この記事の対象: コーポレートサイトの発注・制作を検討している企業担当者、デザイナー
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Soreiine!!ギャラリーに掲載されているサイトのうち、「企業・事務所のコーポレートサイト」に分類されるものは6件。決して多い数ではありませんが、6件という少なさだからこそ、逆に業界の縮図が見えてきます。派手な演出に走るサイトと、あえて何も語らないサイト。両極端が同居しているのが、この6件の面白いところです。
今回は掲載データをもとに、カラーとレイアウトの傾向を整理したうえで、なぜ企業サイトがその選択に至るのかを制作者視点で解き明かします。
数字で見る傾向

まず全体像です。Soreiine!!に掲載されているコーポレートサイト・事務所系のサイトは6件。カラー傾向とレイアウト傾向をそれぞれ整理すると、以下のようになりました。
| カラー系統 | 件数 |
|---|---|
| ブルー系 | 2件 |
| ブラック系 | 2件 |
| ホワイト系 | 1件 |
| グレー系 | 1件 |
| レイアウト | 件数 |
|---|---|
| シングルページ(ローディング演出含む) | 3件 |
| 1カラム | 2件 |
| 2カラム | 1件 |
カラー最多
- ブルー系 2件
- ブラック系 2件(同率)
レイアウト最多
- シングルページ 3件
- 1カラム 2件
- 2カラム 1件
サンプル数が6件と小さいため統計的な断定はできませんが、「ブルー系とブラック系が並んで最多」「シングルページが過半数」という傾向自体は、企業サイトが置かれている状況を映していると考えられます。
なぜこの2つの傾向が出るのか。次の章で、実際の6サイトを見ながら解説します。
ブルー系が選ばれる理由|信頼と技術力の記号
企業サイトでブルー系がよく使われるのは、「信頼感」「知性」「テクノロジー」を連想させる色だからです。今回の6件でも、ブルー系の2サイトはどちらもテクノロジー・製造業という、信頼性の証明が事業の核になる業種でした。
コサウェルのコーポレートサイト
https://www.cosawell.co.jp/(Soreiine!!掲載ページ)
「これからのITに必要なのは『魅力』です。」というコピーが最初に目に飛び込んできます。IT企業のコーポレートサイトというと、技術力や実績を並べる構成になりがちですが、ここではあえて感性的な言葉を前面に置いている点が特徴的です。
【制作者目線】
ファーストビューを支配するのは、ライトブルーからホワイトへのグラデーションの上に浮かぶ3DCGのロゴマーク。平面のロゴではなく立体で見せることで、単なる装飾ではなく「技術の奥行き」を視覚的に表現しています。加えてマスメディア展開に関する告知も配置されており、企業としてのスケール感を、押しつけがましくなく伝える設計になっています。
【発注者目線】
IT企業の多くが「技術力」を訴求する中で、「魅力」という言葉で一段ずらすのは、採用競争やクライアント獲得において記憶に残りやすい差別化戦略です。コピー1本で立ち位置を変えられることの好例と言えます。
ニッタ・デュポンの素材メーカーサイト
https://www.nittadupont.co.jp/(Soreiine!!掲載ページ)
「ともに、ために。」というシンプルなコピーの背後に、水色のグラデーションと、白・青の有機的な円形モチーフが浮遊するビジュアルが広がります。
【制作者目線】
素材メーカーは製品そのものを写真で見せにくい業種です。その代わりに、抽象的な円形モチーフで「素材の多様性・可能性」を表現するアプローチを取っています。具体的な製品画像に頼らず、色と形だけで企業のイメージを構築する手法は、BtoB製造業のコーポレートサイトとして参考になります。
【発注者目線】
「ともに、ために。」という短いコピーは、協業先との関係性を大切にする姿勢を、説明的にならず端的に伝えています。素材メーカーのように専門性が高くて一般消費者にはピンとこない事業ほど、コピーとビジュアルの抽象度を上げて「感じさせる」設計が効果的です。
ブラック系が選ばれる理由|ローディング演出との相性

もう一方の最多勢力であるブラック系は、今回の6件ではいずれもローディング画面を伴うシングルページ構成のサイトでした。ダークな背景は「情報を出し惜しみする」演出と非常に相性が良く、期待感を醸成する効果があります。
CARTA ZEROのミニマルな企業サイト
https://www.cartazero.co.jp/ja(Soreiine!!掲載ページ)
黒い画面に、ローディングのパーセンテージ(063%)だけが表示された状態のスクリーンショットが印象的です。
【制作者目線】
背後ではWebGLやThree.jsを用いた高度な3D表現が読み込まれている段階と推測できます。ローディング画面のタイポグラフィだけでも洗練されたデザインセンスがうかがえ、「まだ本編が始まっていない」という状態そのものがコンテンツへの期待感を高める演出として機能しています。デジタル広告を手がける企業らしい、テクニカルなアプローチです。
【発注者目線】
ローディング演出は表示速度の観点では諸刃の剣ですが、「技術力を売り物にする企業」であれば、その待ち時間自体が「これだけの表現力を持っている」という無言のアピールになります。業種によって効果が反転する演出だと理解しておく必要があります。
多彩な視点が交差する創発の場NEURON
https://www.neuron-tokyo.jp/(Soreiine!!掲載ページ)
ダークな背景にロゴマークのみを配したローディング画面。「多彩な視点と好奇心が交差する、創発の場」というコンセプトを、あえてシンプルなローディングで余韻を持たせる演出で表現しています。
【制作者目線】
CARTA ZEROが「技術力の誇示」としてのローディングだったのに対し、NEURONは「静けさ・間」を演出するためのローディングです。同じダークモード・同じシングルページ構成でも、狙っている効果はまったく異なります。ロゴデザイン自体にブランドの個性が凝縮されている点も見どころです。
【発注者目線】
創発スペースという、明確な「商品」を持たない事業ほど、説明ではなく雰囲気で伝える必要があります。ダークモードは「知的で先進的な空間」を予感させる効果があり、実際の空間を訪れる前の期待値づくりとして機能しています。
画像 遅延読み込みでLCP 改善|loading属性とサイズ指定の実装
シングルページが最多になる理由|情報より「印象」を優先する設計
レイアウト面では、6件中3件がシングルページ構成でした。これは決して偶然ではないと考えられます。コーポレートサイトの役割が「情報を網羅すること」から「企業の世界観・姿勢を一瞬で伝えること」へと軸足を移していることの表れです。
先に紹介したCARTA ZEROとNEURONに加えて、もう1件見てみましょう。
コクヨのコーポレートサイト
https://www.kokuyo.com/(Soreiine!!掲載ページ)
グレーの背景に「Curiosity is Life 好奇心を人生に」というブランドメッセージが大きく表示されるファーストビュー。周年を意識したと見られるメッセージと、スライダーのページネーション(1/4)が確認できます。
【制作者目線】
文具・オフィス家具という具体的な商材を扱うメーカーでありながら、ファーストビューでは商品を一切見せず、テキストだけで勝負しています。余白を贅沢に使う構成は、情報を詰め込むのではなく「読ませる間」を作り出す設計です。節目の年にブランドメッセージを刷新している様子からも、コーポレートサイトが単なる会社案内ではなく、リブランディングの発信拠点として使われていることが分かります。
【発注者目線】
歴史ある大企業ほど、「何を作っているか」はすでに広く知られています。だからこそコーポレートサイトでは「何を作っているか」ではなく「なぜ作っているか」を語る方が効果的です。グレーという抑制された配色も、声高に主張しない知的な印象づくりに一役買っています。
一方で、シングルページ・ダークモード一辺倒が正解というわけではありません。実績や取引先を明確に見せたい場合は、あえて複数カラムで情報を並べる構成が効きます。
JQのプロジェクトマネジメント企業サイト
https://www.j-q.co.jp/(Soreiine!!掲載ページ)
「プロジェクトを完遂に導く確かな右腕」というコピーが、サービスの価値を端的に伝えています。
【制作者目線】
左にテキスト、右にスタッフ写真のスライダーを配置する2カラム構成です。下部には大手企業各社のクライアントロゴが並び、実績を視覚的に訴求する設計になっています。ダークモード・抽象表現の他5サイトとは対照的に、「顔が見える」「実績が見える」という具体性で信頼を積み上げるアプローチです。
【発注者目線】
BtoBのプロジェクトマネジメントファームは、抽象的な世界観よりも「どこと取引しているか」が発注判断に直結します。クライアントロゴの掲出は、営業資料を作るよりも安く済み、かつ常に最新の実績を提示できる効果的な手段です。2カラム構成は情報量を確保しながらも整理して見せられるため、実績訴求型のBtoBサイトには理にかなった選択と言えます。
自社サイトに活かすポイント
6件を通して見えてきたのは、「コーポレートサイトの表現は業種の性質と直結している」という当たり前だが見落とされがちな事実です。
具体的な取引実績を見せたい(BtoB営業型)
- 2カラム+クライアントロゴ(JQ)
世界観・姿勢で差別化したい(技術・空間・ブランド型)
- シングルページ+ダークモード(CARTA ZERO・NEURON)
- 1カラム+抽象ビジュアル(コサウェル・ニッタ・デュポン・コクヨ)
自社が「実績で語る」側か「世界観で語る」側かを先に決めてから配色・レイアウトを選ぶと迷わない。
自社サイトをリニューアルする際は、まず「自社は実績型か、世界観型か」を判断することから始めるとよいでしょう。判断に迷ったときの目安は以下の通りです。
- 発注判断において「取引先・実績の信頼性」が重視される業種(プロジェクトマネジメント、士業、コンサルティングなど)→ 実績を見せる2カラム構成が有効
- 発注判断において「センス・技術力の印象」が重視される業種(IT、クリエイティブ、製造業のブランディングなど)→ シングルページ・抽象表現で世界観を作る構成が有効
またシングルページ・ローディング演出を採用する場合は、表示速度とのトレードオフを常に意識する必要があります。演出に凝るほど初期表示は遅くなりがちなので、画像の読み込み設計は最初から丁寧に組んでおくべきです。
WordPressで企業サイトを構築する場合、事例紹介やニュース欄をカスタム投稿タイプで管理すると、シングルページの世界観を保ちながら情報を追加しやすくなります。
WordPressカスタム投稿の一覧テンプレートの作り方|実装手順とコード
よくある質問
コーポレートサイトのカラーはブルー系にしておけば無難ですか?
無難ではありますが、それが正解とは限りません。今回の6件でもブラック系が同率最多であり、業種やブランドが伝えたい印象によって最適なカラーは変わります。信頼感を素直に訴求したいならブルー系、世界観や先進性を印象づけたいならブラック系という使い分けが目安になります。
シングルページ構成にすると表示速度が遅くなりませんか?
ローディング演出や3D表現を多用すると初期表示は遅くなりやすい傾向があります。ただし画像の遅延読み込みやサイズ指定を適切に設計すれば、体感速度を大きく損なわずに演出を実現することは可能です。
中小企業やスタートアップでも、シングルページのようなリッチな表現は真似できますか?
3DCGやWebGLといった高度な演出には相応の予算と技術が必要ですが、シングルページ構成自体は特別な技術がなくても組めます。余白を活かしたテキスト中心の構成(コクヨの事例のような)は、コピーライティングの質を上げることに投資すれば十分再現可能です。
2カラム構成とシングルページ、どちらを選ぶべきか判断基準はありますか?
自社の発注判断において「実績の具体性」が重視されるか「印象・世界観」が重視されるかで判断するとよいでしょう。クライアントロゴや導入事例を見せたい場合は2カラムで情報量を確保し、ブランドの姿勢や個性を伝えたい場合はシングルページで余白を活かす方が効果的です。
コーポレートサイトのリニューアルで最初に決めるべきことは何ですか?
配色やレイアウトを決める前に、「自社は実績で語るべきか、世界観で語るべきか」を明確にすることが先決です。この軸が定まっていないと、デザインの方向性が途中でぶれてしまいます。
