この記事の対象: ShopifyでECサイトを運営中、またはこれから構築する予定で、会社概要や沿革などのコーポレートページも同じサイト内に持ちたい事業者の方
読了時間: 約12分
Shopifyで商品を販売しているサイトに、あとから「会社概要もほしい」「採用ページも置きたい」という要望が出ることは珍しくありません。最初から、ECとコーポレートサイトを一つにまとめたいと考えている方もいるでしょう。
Shopifyは「ECプラットフォーム」という印象が強いため、会社概要・沿革・アクセスマップ・採用情報といったページをどう作ればよいのか、迷う場面が多いようです。商品ページと同じテンプレートで会社概要を置いてしまい、「ショッピングカートの横に会社沿革がある」という違和感のあるサイトも見かけます。
この記事では、Shopifyの固定ページ機能やテンプレートの仕組みを使い、コーポレートサイトとしての会社概要ページをきちんと作る方法を整理します。「ECの付録」に見えないサイト設計の勘所を、制作側の視点からお伝えします。
なぜShopifyに会社概要ページが必要なのか

「ECサイトに会社概要なんて要るの?」という声はあります。結論から言えば、要ります。特にBtoBの取引がある事業者や、自社ブランドの世界観を大事にしている場合は欠かせません。
「どんな会社が売っているか」は購入に影響する
ネットで買い物をするとき、初めて使うショップでは「運営会社」や「会社概要」のリンクを探す人が一定数います。特定商取引法に基づく表記で最低限の情報は載っていても、住所と代表者名だけでは「信用して大丈夫か」の判断がつきません。
沿革や代表メッセージ、事業の背景を伝えるページがあると、商品だけでは足りない信頼性を補えます。BtoBで新規取引を検討する企業の担当者であれば、なおさら会社情報を確認してから問い合わせるかどうかを決めるでしょう。
コーポレートサイトを別に持つか、Shopifyに同居させるか
会社概要のために別ドメインでコーポレートサイトを用意する選択肢もあります。ただし以下のような負担との比較になります。
| 項目 | サイトを分ける場合 | Shopifyに同居させる場合 |
|---|---|---|
| ドメイン・サーバー費 | 別途必要 | 不要(Shopifyに含まれる) |
| 更新の手間 | 2サイト分の管理 | 1サイトで完結 |
| デザインの統一 | 意識して合わせる必要あり | 同一テーマで自然に統一される |
| SEOのドメイン評価 | 分散する | 1ドメインに集約できる |
| コーポレートページの自由度 | 高い | テーマの制約を受ける |
すべてのケースで「同居」が正解とは限りません。IR情報を開示する上場企業や、事業部ごとに独立したサイトが必要な組織には向きません。一方、中小規模の事業者がECと会社案内を1つのサイトにまとめるなら、Shopifyに同居させる方が合理的な場合は多いです。
ShopifyをECとコーポレートの兼用にする考え方全体については、以下の記事で整理しています。
固定ページで作れるコーポレートページの一覧と限界

Shopifyの管理画面には「ページ」という機能があります(管理画面 → オンラインストア → ページ)。商品やブログとは独立した固定ページを作成できる機能で、コーポレートページはここで作ります。
よく作られるページとその対応状況を整理しておきます。
| ページの種類 | 載せる内容 | 標準エディタでの対応 |
|---|---|---|
| 会社概要 | 社名・所在地・設立・代表者・事業内容 | ◯ 表組みで十分 |
| 沿革 | 年表形式の歩み | ◯ 表やリストで対応可 |
| 代表メッセージ | 写真と文章 | ◯ リッチテキストで対応可 |
| アクセス | 地図・住所・交通手段 | △ Googleマップ埋め込みにHTML操作が必要 |
| 採用情報 | 募集職種・条件・応募方法 | △ 内容の複雑さによる |
| お問い合わせ | フォーム | ◯ Shopify標準フォームあり |
| プライバシーポリシー | 法的文書 | ◯ テキストのみ |
「◯」のページは、管理画面のリッチテキストエディタで見出し・本文・画像・表を組み合わせれば一通りの体裁が整います。HTMLやプログラミングの知識は不要です。
「△」のページは少し工夫が要ります。Googleマップの埋め込みはHTML編集モードに切り替えてiframeタグを貼る作業が発生しますし、採用情報で募集要項が複数あってレイアウトを細かく制御したい場合はカスタムテンプレートの検討が必要です。
固定ページのリッチテキストエディタでできることには限界があり、「文章と表と画像を縦に並べる」以上のレイアウトは基本的にできません。段組みにしたい、背景色を変えたい、独自のデザインを適用したいといった要件が出てきたら、次に説明するテンプレートの仕組みを使うことになります。
「ECサイトのおまけ」に見えない構成の作り方

固定ページを作っただけでは、「ショッピングサイトの片隅に会社概要がある」という印象になりがちです。同じShopifyサイトの中でも、コーポレートサイトとしてきちんと見てもらうには、サイト全体の構成設計が必要です。
メニュー構成の整理が最優先
コーポレートページの印象を最も左右するのは、個々のページのデザインではなくメニュー(ナビゲーション)の構成です。
Shopifyのメニューは管理画面(オンラインストア → メニュー)で編集できます。多くのテーマでは「メインメニュー」と「フッターメニュー」の2つが用意されています。
メインメニュー
- 商品一覧
- ブランドについて
- 会社情報(ドロップダウン)
- お問い合わせ
会社情報の中身
- 会社概要
- 沿革
- アクセス
- 採用情報
「会社情報」をドロップダウンにまとめ、商品系と同じ階層に置く。
ここで大事なのは、コーポレート系のページをフッターだけに押し込めないことです。フッターにしかリンクがないと、「重要でないから隅に置いている」という印象を与えます。メインメニューに「会社情報」や「企業情報」という項目を設け、ドロップダウンで各ページへアクセスできる導線を作りましょう。
ページ構成やメニュー設計の考え方は、Webサイトの情報設計とページ構成|社内都合で並べない進め方【2026年】で詳しく解説しています。
ヘッダーとフッターで「企業感」を出す
ECサイトのヘッダーにはカートアイコンや検索バーが目立つ位置に置かれています。これ自体は正しい設計ですが、会社概要ページを見ているときにショッピングカートが大きく表示されていると、「やはり通販サイトだな」と感じさせてしまいます。
ページごとにヘッダーを切り替えられるテーマは多くありませんが、以下の対処で印象を調整できます。
- フッターに会社名・所在地・電話番号・SNSリンクなどのコーポレート情報をしっかり記載する
- ロゴの横やヘッダー周辺に企業のキャッチコピーを入れる(テーマの設定で対応できる場合あり)
- 商品カテゴリのメガメニューと会社情報メニューを視覚的に区別する
フッターの情報を充実させるだけでも、サイト全体の「企業サイトとしての格」はかなり変わります。
URLの設計も忘れずに
Shopifyの固定ページは、デフォルトで /pages/ 以下にURLが作られます。ページ作成時にタイトルからURLハンドルが自動生成されますが、日本語タイトルだとローマ字変換されて /pages/kaisha-gaiyou のようなURLになることがあります。
ページを作るときに、URLハンドルを手動で /pages/about、/pages/company、/pages/access などの英語に設定しておきましょう。見た目の問題だけでなく、URLが意味のある英単語になっていると検索エンジンにとっても好ましいとされています。
ページテンプレートの使い分け

Shopifyの固定ページには「テンプレート」を割り当てる機能があります。テーマに用意されたテンプレートを選ぶか、独自にテンプレートを作るかで、ページの表現力が大きく変わります。
標準テンプレートで済むケース
ほとんどのテーマには、固定ページ用のデフォルトテンプレートが用意されています。タイトルと本文をシンプルに表示する構成です。以下のようなページなら、このテンプレートで問題ありません。
- 会社概要(表組みと文章だけで構成)
- プライバシーポリシーや利用規約
- 代表メッセージ(写真1枚と文章)
カスタムテンプレートが必要になるケース
一方で、以下のような要件があるとカスタムテンプレートの出番です。
- 沿革ページに年表風のデザインを適用したい
- 採用情報にアコーディオン(開閉式の表示)を使いたい
- アクセスページに複数拠点の情報を並べたい
- 画像付きの段組みやセクションを自由に配置したい
標準テンプレートで十分
- 文章と表だけで伝わる
- レイアウトの自由度は不要
- 社内でテキスト更新したい
カスタムが必要
- 独自デザインを適用したい
- セクション単位で要素を配置したい
- ページごとに異なる構成が要る
「Online Store 2.0」に対応したテーマであれば、固定ページにもセクションを自由に配置できます。テーマエディタ上で画像バナー・テキスト列・FAQなどのセクションを組み合わせてページを構成できるため、Liquidのコードを書かなくてもある程度のカスタマイズが可能です。
ただし、テーマに用意されていないセクション(年表やタイムラインなど)が必要な場合は、Liquidのコード編集が避けられません。この作業は制作会社やShopifyパートナーに依頼するのが現実的です。
アプリで補えること・テーマ改修が要ること

Shopifyのアプリストアには、機能を拡張するアプリが多数あります。コーポレートページの構築に役立つものもありますが、「困ったらアプリを入れる」という考え方には注意が必要です。
アプリが向いている領域
- フォームの拡張: Shopify標準のお問い合わせフォームは入力項目が限られるため、項目を増やしたい場合はフォーム系アプリが有効です
- 地図の埋め込み: HTMLを書かずにGoogleマップを設置できるアプリがあり、複数拠点の表示にも対応するものがあります
- FAQの表示: よくある質問をアコーディオン形式で見せるアプリは定番ジャンルで、選択肢が豊富です
※アプリの料金体系は頻繁に変更されるため、導入前に各アプリのページで最新の価格を確認してください。
アプリでは解決しにくい領域
- ページ全体のレイアウトやデザインの変更
- コーポレートページだけヘッダーの表示を変える
- 沿革の年表のようなオリジナルデザインのパーツ
- メニュー構成の大幅な組み替え
こうした要件はテーマのLiquidコードを編集するか、カスタムセクションを新たに開発する必要があります。
アプリを積み上げるリスク
アプリは1つずつ見れば便利ですが、数が増えると別の問題が出てきます。
- 表示速度の低下: アプリごとにJavaScriptやCSSが読み込まれ、ページの表示が重くなる
- 月額費用の膨張: 1つ数ドルのアプリでも、積み重なると無視できないコストになる
- テーマとの干渉: アプリが出力するHTMLとテーマのCSSが競合してデザインが崩れるケースがある
- 解約後の残骸: アプリが追加したコードやスクリプトが、解約しても自動で消えずにサイトに残ることがある
アプリを検討する前に、まずShopifyの標準機能とテーマの機能でどこまでできるかを確認してください。標準機能で大半をカバーできるのに、残りのためにアプリを複数入れるのは本末転倒です。
更新を止めないための運用設計

コーポレートページは作って終わりではありません。人事異動があれば代表メッセージを更新し、オフィスが移転すればアクセスページを書き換える必要があります。公開後の運用まで見据えた設計をしておかないと、情報が古いまま放置されるページが出てきます。
「誰がどこまで触れるか」を明確にしておく
Shopifyの管理画面は比較的扱いやすい部類ですが、それでも「どこを変えればどこが変わるのか」が共有されていないと、更新は止まります。
| 作業内容 | 難易度 | 社内で対応できるか |
|---|---|---|
| 固定ページのテキスト修正 | 低 | ◯ 管理画面から直接編集 |
| 画像の差し替え | 低〜中 | ◯ 手順を一度共有すれば可 |
| メニュー項目の追加・並べ替え | 中 | △ 構造を崩すリスクあり。ルールを決めておく |
| テンプレートの変更 | 高 | ✕ 制作会社に依頼 |
| Liquidコードの編集 | 高 | ✕ 制作会社に依頼 |
社内の担当者に任せる範囲と、制作会社に依頼する範囲を事前に線引きしておくことが重要です。特にメニュー構成の変更は、操作自体は簡単でも「階層を崩してしまう」「リンク先を間違える」といったミスが起きやすいため、変更前にスクリーンショットを残すなどのルールを決めておくとよいでしょう。
社内の担当者をどう決め、どう体制を組むかについてはホームページの社内担当者の決め方|体制づくりで進行が変わる【2026年】にまとめています。
原稿と写真は制作と並行して準備する
会社概要に載せる情報は、制作会社が代わりに書けるものではありません。社名・所在地・設立年月日といった基本情報に加え、代表メッセージや事業説明の文章は社内で準備する必要があります。
「デザインができたら原稿を用意しよう」と先送りにすると、ページの枠は完成しているのに中身がなく、公開が数週間ずれるというパターンに陥りがちです。素材準備の進め方を事前に整理しておきたい方は、Webサイトの写真と原稿の用意|出来を左右する素材準備の進め方を参考にしてください。
制作会社に依頼する場合の確認ポイント

コーポレートページの構築まで含めて制作会社に依頼する場合、見積もり段階で以下の点を確認しておくと、あとから「聞いていない」というトラブルを防げます。
- 使用テーマ: 無料テーマ・有料テーマ・フルカスタムのどれか。コーポレートページの表現力はテーマ選定で大きく変わる
- テンプレートの数: 会社概要・沿革・採用など、ページごとに専用テンプレートを作るのか、共通テンプレートで済ませるのか
- 納品後に社内で更新できる範囲: テキスト修正だけか、セクションの入れ替えまで可能か
- アプリの導入と設定費用: フォームアプリや地図アプリの設定費用が見積もりに含まれるのか、別途なのか
- 修正対応の範囲: 公開後に「やはり沿革ページのデザインを変えたい」となった場合の費用感
特に重要なのは、最初の要件伝達の段階で「商品ページだけでなく、会社概要・沿革・アクセス・採用ページも必要」と明確に伝えることです。ECサイトの構築を依頼すると、制作会社によっては商品関連ページだけを想定して見積もるケースがあります。あとからコーポレートページを追加すると、追加費用が発生するか、テーマの制約で思ったようなページが作れないという事態になりかねません。
制作会社への依頼前に何を整理しておくべきかは、以下の記事が役に立ちます。
よくある質問

Shopifyの固定ページだけで会社概要は十分に作れますか?
社名・所在地・設立年・事業内容といった基本情報を表組みで載せるだけなら、固定ページのリッチテキストエディタで十分です。デザインにこだわりたい場合や、年表を独自レイアウトで表現したい場合は、カスタムテンプレートの作成を検討してください。
ECテーマで会社概要を作ると「通販サイト感」が出ませんか?
テーマのデザインそのものよりも、メニュー構成とフッターの情報量で印象は大きく変わります。メインメニューに「会社情報」カテゴリを設け、フッターに所在地・連絡先を載せるだけで、コーポレートサイトとしての体裁は十分に保てます。
Googleマップを会社概要ページに埋め込むにはどうしますか?
固定ページのHTML編集モードに切り替えて、Googleマップの埋め込みコード(iframe)を貼り付ける方法が最もシンプルです。HTMLの操作に不安がある場合は、地図表示用のアプリを利用する手もあります。
Shopifyで採用ページを作るのは現実的ですか?
募集職種が1〜2種類で、応募方法がメールや外部フォームへの誘導であれば、固定ページで問題なく対応できます。職種ごとにフォームを分けたい、応募を管理画面で一元管理したいといった場合は、採用管理サービスとの連携を検討した方がよいでしょう。
別ドメインのコーポレートサイトとShopify、どちらに会社概要を置くべきですか?
EC売上が事業の主軸で、会社情報は信頼性の補完が目的なら、Shopifyに統合する方が管理コストを抑えられます。IR情報の開示が必要な上場企業や、ECとは別の事業領域を持つ企業は、コーポレートサイトを独立して持つ方が適切です。
まとめ
Shopifyで会社概要や沿革、アクセスといったコーポレートページを作ること自体は、技術的には難しくありません。固定ページの機能を使えば、基本的な情報は管理画面だけで掲載できます。
ただし、「ECサイトに間借りした会社案内」に見えるか、「企業としてのサイトの中にECもある」と感じてもらえるかは、ページ単体の作りではなくサイト全体の構成設計で決まります。メニューの組み方、フッターに置く情報、テンプレートの使い分け。こうした設計をおろそかにすると、ページをいくら追加してもコーポレートサイトとしての説得力は生まれません。
自社で構築する場合も制作会社に依頼する場合も、「コーポレートページが必要」ということをプロジェクトの最初の段階で明確にし、サイト設計に組み込んでおくことが大切です。


