この記事の対象: 出版社・メディア運営者・制作会社の企画担当
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Soreiine!!には数多くのサイトを掲載していますが、そのうち新聞・出版・書籍カテゴリに分類されるものは6件です。数としては決して多くありませんが、色使いとレイアウトの傾向を並べてみると、この業種特有の「らしさ」がはっきり見えてきます。今回はこの6件を実際に開きながら、なぜそのデザインになったのかを制作者の目線で読み解いていきます。
数字で見る傾向|ホワイト系とベージュ系が大半を占める理由

まずカラー傾向から見ていきます。6件のうち、ホワイト系が3件、ベージュ系が2件、レッド系が1件でした。
| カラー系統 | 件数 | 比率 |
|---|---|---|
| ホワイト系 | 3件 | 50% |
| ベージュ系 | 2件 | 33% |
| レッド系 | 1件 | 17% |
半数がホワイト系というのは、この業種の目的をよく表した結果です。理由は単純で、この業種のサイトは「文字を読ませる」ことが目的の中心にあるからです。記事、特集、レビューといったテキストコンテンツが主役になるサイトでは、背景色が主張しすぎると読者の集中力を奪います。白基調は最も長時間の可読性を担保できる選択肢であり、エディトリアル系メディアがこぞって採用するのは偶然ではありません。
一方でベージュ系の2件は、いずれも雑誌『リンネル』関連のページでした。こちらは「読ませる」よりも「その雑誌の世界観に浸ってもらう」ことを重視した結果だと考えられます。紙の雑誌が持つ温かみのある質感をWebで再現しようとすると、真っ白よりもベージュのほうが親和性が高いのでしょう。
レイアウトは以下の通りです。
| レイアウト | 件数 |
|---|---|
| 1カラム | 2件 |
| シングルページ | 1件 |
| 3カラム | 1件 |
| スプリットレイアウト | 1件 |
| グリッドレイアウト | 1件 |
最多は1カラムの2件ですが、残りの4件はすべて異なるレイアウトに分散しています。これは、この業種が「記事を読ませるための定番型(1カラム)」と「ブランドの世界観を伝えるための個別最適型」の二極に分かれていることを示しています。
記事を読ませる(1カラム中心)
- WWDジャパンの特集記事
- 太陽企画のミニマル導線
世界観を伝える(個別設計)
- リンネルの3カラム・雑誌構成
- リンネル15周年のスプリット
- Beyondのグリッド展示
記事本文を読ませたいページはシンプルな1カラムに寄せ、雑誌ブランドそのものを伝えたいページはあえて凝った構成を選ぶ。この使い分けが、業種としての設計思想だと言えそうです。
実例に見るデザインの工夫

ここからは6件それぞれを、制作者目線と発注者目線の両方から見ていきます。
太陽企画「ニュークリエイターズ2025」
https://www.taiyokikaku.com/newcreators2025/
白背景の中央に「SCOOP!!」という文字だけが置かれたローディング画面が印象的なサイトです。情報を極限まで削ぎ落とした構成で、続くコンテンツへの期待感を煽る演出になっています。
【制作者目線】情報量をあえてゼロに近づけるのは、実は難易度の高い判断です。何も足せない状態まで削ってはじめて成立するデザインで、フォントサイズと余白の精度が問われます。ローディング画面という「一瞬しか見られない場所」に一番大きなメッセージを置く発想が秀逸です。
【発注者目線】メディア企業が新進クリエイターを紹介する特設ページという性質上、「見た瞬間の高揚感」が成果指標になります。情報を絞ることで逆に注目を集める、広告的な発想の設計だと言えます。
メディアプルポ コーポレートサイト
マゼンタピンクの背景に「夢中をつくる。夢中でつくる。」というコピーが円形に配置された、6件の中で唯一のレッド系サイトです。
【制作者目線】円形にテキストを配置する手法は実装コストが高く、レスポンシブ対応も一筋縄ではいきません。それでも採用しているのは、サイト自体を「作品」として見せたいという狙いがあるからでしょう。制作現場の写真を散りばめる構成は、静的な企業サイトにはない臨場感を生んでいます。
【発注者目線】映像制作会社にとって、サイトの見た目そのものが「このクオリティで作れます」という実績証明になります。控えめなデザインでは伝わらない熱量を、色とレイアウトの両方で押し出した判断は理にかなっています。
WWDジャパン「レゴ40周年特集記事」
https://www.wwdjapan.com/s/2193588
ファッション業界専門メディアによる特集記事ページ。白基調の1カラムで、記事に集中させる王道の構成です。
【制作者目線】専門メディアの個別記事ページは、装飾よりも可読性を優先するのが定石です。このページも例に漏れず、余計な要素を削ぎ落とし、テキストと画像のリズムだけで読ませる設計になっています。
【発注者目線】ファッションとカルチャーの交差点というニッチな切り口の記事でも、土台となるレイアウトがシンプルであれば内容の専門性が際立ちます。読者を離脱させないための「型」を持っておくことの価値がよくわかる事例です。
カルチャーWebマガジン「Beyond」
白基調の背景にカード型の特集記事が横並びで展開する、グリッドレイアウトのポータルサイトです。
【制作者目線】カード型UIは今や定番ですが、このサイトはサムネイルの色使いとイラストの配置にこだわっており、単なる記事一覧以上の「雑誌をめくる」体験を作っています。グリッドの中に写真とイラストを混在させるのは調整が難しく、統一感を保つセンスが求められます。
【発注者目線】ポータル型のメディアは「次に何を読むか」を選んでもらう導線設計が生命線です。カードのビジュアルで興味を引けるかどうかが、そのまま回遊率に直結します。
リンネル公式サイト
ベージュ基調・3カラム構成で、左に日付と花ごよみ、中央にコンテンツ、右にカテゴリナビとランキングを配置しています。
【制作者目線】3カラムは情報量を多く見せられる反面、スマートフォンでの再構成が難しいレイアウトです。それでもあえて採用しているのは、紙の雑誌の誌面構成をそのままWebに持ち込みたいという意図が強いためでしょう。手書き風ロゴや丸いカテゴリアイコンも、この世界観を補強しています。
【発注者目線】ライフスタイル誌の読者は「情報を探しに来る」というより「雑誌の時間を過ごしに来る」傾向があります。3カラムで情報量を確保しつつ、色とアイコンで温かみを演出するバランス感覚が、ブランドの継続的なファン化に寄与していると考えられます。
リンネル創刊15周年記念ページ
https://liniere.jp/liniere_15th/
左に創刊号の表紙、右に花束イラストとロゴを配したスプリットレイアウトのアニバーサリーページです。
【制作者目線】左右対比の構成は、過去と現在を並べて見せたいときに最も伝わりやすい型です。水彩タッチのイラストが加わることで、単なる年表ではなく感情に訴える記念ページになっています。
【発注者目線】周年ページは短期間しか使われない特設コンテンツですが、ブランドの歴史を視覚的に伝えることで既存読者の愛着を再確認させる効果があります。通常ページとは別の構成を採用してでも作る価値がある、という判断がここに表れています。
自社サイトに活かすポイント

ここまでの分析から、新聞・出版・書籍サイトを作る・発注する際に押さえておきたいポイントを整理します。
- 記事本文を読ませるページは、装飾よりも可読性を優先する。 白基調・1カラムが最も安全な選択です。個性を出したい気持ちがあっても、本文ページで冒険するとむしろ離脱を招きます。
- ブランドの世界観を伝えたいページは、色とレイアウトで差別化してよい。 リンネルのように紙の質感をベージュで再現したり、プルポのように鮮烈な色で熱量を伝えたり、目的に応じた冒険は効果があります。
- 周年ページや特設ページは、通常ページの型を崩してでも作る価値がある。 一時的なコンテンツだからこそ、スプリットレイアウトのような凝った構成にコストをかける判断は理にかなっています。
サイトの技術的な実装面では、こうした記事一覧やカード型UIを実現する際に、WordPressのカスタム投稿タイプを使う設計が役立ちます。
また、Beyondのような特集記事のカード一覧や、記事の目次を自動生成する機能を検討している場合は、以下の実装ガイドも参考になります。
よくある質問

新聞・出版・書籍サイトはなぜ白基調が多いのですか?
テキストコンテンツを読ませることが目的の中心にあるためです。今回集計した6件のうち3件がホワイト系で、いずれも記事本文や特集の可読性を重視した構成になっていました。背景色が主張しすぎると読者の集中を妨げるため、業種特有の傾向として白基調が選ばれやすくなっています。
ベージュ系のデザインはどんなサイトに向いていますか?
紙の雑誌が持つ質感や温かみをWebで再現したいライフスタイル系メディアに向いています。今回の事例ではリンネル関連の2ページがベージュ系で、雑誌のブランド世界観を伝える目的で採用されていました。情報を探しに来る読者よりも、ブランドの時間を過ごしに来る読者が多いメディアに適しています。
1カラムと3カラム、どちらを選ぶべきですか?
目的次第です。記事を読ませることが主目的なら1カラムが安全で、スマートフォンでの表示崩れも起きにくくなります。逆に、雑誌のような情報密度と回遊性を重視するなら3カラムも選択肢に入りますが、レスポンシブ対応の設計コストが上がる点は留意が必要です。
周年記念ページのような特設ページは、通常ページと同じデザインにすべきですか?
必ずしもそうする必要はありません。今回の事例でも、リンネルの通常サイトは3カラムでしたが、15周年記念ページは左右対比のスプリットレイアウトという別構成が採用されていました。短期間しか使われない特設コンテンツだからこそ、通常とは異なる構成でブランドの歴史や感情を伝える判断は有効です。
メディアサイトを作るとき、最初に決めるべきことは何ですか?
そのページが「読ませる」ためのものか「伝える」ためのものかを最初に切り分けることです。記事本文ページなら可読性優先の1カラム、ブランド訴求ページなら色やレイアウトで個性を出す、という使い分けが今回の分析から見えた基本方針です。

