この記事の対象: 新商品・キャンペーン・周年企画などで特設サイトの制作を検討している、事業会社の販促・マーケティング担当者
読了時間: 約12分
「特設サイトを作りたい」と社内で決まったものの、いざ制作会社に相談しようとすると手が止まる。何ページ必要なのか、どんな見せ方があるのか、それでいくらかかるのか。参考サイトを探そうにも、上がってくるのは「すごいアニメーション」の事例ばかりで、自社の企画にどう当てはめればいいのか分からない——。
特設・プロモーションサイトの発注が難しいのは、コーポレートサイトと違って「型」が存在しないからです。会社案内なら「会社概要・事業内容・採用・お問い合わせ」という定番構成がありますが、特設サイトは企画ごとに構成が変わります。だからこそ、発注前に実例を見て「自社はどのパターンか」を決めておかないと、制作会社との打ち合わせが「なんとなくかっこいい感じで」のまま進んでしまいます。
この記事では、Soreiine!!ギャラリーに掲載されている特設・プロモーションサイトの中から、構成の判断材料になる実例を8件取り上げます。あわせて、発注時に見積もりが割れるポイントと、コストを左右する要素の整理も載せました。読み終わったときに「うちはこのパターンで、この規模」と言える状態を目指します。
参考事例を見る前に:特設サイトは4つのパターンに分かれる

まず「何を達成したいのか」で型が決まる
特設・プロモーションサイトと一括りにされますが、実際に公開されているものを並べると、役割が明確に4つに分かれます。この分類を先にやっておくと、制作会社への説明が一気に楽になります。
| パターン | 目的 | 主な構成要素 | ページ数の目安 |
|---|---|---|---|
| コラボ・タイアップ型 | 話題化・新規接点の獲得 | コンセプト/商品紹介/購入導線 | 1〜3ページ |
| プロダクト訴求型 | 商品理解の深化・比較検討 | 特徴/スペック/使用シーン/カタログ請求 | 3〜8ページ |
| ブランドストーリー型 | ブランド好感度の醸成 | 読み物/取材記事/写真 | 1〜5ページ |
| 施設・サービス告知型 | 予約・来場の獲得 | 概要/料金/アクセス/予約 | 3〜6ページ |
この4つは、必要な制作工程がまるで違います。コラボ型は1枚のページに世界観を凝縮する勝負なのでデザインとアニメーションに比重がかかり、施設告知型は予約システムとの連携が主戦場になります。同じ予算を用意しても、どこにその予算が乗っているかが変わるということです。
コラボ・タイアップ型
- デザイン・世界観の作り込み
- 撮影・イラスト素材
プロダクト訴求型
- 情報設計・原稿量
- 既存サイトとの接続
ブランドストーリー型
- 取材・ライティング
- 写真のクオリティ
施設・サービス告知型
- 予約システム連携
- 多言語・地図まわり
同じ予算でも、どの型かによって何にお金がかかるかが変わる。
見積もりを比べるときは、この「どこに予算が乗っているか」が各社で揃っているかを見ます。A社は撮影込み、B社は素材支給前提、という差が金額の差の正体であることが非常に多いためです。
なお、1つの企画が2つの型にまたがることもあります。たとえば「コラボ商品を告知しつつ、ポップアップストアの来場も取りたい」という企画は、コラボ型と施設告知型の混合です。この場合はどちらが主で、どちらが従かを先に決めてください。両方を主役にすると、ファーストビューで何を見せるかが最後まで決まらず、デザインの提案が何往復も空転します。
期間限定であることを前提に設計する
特設サイトの最大の特徴は、終わりがあることです。ここを発注前に詰めておかないと、後で必ず揉めます。
実例として分かりやすいのが、SALONIAがNiziUとのコラボレーションで公開していた特設ページです(salonia.jp/special/niziu/)。記事執筆時点でこのURLにアクセスすると404ページが表示されますが、注目すべきはその404ページの作りです。白背景にブランドロゴが置かれ、ヘッダーにはABOUT・TOPICS・PRODUCT・PICK UP・COLUMN・SUPPORT・HOW TO・ONLINE SHOPと、通常のグローバルナビゲーションがそのまま並んでいます。
つまり、キャンペーンが終わってページを消したあとも、そこに辿り着いた人を他のコンテンツへ流す設計になっている。美容家電ブランドらしいクリーンな見た目も維持されています。SNSで拡散されたURLはキャンペーン終了後も残り続けるので、「消したあとに誰が来るか」まで設計されているかどうかは、そのまま取りこぼしの量に直結します。
▶ 実物の画面はこちら:NiziU×SALONIA特設ページ|Soreiine!!ギャラリー
特設サイトの終了後の扱いは、発注時に決めておくべき項目です。 選択肢は3つあります。
- そのまま残す:URLは生きたまま、「本キャンペーンは終了しました」と表記を追加する。SEO資産を捨てずに済むが、更新の手間と、終了済みの企画を実施中と誤解されるリスクがある
- 親サイトへリダイレクトする:301リダイレクトで商品ページなどへ飛ばす。獲得した被リンク・検索評価を引き継げる
- 削除して404にする:最もシンプル。ただし上のSALONIAのように、404ページ側で受け止める設計があるかどうかで印象が大きく変わる
見積書に「公開後の閉鎖対応」の行がない場合、それは後日別料金になる可能性が高い項目です。契約前に「終了時の作業は含まれるか」を必ず聞いてください。金額としては大きくない項目ですが、「聞かれなかったから見積もっていない」だけのことが大半です。
実例から読み解く「構成の決め方」
ここからはSoreiine!!ギャラリーに掲載されている特設・プロモーションサイトを、パターン別に見ていきます。デザインの良し悪しではなく、発注者が自社の構成を決めるときの材料として読んでください。
コラボ・タイアップ型:世界観を1ページに凝縮する
キューライス × studio CLIP「Find Fun Friends」(dot-st.com/studioclip/cp/sc2025qrais)
イラストレーターとアパレルブランドのコラボ雑貨を紹介するページです。ベージュ基調の温かい背景に、鹿・うさぎ・にんじんといった脱力系のキャラクターが賑やかに配置されています。
構成面で参考になるのは、「at Kitchen」「at Living Room」「at Study Room」というシーン別の章立てです。雑貨のコラボは、カテゴリ別(マグカップ・トートバッグ・文具)に並べるのが自然に思えますが、それだと単なる商品一覧になります。使う場所で区切ることで、読み手が自分の生活に置き換えやすくなる。さらに、同じ章にマグカップとトートバッグが同居するため、併せ買いの動機が自然に立ち上がるという副次効果もあります。
▶ キューライスとスタジオクリップのコラボ雑貨|Soreiine!!ギャラリー
商品点数が10〜30点ある雑貨・アパレル系のコラボ企画なら、この「シーン別の章立て」はそのまま流用できる型です。制作会社に「カテゴリ別ではなくシーン別で組みたい」と最初に伝えるだけで、情報設計の議論が一往復減ります。
BEAMS「別府竹細工」特集(beams.co.jp/special/happyoutside_beppu_bamboo/)
BEAMSのHAPPY OUTSIDEプロジェクトによる、大分・別府の竹細工を紹介する特集ページ。ミントグリーンの背景に工芸品と職人の写真が置かれ、「世界に轟く伝統工芸 別府・竹細工」という縦書きのコピーが据えられています。
ここで注目したいのは縦書きの使い方です。「後世に受け継がれるクラフトマンシップ」「世界のコレクターからもラブ」といった見出しを縦組みにすることで、和の格式を出しながら、ファッションブランドらしい軽さも保っている。和風=墨色と和紙テクスチャ、という発想から離れ、ミントグリーンという意外な色を持ってきている点も効いています。職人の手元を写した写真が縦書き見出しの隣に置かれることで、読み物としての密度も落ちていません。
▶ BEAMS別府竹細工の特集ページ|Soreiine!!ギャラリー
発注者が知っておくべき注意点:縦書きは、Webでは追加コストが発生しやすい要素です。CSSのwriting-modeで実装できるものの、英数字の扱い・スマホでの折り返し・ブラウザ間の差異の検証が必要になります。「和の雰囲気を出したいので縦書きで」と要望するなら、見積もりの時点で伝えてください。デザインが上がってから追加すると、コーディング工数が積み増しになります。
プロダクト訴求型:スペックではなく体験を売る
スズキ ラパン(suzuki.co.jp/car/lapin/)
軽自動車のプロダクトサイトですが、画面いっぱいに水彩タッチの花のイラストが敷かれ、バラやカーネーションがパステルカラーで散りばめられています。中央に「NEW Lapin」のエレガントなタイポグラフィ。一見すると自動車のサイトには見えません。
これはターゲットを絞り切った結果です。自動車サイトの定石である「走行シーンの写真」「グレード比較表」を前面に出さず、ラパンのブランドイメージである「かわいらしさ」に全振りしている。それでいて、上部にはカタログ請求とオンライン見積りへの導線がきちんと整備されています。世界観で引きつけて、行動は定位置のボタンで取る。この役割分担が明確です。
▶ スズキ ラパンの花柄プロモーションサイト|Soreiine!!ギャラリー
日産サクラ「静かなサクラできいてみた」(www2.nissan.co.jp/SP/SAKURA/KIITEMITA/)
軽EVの静粛性をテーマにしたプロモーションサイト。企画の骨子が「静かだから、車内で〇〇をきいてみた」という一点に集約されています。
EVの静粛性は、カタログでは「静粛性に優れています」の一行で終わってしまう地味なスペックです。それを企画の主役に据え、体験として見せる。スペック訴求をコンテンツ訴求に変換した好例で、車名の「サクラ」と桜色を連想させるカラーリングも揃っています。企画の言い回し自体が「試したこと」の形をしているため、コンテンツを追加すればそのまま第2弾・第3弾に展開できる構造にもなっています。
▶ 日産サクラのプロモーションサイト|Soreiine!!ギャラリー
この2例から発注者が持ち帰るべきなのは、「自社商品のスペックのうち、1つだけを主役にできないか」という視点です。特設サイトで全機能を網羅すると、結局は既存の商品ページと同じものができあがります。それなら特設サイトを作る意味がありません。
企画会議で決めるべきは「何を載せるか」ではなく「何を載せないか」です。ここが曖昧なまま制作会社に渡すと、「とりあえず全部入れましょう」となり、ページ数が膨らんで見積もりも膨らみます。載せないと決めたものは、既存の商品ページへのリンク1本で受け止めれば足ります。
ソダテルラボ(育てる柔軟剤)(sodaterulab.jp/)
「洗うたびふんわり! 質感変わる 育てる柔軟剤」をキャッチに据えた、柔軟剤ブランドのサイトです。水色のボトルが泡のパーティクルとともに画面中央に大胆に配置され、白い泡が浮遊するビジュアルで「ふんわり感」を直感的に伝えています。
構成面で参考になるのは、左サイドに縦組みされたナビゲーションです。TOP・ABOUT・FEATURES・PRODUCTS・Q&A・NEWSという、日用品の特設サイトとしてはかなり標準的な6項目。ビジュアルは冒険していても、情報の骨格は手堅く整理されています。
▶ ソダテルラボの育てる柔軟剤サイト|Soreiine!!ギャラリー
この6項目は、単品商材の特設サイトのテンプレートとして使えます。 自社の企画をこの枠に流し込んでみて、埋まらない項目があればそこが弱点です。Q&Aが書けないなら、想定される購入時の不安を洗い出せていないということになります。NEWSが埋まらないなら、公開後に何も動かさない予定だということ——それ自体は悪くありませんが、更新しない前提なら項目ごと削るべきです。
ブランドストーリー型:情報を絞る勇気
太陽企画「NEW CREATORS 2025」(taiyokikaku.com/newcreators2025/)
新進クリエイターを紹介するプロジェクトの特設ページ。ローディング画面は白背景の中央に「SCOOP!!」の文字だけ、という極めてミニマルな作りです。
情報を絞り込むことで、かえって期待感と好奇心が高まる。感嘆符の繰り返しが「スクープ」のニュアンスを強調し、映像制作会社らしい遊び心も出ています。白地に文字だけ、という引き算は、素材のクオリティが揃っていなくても成立するという実務上の利点もあります。紹介するクリエイターごとに写真のトーンがばらついても、余白の多い共通フォーマットが差を吸収してくれるためです。
▶ 太陽企画のニュークリエイターズ2025|Soreiine!!ギャラリー
ただし、この手法を真似るときは前提条件を確認してください。 ローディング演出で情報を絞れるのは、すでにブランドが認知されているか、流入経路が限定されている場合です。検索から偶然たどり着いた人が最初に「SCOOP!!」だけを見せられたら、離脱します。このサイトは、SNSやプレスリリースからの流入を想定した設計だと読めます。
自社の特設サイトの流入経路が「検索」中心なら、ミニマルな導入は避けるべきです。「誰がどこから来るか」を先に決めてから、ファーストビューの情報量を決める。順番を逆にしないことが重要です。
施設・サービス告知型:予約導線が生命線
常願寺川公園BBQテラス(cascade-bbq.jp/)
富山のBBQ施設のサイト。手描きイラストと写真を組み合わせ、丸く切り抜いた写真の中に家族や友人がBBQを楽しむシーンを配置しています。白基調にパステルカラーのグリッド線とイラストを散らしたレイアウトで、清潔感と開放感を両立させている。
構成として参考になるのは、この丸い切り抜きと手描きイラストの組み合わせです。施設系のサイトは、使える写真が「晴天の日に撮った1枚」と「曇天の日に撮った1枚」のように条件がばらつきがちですが、切り抜きとイラストを挟むことで写真同士が直接ぶつからず、素材の質の差が目立ちません。既存の写真しか使えない案件で効く手です。
▶ 常願寺川公園BBQテラスのサイト|Soreiine!!ギャラリー
発注者として見るべきは、ヘッダーナビの予約ボタンです。 施設系サイトは、どれだけ雰囲気が良くても予約されなければ意味がありません。このサイトはスクロールしても予約ボタンが目に入る位置に置かれています。
施設・イベント系の特設サイトを発注するときは、要件に次の3つを明記してください。
- ヘッダー(またはスマホ画面下部)に常時表示される予約・問い合わせボタンを置く
- 予約システムへの遷移で離脱を測れるようにイベント計測を入れる
- 予約枠が埋まった場合の「満席」表示の運用方法を決めておく
3つ目は忘れられがちです。イベント系で「満席なのにフォームが開いている」状態は、クレームに直結します。自社で更新できるようにするのか、その都度制作会社に依頼するのか、公開前に決めておく必要があります。
発注前に決めておく5項目

実例を見たうえで、自社の企画を制作会社に渡せる形に落とし込みます。この5項目が決まっていれば、複数社の見積もりが同じ土俵で比較できます。
このうち3と5が、見積もり金額の差として一番大きく出ます。
素材の担当を分けておく
特設サイトの見積もりが各社で大きく開くとき、その原因の多くは素材の扱いです。
| 項目 | 発注側が用意する場合 | 制作側に任せる場合 |
|---|---|---|
| 商品写真 | 既存の物撮りデータを支給 | 撮影ディレクション・スタジオ・カメラマン手配が発生 |
| イラスト | 使用許諾済みの素材を支給 | 描き下ろしなら1点単位で費用が積み上がる |
| 原稿 | 社内で書いて支給 | 取材・ライティングの工程が入る |
| 動画 | 既存の広告素材を流用 | 撮影・編集が別案件規模になる |
ラパンのような水彩イラスト主体のデザインも、キューライスとのコラボのようなキャラクター展開も、イラスト素材があって初めて成立するデザインです。「こういう雰囲気で」と参考サイトを見せるときは、その素材を誰が用意するのかまでセットで話してください。ここを曖昧にしたまま進めると、デザイン提案の段階で「素材は支給いただく前提です」と言われ、社内で急遽撮影の手配が始まります。
あわせて確認したいのが使用許諾の範囲です。コラボ企画では、キャラクターやタレントの写真に「使用媒体」「使用期間」の取り決めがあるのが通常で、特設サイトに載せられる範囲がそこで決まります。期間が切れた素材を差し替えるのは制作側の作業なので、これも公開後の更新として見積もりに入るかどうかを聞いておきます。
制作会社が教えてくれないこと:制作会社の側は、素材支給を前提にしたほうが見積もりを安く出せます。安い見積もりを出したほうが受注しやすいので、聞かれなければあえて撮影費を積まない会社もあります。安い見積もりを見つけたら、まず「素材はどちらが用意する前提か」を確認してください。
導線を1つに絞る
意外と抜けるのが、4番目の「導線」です。特設サイトは、購入・カタログ請求・来場予約・SNSフォロー・アンケート回答と、置こうと思えばいくらでもボタンを置けます。そして置いた分だけ、どれも押されなくなります。
決め方はシンプルで、「このサイトを見た人に、最後に何を1つやってほしいか」を一文で書けるかどうかです。書けたら、それをファーストビューと記事末の両方に置く。それ以外の行動はページ下部にまとめて、優先順位の差が見た目で分かるようにします。
ここが決まっていないと、デザイン段階で「購入ボタンとカタログ請求ボタン、どちらを大きくするか」で議論が止まります。制作会社は発注者の売上構造を知らないので、この判断だけは持ち込む側が決めるしかありません。
公開後の更新頻度を決める
キャンペーンの特設サイトは、公開後に触る回数が案外多いものです。
- 応募者数の表示更新
- 「第2弾」「追加キャスト」などの情報追加
- 期間延長にともなう日付の書き換え
- 在庫切れ商品のグレーアウト
これらを「その都度依頼」にすると、1回ごとに作業費が積み上がります。回数が読めるなら、最初から月額の運用契約にしたほうが総額は下がります。逆に、更新が1〜2回しか発生しないなら、運用契約は不要です。
判断材料は「公開期間の長さ × 想定更新回数」です。3ヶ月以内に終わり、更新が2回以下なら都度発注。半年以上動かすなら運用契約を検討する、という線引きで大きく外しません。
発注時の依頼内容のまとめ方そのものに不安がある場合は、下の記事にテンプレートを用意しています。
費用感を左右する5つの要素
この記事では、実在するサイトに「これは◯万円」と金額を当てはめることはしません。当事者の契約内容を外から知ることはできず、推測で書けば誰の役にも立たないからです。
代わりに、見積もり金額を押し上げる要素を整理します。自社の企画がどれに該当するかを数えれば、おおよその規模感は掴めます。
金額が動く要素の一覧
| 要素 | 金額への影響 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| ページ数 | 中 | 1ページ完結か、下層ページを持つか |
| 動きの量 | 大 | スクロール連動・ローディング演出・パララックス |
| 素材の新規作成 | 大 | 撮影・イラスト・動画の有無 |
| システム連携 | 大 | 応募フォーム・予約・EC・ログイン |
| 多言語対応 | 中 | 言語数と、翻訳を誰が用意するか |
| 既存サイトへの組み込み | 小〜中 | 独立ドメインか、既存サイトの下層か |
発注者が最も誤解しやすいのが「動きの量」です。 参考サイトとして動きの凝ったものを見せると、見積もりが跳ね上がります。太陽企画のローディング演出のように、シンプルに見える動きでも、タイミング調整と実機検証にそれなりの時間がかかります。
逆に言えば、動きを削るのは最も効果の大きいコスト調整です。予算が合わないときに、まずページ数を削ろうとする発注者が多いのですが、情報量を落とすと企画そのものが弱くなります。先に動きを削ってください。
システム連携も、要件の書き方ひとつで金額が変わります。たとえば応募フォームは、既存の外部フォームサービスへリンクで飛ばすのか、サイト内に組み込んで入力データを自社で受け取るのかで、必要な工程がまったく違います。「フォームを付けてください」だけでは各社が別々の前提で見積もるので、受け取ったデータを誰がどう使うかまで書いて渡すのが結局は近道です。
独立ドメインか、既存サイトの下層か
意外と見落とされるのが、URLをどこに置くかです。
既存サイトの下層に置く
- ドメインの検索評価を引き継げる
- 新規ドメイン取得・SSL費用が不要
- 既存サイトのCMS・テーマの制約を受ける
- 終了時にリダイレクトで資産を残せる
独立ドメインで立てる
- デザイン・技術の制約が少ない
- ブランド名をURLにできる
- 検索評価はゼロから積む
- ドメイン・サーバー費用が別途かかる
前掲の実例でも、SALONIA・BEAMS・スズキ・日産は既存ドメインの下層(/special/や/cp/など)に置き、ソダテルラボと常願寺川公園BBQテラスは独立ドメインを取っています。ブランド単位で長く運用する予定があるなら独立ドメイン、期間限定なら既存サイトの下層、という判断が基本形です。
独立ドメインを取る場合は、契約名義を発注側にしておくことも忘れないでください。制作会社名義のまま数年経ち、担当者が変わって更新手続きが分からなくなる、というのはよくある詰まり方です。
ドメインとサーバーの名義や費用の考え方は、ここで決めておかないと後で困ります。
予算から逆算するか、企画から積み上げるか
特設サイトの発注では、先に予算の上限を制作会社に伝えたほうが、結果的に良いものが出てきます。「予算を言うと足元を見られる」と考える担当者は多いのですが、特設サイトに関してはむしろ逆です。
理由は、特設サイトが「削れる要素」の塊だからです。動き・ページ数・素材・システム連携、どれも増減できます。予算が分かっていれば、制作会社は限られた金額の中でどこに配分するかを設計できる。予算を言わないと、無難に全部そこそこ、という提案が出てきます。
伝え方のコツは、上限額と「絶対に外せない要件」をセットで出すことです。上限だけを伝えると全部を薄く割った提案が返り、要件だけを伝えると予算を超えた提案が返ります。両方あって初めて、配分の議論ができます。
予算そのものの決め方は、目的から逆算する手順を別記事にまとめています。
スケジュールは「公開日から逆算」で崩れる
特設サイトは公開日が動かせません。商品の発売日、イベントの開催日、キャンペーンの開始日に紐づいているからです。
ここで起きがちなのが、逆算したスケジュールが物理的に不可能になっているという事態です。特に圧迫されるのが次の3工程です。
- 素材の準備:撮影の日程調整、イラストの描き下ろし、原稿の社内承認
- 法務・品質チェック:景表法・薬機法まわりの確認が必要な業種は、この期間を必ず確保する
- 実機検証:動きの多いサイトほど、スマホ実機での確認に時間がかかる
デザインとコーディングの期間は、人を増やせばある程度縮められます。しかし上の3つは、人を増やしても縮まりません。スケジュールが厳しいと感じたら、この3工程を確保したうえで、デザインの提案回数を減らす方向で調整してください。
工程ごとに縮められる・縮められないの線引きは、下の記事で詳しく整理しています。
参考サイトの集め方と、制作会社への渡し方

「かっこいい」を分解して伝える
制作会社との打ち合わせで最も生産性が低いのが、参考サイトを見せながら「こういう感じがいいです」と言うだけで終わる時間です。制作側は「どこが良いと思ったのか」が分からないため、見当違いの提案が返ってきます。
参考サイトを渡すときは、次の4つの観点のうち、どれを参考にしてほしいのかを明示してください。
| 観点 | 伝え方の例 |
|---|---|
| 配色 | 「このミントグリーンのような、和なのに重くない色味」 |
| レイアウト | 「このシーン別の章立ての構成を真似たい」 |
| 動き | 「スクロールに合わせて要素が現れるくらいの控えめな動きで」 |
| 情報量 | 「ファーストビューはこれくらい情報を絞りたい」 |
BEAMSの別府竹細工のページを「和の雰囲気の参考」として渡すのと、「ミントグリーンの配色と縦書きの使い方の参考」として渡すのとでは、返ってくる提案がまったく変わります。
良い例と悪い例が両方必要
参考サイトは「好きなもの」だけでなく、「これは違う」というものも2〜3件渡してください。制作会社が方向性を絞り込む速度が明らかに上がります。
社内で意見が割れている場合も、この方法が有効です。「A案が好きな人」「B案が好きな人」の参考サイトを両方出してもらい、共通点を探す。共通点が見つからなければ、そもそも社内で目的が一致していないということになります。その場合は、デザインの議論に入る前に「この企画で何を達成するか」に戻ったほうが早く進みます。
ギャラリーサイトの使い方
参考サイト探しにギャラリーサイトを使うときは、検索条件を絞って見るのがコツです。Soreiine!!ギャラリーでは、掲載サイトを業種・サイトタイプ・色・レイアウトで絞り込めます。特設・プロモーションサイトだけを見たいなら、サイトタイプで絞れば該当するものがまとまって出てきます。
このとき、色で絞ってから見ると自社の企画に近いものが見つけやすくなります。この記事で紹介した実例も、白基調(SALONIA・太陽企画・常願寺川公園BBQテラス・日産サクラ)、ベージュ(キューライス×studio CLIP・スズキ ラパン)、グリーン(BEAMS)、ブルー(ソダテルラボ)と、色の系統ごとに醸し出す印象がきれいに分かれています。
自社のコーポレートカラーに近い色で絞って20件ほど眺めると、「この色でここまでできるのか」という感覚が掴めます。そのうえで良いと思ったものをブックマークし、上の4観点で分解して制作会社に渡す。これが最短ルートです。
レイアウトの判断に迷ったときは、こちらも参考になります。
発注時に見落とされがちな3つの論点

計測の設計を後回しにしない
特設サイトは効果測定が難しい、とよく言われます。理由は単純で、計測設計を公開直前に考えるからです。
最低限、次の3つは要件に入れてください。
- GA4の設置:既存サイトの下層に置く場合、既存の計測タグが自動で適用されるか確認する(適用されないケースがある)
- 流入元の識別:SNS・プレスリリース・広告など、送客元ごとにパラメータを付けたURLを用意する
- コンバージョンの定義:何をもって成功とするか。購入なのか、カタログ請求なのか、滞在時間なのか
3つ目が特に重要です。ブランドストーリー型の特設サイトに「購入数」を求めると、確実に失敗と判定されます。型によって測る指標を変えるという合意を、公開前に社内で取っておいてください。
支払い条件を確認する
特設サイトは制作期間が短い分、支払いのタイミングが通常のサイト制作と異なることがあります。着手金の割合、検収の定義、公開後の残金の支払い期日。ここは契約書を交わす前に確認してください。
特に「検収」の定義は要注意です。公開したら検収完了なのか、公開後◯日間の不具合対応まで含むのか。特設サイトは公開直後にアクセスが集中するため、公開後数日の対応範囲を明確にしておく価値があります。
誰に頼むかで得意分野が違う
特設サイトは、デザインの比重が大きい案件ほどフリーランスや小規模チームが強く、システム連携が絡む案件ほど制作会社が強い傾向があります。
- コラボ型・ブランドストーリー型で、素材が揃っていて1〜3ページ → デザインに強い個人・少人数チームが候補
- 応募フォーム・予約・ECとの連携がある → 体制のある制作会社が安全
判断軸の整理は下の記事にまとめています。
よくある質問
特設サイトは何ページくらいが標準ですか?
企画の型によって変わります。コラボ・タイアップ型なら1〜3ページ、プロダクト訴求型で3〜8ページ、施設・サービス告知型で3〜6ページが目安です。ページ数が多いほど良いわけではなく、1ページに情報を凝縮した構成のほうが成果が出る企画も多くあります。まず型を決めてから、必要な情報を並べてページ数を確定させてください。
参考サイトはいくつ用意すればいいですか?
「良いと思うもの」を3〜5件、「これは違うと思うもの」を2〜3件が適量です。良い例だけを大量に渡すと、制作会社が方向性を絞り込めません。あわせて、各サイトについて「配色・レイアウト・動き・情報量」のどれを参考にしてほしいのかを一言添えてください。この一言があるかどうかで、初回提案の精度が大きく変わります。
キャンペーン終了後、特設サイトはどうすべきですか?
3つの選択肢があります。終了表記を追加してそのまま残す、商品ページなどへ301リダイレクトする、削除して404にする、です。検索評価や被リンクを引き継ぎたいならリダイレクトが有利です。いずれの場合も、終了時の作業が見積もりに含まれているかを契約前に確認してください。含まれていないことが大半です。
予算を先に伝えると足元を見られませんか?
特設サイトに関しては、先に伝えたほうが良い提案が出ます。動き・ページ数・素材・システム連携のいずれも増減できるため、上限が分かっていれば制作会社が配分を設計できるからです。予算を伏せると「無難に全部そこそこ」の提案になり、企画の主役がぼやけます。上限額と、絶対に外せない要件をセットで伝えてください。
独立ドメインと既存サイトの下層、どちらが良いですか?
ブランド単位で長く運用する予定があるなら独立ドメイン、期間限定のキャンペーンなら既存サイトの下層が基本です。下層に置くと既存ドメインの検索評価を引き継げ、ドメイン・SSLの費用も不要になります。ただし既存サイトのCMSやテーマの制約を受けるため、凝ったデザインを実現したい場合は事前に実現可能かを確認してください。独立ドメインを取る場合は、契約名義を発注側にしておきます。
まとめ
特設・プロモーションサイトの発注でつまずく原因は、「型が決まっていない」ことに尽きます。実例を眺めて「かっこいい」で止まらず、次の順番で自社の企画に落とし込んでください。
- 4つの型(コラボ/プロダクト/ブランドストーリー/施設告知)のどれかを選ぶ
- 公開期間と終了後の扱いを先に決める
- 素材を誰が用意するかを明文化する
- 参考サイトを4観点に分解して制作会社に渡す
- 予算の上限と外せない要件をセットで伝えて、配分を設計してもらう
この5つが揃っていれば、複数社の見積もりが同じ土俵に乗り、金額の差の理由も説明できるようになります。逆にこれが揃っていない状態で相見積もりを取ると、安い会社と高い会社のどちらが正しいのかが永遠に分かりません。
紹介した実例は、いずれもSoreiine!!ギャラリーの特設・プロモーションサイトのカテゴリーから選んだものです。掲載されているサイトは業種も規模もさまざまですが、色やレイアウトで絞り込めば、自社の企画に近いものが見つかります。参考サイト探しの入口として使ってみてください。








