどのように使われているかを見ていきます。掲載サイトはすべて他社が制作・運営しているサイトであり、Soreiine!!はデザインの参考として紹介しています。

EC以外のサイトにもShopifyが選ばれている

Soreiine!!にはShopifyで制作されたサイトも複数掲載されています。注目すべきは、その用途がECサイトだけにとどまらない点です。

掲載サイトの中には、商品販売を主目的としたECサイトのほかに、ブランドの世界観を伝えることに重心を置いたブランドサイトや、作品紹介を主目的としたポートフォリオサイトも含まれています。ブランドサイトやポートフォリオは、本来ならWordPressや静的サイトで構築されることが多いジャンルですが、Shopifyのデザイン自由度と管理のしやすさが評価された結果、EC以外の用途にも採用されています。

「Shopify=ネットショップ専用」という先入観は、もう当てはまりません。

ECサイトのデザインに求められる工夫については、ECサイトのデザイン事例10選|売上を伸ばすUIの工夫を解説【2026年】でも取り上げています。

WordPress主導の現状とShopifyの伸びしろ

一方で、Soreiine!!に掲載されているWordPress製サイトはShopifyと比較して圧倒的に多く、その中で最も多い用途はコーポレートサイトです。WordPressは長年にわたってWebサイト制作の標準的な選択肢であり、コーポレートサイトの制作実績が厚いのは自然なことです。

ただし、この数字はあくまで「これまでの蓄積」を反映したものであり、Shopifyの採用が増え始めているトレンドの入り口でもあります。特に中小企業が「コーポレートサイトを作りたい。できればECもやりたい」と考えたとき、Shopifyは最初から両方を1つのプラットフォームで実現できる選択肢として、これから存在感を増していくはずです。

Soreiine!!のギャラリーでは、プラットフォーム別にサイトを絞り込んで閲覧できます。Shopifyで作られたサイトの実際のデザインや構成を見ることで、「自社サイトでもこのレベルが実現できるのか」というイメージを具体的に持てるようになります。


それでもWordPressとEC分離を選ぶべきケース

それでもWordPressとEC分離を選ぶべきケース

ここまでShopifyでの一体型サイトの利点を述べてきましたが、すべての企業にとって最適解ではありません。正直に線を引くことで、推す側の説得力も上がります。以下のケースに該当する場合は、WordPressでコーポレートサイトを構築し、ECは別途検討する(もしくはECを持たない)方が合理的です。

商品を売ることが主目的ではないサイト

自社のサービスや製品を直接オンラインで販売する予定がない場合、Shopifyの最大の強みであるEC機能が不要になります。月額の利用料を払いながらカート機能を使わないのは、コストに見合いません。

BtoB企業で「問い合わせが取れればいい」「資料請求につなげたい」という目的のサイトは、WordPressのほうが柔軟かつ低コストで構築できるケースが多いです。BtoB企業のサイト設計については、BtoB企業サイトのデザイン事例10選|問い合わせを増やす設計【2026年版】にまとめています。

コンテンツ量が極端に多いサイト

記事を月に何十本も公開するオウンドメディアを主軸にしたい場合、Shopifyのブログ機能では対応しきれない場面が出てきます。記事のカテゴリ構造を複雑に設計したい、記事同士の関連付けを細かく管理したい、ライターごとの権限を分けたい、といった要件があるなら、WordPressに一日の長があります。

「月に2〜3本のお知らせと、たまにコラムを書く程度」であればShopifyのブログで十分です。ただし「コンテンツマーケティングを本格的にやりたい。記事を年間100本ペースで出したい」という場合は、ブログ専用のCMSとしてのWordPressの強さが活きてきます。

基幹システムとの連携が主目的のサイト

すでに社内で使っている在庫管理システム・顧客管理システム(CRM)・基幹システム(ERP)との連携が最優先事項である場合、接続先のシステムがShopifyとの連携に対応しているかどうかを最初に確認してください。

Shopifyは多数の外部サービスとの連携に対応していますが、日本国内の業種特化型の基幹システムとの接続は、まだ対応が限られる領域です。この確認をしないまま「Shopifyに決めた」と進めると、後から「つなげない」という事態になりかねません。連携要件が複雑な場合は、先にシステム構成を設計してからプラットフォームを選ぶ順序にしたほうが安全です。

判断のためのチェックリスト

以下のチェックリストで、自社にとってどちらが適しているかを大まかに判断できます。

チェック項目 はいの場合の傾向
自社商品をオンラインで直接販売したい → Shopify一体型が有利
ECの売上が事業の柱の1つになる見込み → Shopify一体型が有利
コーポレートサイトとECで同じブランドイメージを維持したい → Shopify一体型が有利
海外向けにも展開する可能性がある → Shopify一体型が有利
商品販売の予定はない。問い合わせや資料請求が目的 → WordPress単体で十分
ブログ記事を月10本以上のペースで公開したい → WordPressが有利
既存の基幹システムとの連携が最優先 → システム構成の確認が先
社内にWordPressの運用経験がある担当者がいる → WordPress活用も選択肢

「はい」が上の4項目に集中するなら一体型、下の4項目に集中するならWordPress中心の構成を検討してください。両方に分散する場合は、どの要件を最も重視するかで判断します。

サイトの方向性を決める前に考えるべきことについて、なぜWebサイト制作は事業整理から始まるのか|最初に問うべきことでも解説していますので、あわせてご覧ください。


一体型で作るときに最初に決めること

一体型で作るときに最初に決めること

Shopifyでコーポレートサイト兼ECサイトを作ると決めた場合、制作会社に依頼する前に自社内で整理しておくべきことがあります。これを曖昧にしたまま打ち合わせに入ると、制作会社も提案の焦点が定まらず、見積もりの精度が下がります。

トップページの重心を決める

1つのサイトにコーポレート情報と商品を同居させる以上、トップページの構成が最大の設計ポイントになります。大きく分けて3つのパターンがあります。

パターン トップページの構成イメージ 向いている企業
EC重視型 商品の一覧やキャンペーンが画面の大部分を占め、会社情報はヘッダー・フッターからたどれる構成 商品数が多く、ECの売上が事業の主軸
ブランド重視型 ブランドの世界観を伝えるビジュアルが中心。商品へのリンクは控えめに配置 世界観やストーリーが購買動機になるD2Cブランド
コーポレート重視型 会社紹介・事業紹介が中心。商品はセクションの1つとして紹介 企業としての信頼獲得が最優先で、ECは付加機能

「どちらにも寄せたくない」という要望はよく出ますが、トップページは1つしかありません。両方に均等に配分すると、「何のサイトかわからない」という中途半端な印象になります。訪問者の大多数がまず何を知りたいかを起点に、思い切って重心を決めてください。

ナビゲーション設計の考え方

ナビゲーション(グローバルメニュー)は、サイトの全体構造を訪問者に伝える地図です。コーポレート情報とEC情報の両方を収めるため、情報の整理が重要になります。

ポイントは、「訪問者が求めている情報にたどり着ける」ことを最優先にすることです。社内の組織図や業務区分に沿ってメニューを設計すると、訪問者には意味がわからない構造になりがちです。

おすすめの整理方法は、メニューの項目を書き出した付箋を用意し、「初めてこのサイトを訪れた人が、どの順番で情報を見たいか」をシミュレーションすることです。社内の関係者数名で試してみると、意外な発見があります。

1つの目安として、グローバルメニューの一次階層(最初に見える項目)は5〜7個に収めてください。それ以上になると、訪問者は選択肢の多さに圧倒されて、どれもクリックしなくなる傾向があります。

ブログとお知らせの使い分け

Shopifyでは、ブログ機能を複数のカテゴリで運用できます。ここで迷いやすいのが「お知らせ」と「ブログ記事」の使い分けです。

  • お知らせ(ニュース): 営業時間の変更、新商品の発売日、メディア掲載情報など、時事性の高い短い情報
  • ブログ記事(コラム・読み物): 商品の使い方、業界の知識、スタッフのこだわりなど、検索からの流入を狙う中〜長文のコンテンツ

この2つを同じカテゴリに混ぜてしまうと、ブログの一覧ページが「お知らせ→コラム→お知らせ→お知らせ→コラム」と交互に並び、どちらの読者にとっても見づらくなります。最初から「ニュース」と「コラム」など、カテゴリを分けて運用設計しておくことをおすすめします。

制作会社に依頼する前に整理しておく項目

以下の項目を社内で整理しておくと、制作会社への依頼がスムーズになり、見積もりの精度も上がります。

  • サイトの目的の優先順位: 「企業としての信頼獲得」と「商品販売」のどちらがより重要か
  • 取り扱い商品の規模感: 商品数は数点なのか、数百点なのか。今後増える見込みはあるか
  • 必要な固定ページの一覧: 会社概要・理念・沿革・採用情報・お問い合わせ等、どのページが必要か
  • ブログの運用方針: 誰が・どのくらいの頻度で・どんな内容を書くか
  • トップページの重心: 上記3パターンのどれに近いか
  • 参考にしたいサイト: デザインや構成の参考になるサイトのURL(コーポレートサイトのデザイン事例10選|信頼感を高める設計のポイント【2026年版】などから探すのも有効です)
  • 多言語対応の要否: 英語や他の言語に対応する必要があるか
  • 既存サイトの有無: 現在のサイトからの移行か、新規構築か

これらをA4で1〜2枚にまとめておくだけで、制作会社との初回打ち合わせの密度がまったく変わります。制作会社は、要望が整理されているクライアントほど適切な提案を返しやすいものです。


「分けない」ことで守れるもの

「分けない」ことで守れるもの

ここまで、機能面や運用面からShopifyでのコーポレートサイト兼ECサイトを検討してきました。最後に、もう少し広い視点で「分けない」ことの意味を考えてみます。

企業のWebサイトは、その企業の考え方を映す鏡です。会社としての理念、商品に込めた思い、お客様との向き合い方。これらが1つのサイトの中で一貫したトーンで語られるとき、訪問者は「この会社はちゃんとしている」と直感的に感じます。

1つのサイトにまとめておくと、実務面でも動きが速くなります。たとえば商品のリニューアルに合わせて企業のビジュアルを刷新するとき、変更の対象は1つのサイト・1つの管理画面・1つの制作会社です。2サイト構成ではこうした「全体を一度に動かす」対応に、倍の時間と倍の調整コストがかかります。季節のキャンペーンや緊急のお知らせでも同じです。判断から公開までのスピードが、そのまま事業のスピードに直結します。

もちろん、前述のとおり一体型が最適解ではないケースもあります。大切なのは、「分けるか、まとめるか」を慣習や思い込みではなく、自社の事業と運用体制に照らして意思を持って選ぶことです。


よくある質問

よくある質問

ShopifyでコーポレートサイトだけをECなしで作ることはできますか?

技術的には可能です。商品を登録せず、固定ページとブログだけで構成すれば、見た目はコーポレートサイトそのものになります。ただし、Shopifyは月額の利用料が発生するプラットフォームのため、EC機能を使わないのであれば、WordPressや静的サイトのほうがコストパフォーマンスに優れる場合が多いです。Shopifyを選ぶ最大の利点は「ECとコーポレートを1つにまとめられること」にあるため、ECの予定がないならあえてShopifyを選ぶ理由は薄くなります。

Shopifyの無料テーマでもコーポレートサイト兼ECは作れますか?

Shopifyには複数の無料テーマが用意されており、いずれもページの作成やブログ、ナビゲーションのカスタマイズに対応しています。シンプルな構成であれば無料テーマでも十分に対応できます。ただし、スタッフ紹介や導入事例をメタオブジェクトで管理して表示するといったカスタマイズには、テーマの改修が必要になるため、制作会社への依頼が前提になります。無料テーマをベースにカスタマイズする方法は、制作費を抑えつつオリジナリティを出す選択肢として現実的です。

既存のWordPressサイトからShopifyに移行するのは大変ですか?

移行の難易度は、現在のサイトの規模と構造によって異なります。固定ページ数ページとブログ記事数十本程度であれば、コンテンツの移行自体はそこまで大きな負担にはなりません。ただし、WordPressで独自に構築した機能(カスタム投稿タイプ、プラグイン依存の機能、会員制コンテンツなど)がある場合は、Shopifyで同等の機能を実現できるかどうかを事前に確認する必要があります。移行で最も手間がかかるのは、URL構造の変更に伴うリダイレクト設定(旧URLから新URLへの転送)です。SEO評価を引き継ぐためにも、この作業は省略せずに行ってください。

Shopifyでお問い合わせフォームの内容を自由にカスタマイズできますか?

Shopifyの標準テーマには基本的なお問い合わせフォームが組み込まれています。名前・メールアドレス・メッセージという最小限の構成であれば、追加の設定なしで使えます。項目を増やしたい場合(会社名、電話番号、問い合わせ種別の選択など)は、テーマのコードを編集するか、フォーム作成アプリを追加する方法があります。制作会社に依頼する際に「お問い合わせフォームの項目はこれが必要」と一覧で伝えれば、適切な方法を提案してもらえます。

コーポレートサイトとECサイトを兼用した場合、どちらのSEO対策を優先すべきですか?

サイトの事業目的によって優先順位が変わります。ECの売上が事業の主軸であれば、商品ページやカテゴリページのSEOを優先し、ブログ記事で関連キーワードを拾う設計にしてください。企業としての信頼獲得が主目的であれば、会社概要や事業紹介ページの内容を充実させつつ、ブログで業界知識の発信を軸にする方針が効果的です。いずれの場合も、1つのドメインにコンテンツが集約されることで、サイト全体のSEO評価が分散しない点は一体型の構造的な強みです。


まとめ

コーポレートサイトとECサイトを分けるか、1つにまとめるか。この選択は、単にサイトの構成を決める話ではなく、「自社のブランドをどう伝え、どう守るか」という経営判断に直結しています。

この記事のポイントを振り返ります。

  • 「分けるのが当然」は過去の技術的制約から生まれた慣習であり、現在のShopifyの機能を知った上で改めて判断する価値がある
  • 分けた運用では、更新の二重管理・ブランド体験の断絶・SEO評価の分散・保守費用の二重化が構造的に発生する
  • Shopifyは固定ページ、ブログ、ナビゲーション、メタオブジェクトを備えており、コーポレートサイトに必要な機能の大部分をカバーできる
  • 商品を売る予定がない、コンテンツ量が極端に多い、基幹システム連携が主目的、といったケースではWordPressのほうが合理的
  • 一体型で作ると決めたら、トップページの重心・ナビゲーション構造・ブログの運用方針を事前に社内で整理しておく

「とりあえず分ける」のではなく、「根拠を持って選ぶ」。そのための判断材料をこの記事で提供できていれば幸いです。

Soreiine!!のギャラリーでは、Shopifyで制作されたサイトのデザインを実際に閲覧できます。「自社サイトをこんな風にしたい」という具体的なイメージづくりに、ぜひ活用してください。