リニューアルガイド

Webリニューアルのチェックリスト|発注前に埋める47項目【2026年】

この記事の対象: 社内でサイトリニューアルの担当になり、何から手をつけるか整理したい発注担当者
読了時間: 約12分

リニューアルの担当になって最初に困るのは、「やることが多いのは分かるが、どの順番で何を決めればいいのか分からない」という点です。制作会社に相談すれば進行表はもらえます。ただしそれは発注が決まったあとの表で、その手前——社内で何を確定させてから声をかけるか——は誰も教えてくれません。

ここで扱うのは、制作会社に相談する前と、発注してから公開までの間に、発注側が自分で埋めておくチェックリストです。デザインの好みやキャッチコピーの話は入れていません。埋め忘れると、後から追加費用か公開延期のどちらかになる項目だけを47個に絞りました。

そのままコピーして社内の共有ドキュメントに貼れる形にしてあります。


リニューアルのチェックリストは「4つの時点」に分けないと機能しない

リニューアルのチェックリストは「4つの時点」に分けないと機能しない

チェックリストを配っても使われない理由ははっきりしています。時点が混ざっているからです。

「ターゲットを決める」と「301リダイレクトの一覧を作る」が同じリストに並んでいると、担当者は上から順に読んで3行目で止まります。前者は企画段階、後者は公開2週間前の作業で、やる人も時期も違います。

リニューアルの4時点と、各時点で埋めるもの
① 相談前目的・予算・体制・現状データを社内で確定
② 発注前要件と見積の前提を各社で揃える
③ 制作中原稿・素材・確認体制の遅延を止める
④ 公開前後移行・計測・引き継ぎを取りこぼさない

この4つは担当者も判断者も違います。①と②は発注側が主役、③は双方、④は制作会社が主役で発注側が検収する側に回ります。以下、時点ごとに項目を並べます。

なお「そもそも今リニューアルすべきか」の判断軸は別の記事で扱っています。まだ社内で合意が取れていない段階なら、先にこちらを読んでから戻ってきてください。


① 相談前チェックリスト(12項目)

① 相談前チェックリスト(12項目)

制作会社に声をかける前に社内で埋める項目です。ここが空欄のまま相談に行くと、ヒアリングという名の代行作業が始まり、その分の工数が見積に乗ります。

目的と評価軸(4項目)

# 項目 埋め方の基準
1 リニューアルの目的を1つに絞ったか 「集客も採用もブランディングも」は優先順位を付ける。1位以外は「できれば」に落とす
2 現状の何が問題かを数字で言えるか 「古い」ではなく「問い合わせが月◯件で、うち◯件がフォーム未送信で離脱」
3 公開後に何が変わったら成功か 数値目標。ただし社内で握れる範囲でよい
4 いつまでに公開したい理由があるか 展示会・期首・補助金の期限など。理由が無いなら「無い」と書く

3番を空欄にしたまま進めると、公開後に「で、効果は出たんですか」と上から聞かれて答えられません。リニューアル案件でいちばん多い社内トラブルがこれです。数字は控えめでかまわないので、着手前に文字にしておきます。

予算と決裁(4項目)

# 項目 埋め方の基準
5 制作費の上限額を把握しているか 「相見積を見てから決める」は上限が無いのと同じ
6 公開後の年間運用費を予算に入れているか サーバー・ドメイン・保守・更新代行。制作費と別枠で必要
7 決裁者と決裁のタイミングを確認したか 稟議が月1回なら、その回を外すと1ヶ月止まる
8 会計処理の扱いを経理に確認したか 資産計上か経費か。金額と内訳の切り方が変わる

6番と8番は、制作会社が先に聞いてくれるとは限りません。維持費の内訳と、経理で論点になる部分はそれぞれ別記事で分解しています。

補助金を使う予定があるなら、申請より先に発注すると対象外になる制度が普通にあります。順番だけは先に確認してください(補助金でホームページを作る申請スケジュールと順番)。

体制と現状把握(4項目)

# 項目 埋め方の基準
9 社内の担当者と確認フローを決めたか 「誰が最終OKを出すか」を1人に。多人数レビューは工程を伸ばす最大要因
10 現サイトのアクセス解析を見られる状態か GA4の管理権限。持っていないなら誰が持っているか探す
11 ドメイン・サーバーの契約名義と管理画面を把握しているか 前の制作会社名義だと移行で止まる
12 既存の原稿・写真・ロゴデータの所在を洗い出したか 「あるはず」ではなく、実際にファイルを開いて確認する

11番は毎回ここで詰まります。ドメインが前の制作会社の名義のままで、連絡が取れない/移管に費用を請求される、というケースは珍しくありません。名義の確認方法と、あるべき持ち方はこちらに整理してあります。


② 発注前チェックリスト(13項目)

② 発注前チェックリスト(13項目)

相見積を取り、比較して発注先を決めるまでの項目です。ここでの目的はただ一つ、各社の見積を同じ土俵に載せることです。

要件を各社に同じ形で渡す(6項目)

# 項目 確認する理由
13 ページ数と各ページの役割を一覧にしたか ページ単価で積む会社が多い。数が揺れると比較できない
14 更新したいページと更新頻度を書いたか CMS化の範囲が決まる。ここが見積差の最大要因
15 原稿を誰が書くか決めたか ライティング込みか支給か。数十万円単位で変わる
16 写真を誰が用意するか決めたか 撮影・素材購入・支給の3択。「あとで決める」が追加費用の入口
17 既存コンテンツの移行範囲を決めたか ブログ200本を手作業で移すのかしないのかで工数が桁違い
18 多言語・EC・会員機能の有無を明記したか 後出しすると設計からやり直しになる

14番を補足します。「CMS化」と一言で言っても、全ページをブロック単位で自由に編集できるのと、お知らせ一覧だけ追加できるのとでは、実装工数が数倍違います。どこを触りたいかをページ単位で書いてください。

CMS化の範囲は3段階で指定する

A. 一覧追加のみ

  • お知らせ・ブログ・実績
  • 決まった型に流し込むだけ

B. 固定ページのテキスト差し替え

  • 文章と画像の入れ替え
  • レイアウトは固定

C. ブロックを自由に組める

  • 新規ページを自分で作れる
  • 実装費・運用の教育コストが最も高い

Cを全ページに求めると費用が跳ねます。本当に必要なページだけCにするのが現実解です。

見積比較用の依頼内容テンプレートは別記事にまとめてあります。そのまま各社に配れる形にしてあるので、13〜18番を埋める作業はこちらを併用すると早いです。

見積書の読み方(7項目)

# 項目 見る場所
19 「一式」表記が何を含むか確認したか 一式の中身が書かれていない見積は比較不能
20 デザインの修正回数の上限を確認したか 「2回まで」が一般的。3回目以降の単価も聞く
21 公開後の初期不具合対応の期間を確認したか 検収後◯日間は無償、といった条件
22 保守契約の内容と金額を確認したか 月額に何が含まれるか。CMS更新代行は別料金が普通
23 支払いタイミングを確認したか 着手金の比率と残金の支払い時期
24 ソースコードとデザインデータの権利を確認したか 他社に引き継げるか。ここが縛られると次のリニューアルで困る
25 見積の有効期限を確認したか 稟議が長引くと失効する

24番は発注側から聞かないと出てこない話です。制作物の著作権が制作会社に留保されたままだと、次にサイトを触るとき同じ会社に頼むしかなくなります。譲渡なのか利用許諾なのか、契約書の文言を1回だけ確認してください。

支払い条件については、着手金・中間金・検収の一般的な区切りをこちらで解説しています。

Web制作の支払いタイミング|着手金・中間金・検収の仕組み【2026年】


③ 制作中チェックリスト(10項目)

③ 制作中チェックリスト(10項目)

発注が決まったあと、進行を止める原因はほぼ発注側にあります。制作会社は言いにくいので、先に自分で潰しておく項目です。

# 項目 期限の目安
26 原稿の提出期限を自分のカレンダーに入れたか デザイン確定と同時期。ここが遅れると全工程が後ろ倒し
27 写真撮影の日程を押さえたか 天候・社員の都合で1回は流れる前提で早めに
28 社内確認の回覧ルートと所要日数を測ったか 「1週間で返します」と言って2週間かかるのが常
29 修正指示を1つの窓口にまとめているか 複数人が直接連絡すると指示が矛盾する
30 「デザイン確定」の意味を双方で合意したか ここを過ぎての構成変更は追加費用
31 実機での表示確認をスマホでもしたか PC画面だけで承認して公開後に気づく事故が多い
32 フォームの項目と送信先メールを確定したか 送信先が個人アドレスのままだと退職時に止まる
33 個人情報保護方針・特商法表記を更新したか 旧サイトからのコピーで社名や住所が古いまま、が頻発
34 管理画面の操作説明を受ける日を決めたか 公開直後に集中すると誰も覚えていない
35 公開日と、公開作業をする人を決めたか 金曜夕方の公開は避ける。不具合が出たとき週末対応になる

29番と30番は、揉めたときに必ず争点になります。「言った・言わない」を避けるために、確定した瞬間にメールで残す。それだけで防げます。

34番について補足すると、納品される管理画面は発注側が触らない項目まで全部見える状態であることが多いです。不要な項目を隠しておくと運用事故が減ります。制作会社にこの対応が可能か聞いてみてください(実装の中身はWordPress管理画面カスタマイズ完全ガイドにあります)。



④ 公開前後チェックリスト(12項目)

リニューアルで取り返しがつかない失敗が起きるのは、ほぼこの区間です。ここだけは制作会社任せにせず、発注側も1つずつ潰してください。

公開前(7項目)

# 項目 やらないとどうなるか
36 旧URLから新URLへのリダイレクト一覧を作ったか 検索順位と被リンクを失う。復旧に数ヶ月
37 削除するページを確認したか 外部から貼られているページが消えると404が積み上がる
38 noindex設定が外れているか確認したか テスト環境の設定が残ると検索結果から消える
39 GA4・Search Consoleのタグが新サイトに入っているか 公開日からのデータが丸ごと欠ける
40 フォームのテスト送信を本番環境でしたか 届かないフォームで数週間気づかない事故
41 旧サイトのバックアップを取ったか 戻せる状態を残す。少なくとも公開後1ヶ月は保持
42 表示速度を計測したか 画像が最適化されず重いまま納品されることがある

38番は実際に起きます。テスト環境で検索避けをかけたまま公開して、数週間検索結果に出ない。発注側でも確認できるので、公開当日にブラウザでソースを開いて noindex の文字が無いか探してください。それだけで防げます。

36番のリダイレクトについては、一覧を作るのは制作会社の仕事ですが、「どのページが重要か」を知っているのは発注側です。アクセス数の多い上位20ページだけは自分で確認してください。

公開後(5項目)

# 項目 期限
43 Search Consoleでカバレッジのエラーを見たか 公開1週間後と1ヶ月後
44 主要ページの検索順位を記録したか 公開直後は一時的に下がる。慌てない材料として記録する
45 管理画面のID・パスワードを社内で共有したか 担当者1人の個人メモだけ、という状態を解消する
46 ドメイン・サーバーの更新日と支払い方法を確認したか 更新忘れでサイトが消える事故は毎年ある
47 次にやることを3つ書き出したか 公開はゴールではない。運用の初回タスクを決めて終わる

44番を補足します。リニューアル直後に検索順位が下がるのはよくあることで、URLが変わっていれば再評価に時間がかかります。公開前の順位を記録していないと、「下がった」のか「もともとその位置だった」のかも判断できません。公開の1週間前に、主要キーワード5つ程度の順位をスクリーンショットで残しておいてください。


チェックリストだけでは決まらないもの——完成イメージの共有

チェックリストだけでは決まらないもの——完成イメージの共有

47項目を埋めれば、費用と進行のトラブルはほぼ防げます。ただし1つだけ、リストで埋まらないものが残ります。「どんなサイトにしたいか」の共有です。

ここが曖昧なまま進むと、デザイン案が出てきた段階で「思っていたのと違う」となり、修正回数の上限を使い切ります。言葉で伝えるのは無理があるので、実物を指して伝えるのが最短です。

Soreiine!!のギャラリーには、業種・レイアウト・配色で絞り込める形で実際のサイトが集めてあります。使い方は決まっていて、次の3つを社内で持ち寄ります。

  • 構成が近いもの(ページ数・メニューの並びが自社に近い)
  • 雰囲気が近いもの(配色・写真の使い方が好み)
  • これは違うもの(避けたい方向を1つ挙げておくと精度が上がる)

3つ目を出せる会社は少ないのですが、これがいちばん効きます。「派手すぎるのは避けたい」と言葉で言うより、実物を1つ指して「これは違う」と言うほうが、制作側は正確に受け取れます。

参考サイトの渡し方で結果が変わる

伝わる渡し方

  • URLを3〜5本に絞る
  • 各1行で「どこが良いか」を書く
  • 避けたい例も1本添える

伝わらない渡し方

  • 「おしゃれな感じで」
  • URLを20本まとめて送る
  • 良い点のコメントが無い

「どこが良いか」を1行書くのが要点です。同じサイトを見ても、余白の取り方が好きなのか、写真の色味が好きなのかで、出てくるデザインは全く別物になります。

なお、参考サイトを選ぶときに「この構成は自社に合うのか」を判断しにくい場合があります。たとえば3カラムのレイアウトは情報量の多いサイトでは今も有効ですが、掲載する情報が少ないと持て余します。判断軸はこちらにまとめました。


発注側が見落としがちな3つの論点

発注側が見落としがちな3つの論点

47項目に入れてありますが、特に見落とされやすく、後から効いてくるものを補足します。

「移行しない」判断をしていない

リニューアルというと全部作り直す前提で話が進みますが、移行しないページを決めるほうが重要です。長く運営したサイトには、もう誰も見ていないページが必ずあります。

判断の材料はGA4のアクセス数です。過去1年で閲覧が数件しかないページは、移行工数をかける価値が薄い。ただし外部サイトからリンクされているページは、アクセスが少なくても残すかリダイレクトを当てる必要があります。Search Consoleのリンクレポートで確認してください。

「公開後に誰が更新するか」が決まっていない

CMS化を要件に入れたのに、公開後に誰も更新しない——これがいちばんもったいないパターンです。更新の担当者が決まっていないなら、CMS化の範囲を狭めて制作費を下げたほうが合理的です。

更新頻度が月1回以下なら、制作会社に都度依頼する形(更新代行)のほうが総額で安くなることもあります。CMS実装費と更新代行の年間費用を並べて比べてください。

発注先の種類を検討していない

制作会社だけが選択肢ではありません。規模と要件次第では、フリーランスに依頼したほうが対応が速く費用も抑えられます。逆に、複数人の体制が必要な規模で個人に依頼すると、担当者が倒れた瞬間に止まります。

判断軸は費用ではなく、体制・継続性・対応範囲です。

極端に安い見積が出てきたときは、どの工程が省かれているかを見てください。安いこと自体は悪くありませんが、省かれた工程の分は後から自分でやることになります(格安ホームページが安い理由と注意点)。


よくある質問

リニューアルのチェックリストは、いつ制作会社に見せればいいですか

相談の初回に、①相談前の12項目を埋めた状態で見せるのが最も効率的です。制作会社側はヒアリングの時間を短縮でき、その場で具体的な提案に入れます。②以降の項目は自分の手元で管理する用なので、共有する必要はありません。

項目が多すぎて全部は埋まりません。優先順位はありますか

最優先は3つです。目的を1つに絞ること(項目1)、ドメイン・サーバーの名義を確認すること(項目11)、リダイレクト一覧を作ること(項目36)。この3つが抜けると、それぞれ「作り直し」「移行不能」「検索流入の喪失」という取り返しのつかない結果になります。他は後から埋めても間に合います。

制作会社がチェックリストを用意してくれる場合、自分で作る必要はありますか

制作会社のリストは制作進行のためのもので、発注側の社内調整(決裁・予算・体制・権利関係)は含まれないのが普通です。両方必要だと考えてください。重複する項目があれば片方を消せばよく、手間は増えません。

公開日はいつに設定するのがいいですか

火曜日または水曜日の午前中を推奨します。不具合が出たときに、その週のうちに対応できるためです。金曜夕方や連休前の公開は、問題が起きると数日放置になります。また、繁忙期や大きなキャンペーンの直前も避けてください。

リニューアル後に検索順位が下がったら、どうすればいいですか

公開から1ヶ月は様子を見ます。URLが変わっていれば再評価に時間がかかるためです。並行して、Search Consoleでカバレッジのエラーとリダイレクトの設定漏れを確認してください。1ヶ月経っても戻らない場合は、リダイレクトの設定漏れか、移行時にコンテンツが削られている可能性が高いです。


まとめ

リニューアルのチェックリストは、時点で分けて使うのが前提です。

  • 相談前(12項目): 目的・予算・体制・現状データ。ここが埋まっていないと相談が長引く
  • 発注前(13項目): 要件を各社に同じ形で渡し、見積の前提を揃える
  • 制作中(10項目): 進行を止めるのは発注側。原稿・確認体制・窓口の一本化
  • 公開前後(12項目): リダイレクト・noindex・計測タグ。取り返しがつかないのはここ

47項目のうち、どれか3つだけ選ぶなら「目的を1つに絞る」「ドメインの名義を確認する」「リダイレクト一覧を作る」です。この3つを外さなければ、致命的な失敗はほぼ起きません。

そして、リストで埋まらない「どんなサイトにしたいか」は、実物を指して伝えるのが最短です。参考サイトを3〜5本、それぞれ1行のコメント付きで用意する。ここまで持って相談に行けば、初回の打ち合わせの密度が変わります。