リニューアルガイド

Shopifyの特定商取引法・返品ポリシー設定|必要なページと直す箇所

この記事の対象: ShopifyでのEC構築・リニューアルを検討している事業者、公開直前でポリシーページの中身に不安がある担当者
読了時間: 約15分

Shopifyでストアを作ると、管理画面のどこかにポリシーの入力欄があることには気づきます。ボタンを押せばテンプレートが入り、フッターにリンクも出る。ここまでは短時間で終わります。

問題はその後です。入ったテンプレートは自社の実態と一致していません。返品期間も、送料の負担も、連絡先も、書いてある内容がそのまま「ストアが公開している約束」になります。公開後にトラブルが起きたとき、根拠として持ち出されるのはこの文章です。

さらに日本には特定商取引法(特商法)に基づく表示という別の義務があり、Shopifyの標準のポリシー欄だけでは項目が足りません。EC構築を請ける立場から見ると、ここは「あとで法務に見てもらう」で先送りされたまま公開日を迎えやすい場所です。

この記事では、Shopifyで用意すべきポリシーページを整理し、どこに入力すればフッターに出るのか、テンプレートのどこが実態と食い違うのか、自社の事情に合わせて必ず直すべき項目はどれかを、作る側の判断軸で書きます。


Shopifyで用意すべきポリシーページは4つ

まず全体像です。日本のShopifyストアで必要になるページは、性格の違う4つが基本形で、扱う商材によってさらに追加が発生します。

Shopifyストアに必要なポリシーページの分類

法令で表示が求められるもの

  • 特定商取引法に基づく表示
  • プライバシーポリシー

取引条件として自分で決めるもの

  • 返品・返金ポリシー
  • 利用規約(購入・会員規約)

扱う商材によって追加で要るもの

  • 酒類・食品・化粧品などの業法表示
  • 資金決済法に基づく表示(ギフト券・ポイント)

上段は「書かない」という選択肢がなく、中段は中身を自分で決める性格のもの。下段は該当する商材を扱うときだけ追加されます。

この分類が重要なのは、Shopifyの管理画面の作りと一致していないからです。Shopifyのポリシー欄は英語圏の商習慣を前提に設計されていて、「特定商取引法に基づく表示」という枠は最初から存在しません。ここを理解しないまま進めると、「テンプレートを全部埋めたから大丈夫」という誤解が生まれます。

それぞれが担っている役割

ページ 性格 書かないとどうなるか
特定商取引法に基づく表示 通信販売事業者の義務表示 法令上の表示義務を満たさない。決済代行の審査で指摘されることもある
プライバシーポリシー 個人情報の取得・利用目的の公表 個人情報保護法の要請を満たさない。外部ツール連携の根拠も示せない
返品・返金ポリシー 事業者が決める取引条件 返品の可否・期間を自社で決められず、法の原則側の扱いになる
利用規約 会員・購入の条件 会員機能や定期購入がある場合に、解約条件などの根拠がなくなる

「返品・返金ポリシー」だけは性格が違います。通信販売には店舗訪問販売のようなクーリング・オフ制度がなく、返品の可否と条件は事業者が定めて表示したもの(返品特約)が優先されます。

裏を返すと、返品特約を表示していない場合は法律側の原則が適用され、商品の引渡しを受けた日から8日間、購入者が申込みの撤回・契約の解除をできる扱いになります(この場合の返送費用は購入者負担です)。ここを空欄のまま公開するのは、条件を決める権利を放棄しているのと同じです。


管理画面のどこに入れると、フッターに出るのか

Shopifyのポリシーには入り口が2つあり、これが混乱の元になっています。

ポリシーページの2つの作り方と出力先

ポリシー設定(専用欄)

  • 設定 > ポリシー に入力する
  • URLが /policies/ 配下で固定
  • チェックアウト画面からも参照される
  • 返品・プライバシー・利用規約・配送はここ

通常ページ(自由に作る)

  • 販売チャネル > オンラインストア > ページ で作る
  • URLは /pages/ 配下で自由に決められる
  • メニューに手で追加しないとどこにも出ない
  • 特商法表示はこちらで作ることになる

特定商取引法に基づく表示だけは、専用欄が存在しません。通常ページとして自分で作り、フッターメニューに自分でリンクを追加する必要があります。ここが抜けたまま公開されているストアは実際によく見かけます。

手順として整理する

ポリシーページを公開までつなげる4工程
ポリシー設定を埋める返品・プライバシー・利用規約・配送の4欄
特商法ページを作る通常ページとして新規作成し本文を書く
フッターメニューに追加ナビゲーションで全ページ分のリンクを並べる
チェックアウトで確認購入直前にリンクが出ているかを実機で見る

4番目を省かないでください。ポリシー設定に入れた内容はチェックアウト画面のフッターにも出ますが、通常ページとして作った特商法表示はチェックアウト画面には自動では出ません。購入直前に事業者情報へ到達できるかは、決済代行の審査でも見られる箇所です。チェックアウト画面をどこまで触れるかはプランによって差があるため、少なくともストア側のフッターからは1クリックで届く導線を確保しておきます。

フッターメニューの並べ方

ナビゲーションメニューは「フッターメニュー」を編集して、ポリシーページのリンクを追加します。Shopifyのメニュー編集画面では、リンク先を選ぶときにポリシーページが候補として出てくるので、URLを手打ちする必要はありません。

並び順で迷ったら、次の順序が読み手に優しいです。

  1. 特定商取引法に基づく表示
  2. プライバシーポリシー
  3. 返品・返金ポリシー
  4. 利用規約
  5. (あれば)配送ポリシー

「よくある質問」や「お問い合わせ」を同じ列に混ぜると、法定表示が埋もれます。フッターのカラムを分けるか、区切りを入れて視覚的に別グループにするのが実務的です。

リンクラベルにも注意が要ります。「特商法表記」「特商法について」といった略し方をしているストアがありますが、初めて訪れた購入者には何のページか伝わりません。「特定商取引法に基づく表示」と省略せずに書くのが、探している人にとっても検索エンジンにとっても素直です。


テンプレートをそのまま使うと実態と合わなくなる箇所

Shopifyのポリシー欄には「テンプレートから作成する」ボタンがあります。押すと、返品ポリシーやプライバシーポリシーの雛形が入ります。時間の節約にはなりますが、そのまま公開できる文章ではありません。

制作の現場で必ず引っかかる箇所を挙げます。

返品ポリシーで食い違う4点

項目 テンプレートの傾向 実態と合わない理由
返品受付期間 「◯日以内」という数値が入っている 自社の運用日数と一致していない。倉庫の締めや繁忙期を考慮していない
返送料の負担 買い手負担・売り手負担のどちらかが書かれている 商材によって判断が違う。冷蔵・大型商品では前提が崩れる
返品できない商品 一般的な例(開封済み・セール品など)が並ぶ 食品・化粧品・受注生産・オーダー品など、自社の実際の除外条件が抜けている
返金のタイミング 「◯営業日以内」と書かれている 決済手段によって着金までの日数が違う。カード・コンビニ・後払いで別々

一番危険なのは返品受付期間です。テンプレートの数字が自社の運用より長いと、その日数まで受けざるを得なくなります。逆に短すぎると、実務では受けているのに「規約上は受けられない」という状態になり、現場が判断に迷います。

最初から完璧な文面を目指すより、運用しながら定期的に見直す前提で作るほうが現実的です。想定していなかった返品理由は、必ず後から出てきます。

プライバシーポリシーで抜けやすい3点

テンプレートのプライバシーポリシーは、Shopifyが収集する情報について書かれています。足りないのは、ストア側が追加で入れたツールの分です。

  • アクセス解析ツール:GA4を入れているなら、その旨と情報の取り扱いに触れる必要があります
  • 広告の計測タグ:Meta広告やGoogle広告のタグを入れると、第三者への情報提供が発生します
  • チャットツール・レビューアプリ・メール配信:外部サービスに顧客情報が渡ります

アプリを1つ追加するたびに、プライバシーポリシーを見直す対象が増えます。これはアプリ選定の隠れたコストで、「無料だから入れておく」という判断が、開示すべき事項を1つ増やしていることがあります。

解析まわりを何本入れるかは、この観点も込みで決めるとブレません。ツールの本数を絞る判断軸はこちらで整理しています。

言語設定の落とし穴

Shopifyのテンプレートは、ストアの言語設定によって入る文章が変わります。日本語ストアでも、設定の順序によっては英語のまま入ることがあります。公開前に、入力欄の中身を目視で確認してください。

もう1つ、多言語ストアの場合はポリシーの翻訳が別管理になります。日本語版だけ直して英語版が古いまま、という状態が発生します。多言語で運用するなら、ポリシー改訂のたびに全言語を触る運用フローを決めておく必要があります。


返品・返金ポリシーに書く項目と、決め方の基準

返品ポリシーは「テンプレートを直す」よりも、自社で決めるべき項目を先に洗い出してから書くほうが早く終わります。決めるのは次の6つです。

決める項目 決め方の基準
受付期間 検品・在庫戻しの実作業が回る日数から逆算する。営業日か暦日かも明記する
起算日 「注文日」ではなく「商品到着日」を基準にする。配送遅延の分だけ期間が削られるのを防ぐ
返送料の負担 自己都合の返品と、不良・誤配送とで分けて書く。この2つを同じ扱いにすると必ず揉める
返品対象外 商材の性質から列挙する。「開封済み」だけで済ませない
返金方法 元の決済手段への返金か、ストアクレジットかを明示する
連絡の手順 送り返す前に連絡が必要かどうか。ここが曖昧だと突然荷物が届く

商材ごとに、対象外の書き方はこう変わる

抽象的な「開封済み商品」で止めず、自社の商材で言い換えます。具体例を挙げます。

  • 冷蔵・冷凍の食品:品質保持の観点から、到着後の返品を原則不可とし、代わりに「破損・品違い・品質不良の場合は到着当日中に写真を添えて連絡」という別の受け口を作る
  • 化粧品・スキンケア:外装フィルムを開封した時点で対象外にするかを決める。肌に合わなかった場合の扱いを書かないと、問い合わせが個別対応になる
  • 受注生産・名入れ商品:制作着手後はキャンセル不可と明記し、「着手」がいつなのか(注文確定時/校正承認時)まで書く
  • 大型家具・什器:返送に個別見積もりが必要な場合は、その旨と概算の出し方を書いておく
  • セール品・アウトレット品:一律で対象外にするなら、商品ページ側にも同じ文言を出しておく

返品ポリシーに書いた条件と、商品ページに書いた条件は必ず一致させます。片方だけ更新された状態が、実務では最も多いトラブルの入り口です。

返金のタイミングは決済手段ごとに分ける

「◯営業日以内に返金します」と1行で書くと、コンビニ払いや銀行振込の返金に時間がかかったときに、書いた条件を守れなくなります。

  • クレジットカード:カード会社の締め日により、明細への反映が翌月以降になる場合がある旨を添える
  • コンビニ払い・銀行振込:返金先口座の確認が必要なため、連絡から着金までの流れを書く
  • 後払い・QR決済:各サービスの処理に依存する旨を書く

自社が確実にコントロールできるのは「返金処理を行うまでの日数」までです。着金日まで約束しないのが、書き方としては安全です。


特定商取引法に基づく表示で、自社の事情に合わせて直すべき項目

ここが本題です。特商法の表示は「雛形をコピーして社名だけ変える」で済ませられません。項目ごとに、自社で決めなければならないことがあります。

必須項目と、判断が要る箇所

項目 何を書くか 判断が要る点
販売事業者名 法人名または個人名 屋号だけでは足りない。個人事業主は原則として氏名を書く
運営責任者 代表者または責任者の氏名 誰の名前を出すかは社内で決める必要がある
所在地 登記上の住所 自宅兼事務所の場合の扱いを事前に決める
電話番号 連絡が取れる番号 受付時間を併記するかどうか
メールアドレス 問い合わせ先 フォームのみにできるかは条件次第
販売価格 税込表示 商品ページで示す旨の書き方
商品代金以外の必要料金 送料・手数料 地域別送料・クール便・代引手数料をどこまで書くか
支払方法 導入している決済手段 決済を追加したら更新が要る
支払時期 決済手段ごとのタイミング 後払い・コンビニ払いは別記が要る
引渡時期 発送までの日数 受注生産・予約販売は別途書く
返品・交換 条件と送料負担 返品ポリシーと矛盾させない

個人事業主・自宅開業の場合

住所と電話番号の公開は、個人でECを始める人が最初に詰まるところです。

原則として、消費者からの請求があれば遅滞なく開示できる体制を整えたうえで、その旨を表示する運用が認められる場合があります。ただし条件があり、「請求があったら開示する」と書けば伏せられるという単純な話ではありません。プラットフォームや決済代行によっては、審査時に実住所の記載を求められることもあります。

判断を分けるポイントは3つです。

  • 決済代行の審査要件を先に確認する(ここで住所必須なら議論の余地がない)
  • バーチャルオフィス・レンタルオフィスを使うなら、契約内容が事業所として認められる形かを確認する
  • 「請求があり次第開示」で運用するなら、実際に開示できる窓口と担当を決めておく

制作側でよくあるのは、公開直前に「住所を出したくない」と言われて、その場で書き換えるパターンです。この論点は要件定義の段階で確認しておくべき項目で、後から出てくるとフッターの導線やページ構成まで影響します。

送料の書き方

「送料は商品ページに記載」だけで済ませているストアがありますが、これは実務的に弱いです。特商法の表示では、購入者が総額をあらかじめ把握できる状態が求められます。

書き分けの基準はこうです。

  • 全国一律送料:金額を1つ書けば終わる。一番楽
  • 地域別送料:地域区分と金額の表を特商法ページ内に置く。Shopifyの配送設定と数字を一致させる
  • サイズ・重量別:全パターンを書くと読めなくなるので、算定方法を書き、カート画面で確定する旨を添える
  • クール便・大型商品の追加料金:該当商品にその旨を書き、特商法ページでも「一部商品に追加料金が発生する」ことに触れる

一番事故が多いのはShopifyの配送設定を後から変えたのに、特商法ページを直し忘れるケースです。送料無料の閾値を変えたときは必ずセットで見直します。

引渡時期の書き方

「ご注文後◯営業日以内に発送」という書き方が一般的ですが、次の場合は別記が必要です。

  • 予約販売・受注生産(発送予定時期を商品ページに記載する旨)
  • 在庫切れ時の扱い(入荷待ちにするのか、キャンセルするのか)
  • 年末年始・長期休業(休業期間の告知方法)

Shopifyには予約商品を扱う機能やアプリがありますが、機能を入れることと、表示を整えることは別作業です。予約販売アプリを入れたら、特商法ページの引渡時期も同時に書き換える。この連動を忘れると、機能だけ先行して表示が追いつきません。


商材によって追加で必要になる表示

基本の4ページを整えても、扱うものによっては表示が足りていない場合があります。制作の入り口でヒアリングしておくべき代表例です。

商材・機能 追加で検討する表示
酒類 販売業免許に関する表示、年齢確認の導線、飲酒に関する注意表記
食品 名称・原材料・内容量・賞味期限・保存方法・製造者などの表示事項をどこに出すか
化粧品・医薬部外品 全成分表示、効能効果の表現制限(広告表現のチェックが要る)
健康食品・サプリメント 機能性の表現制限。商品ページのコピーごと見直す対象になる
中古品の販売 古物営業に関する表示
ギフト券・ポイント・前払式の残高 資金決済法に基づく表示
定期購入・サブスクリプション 総額・回数・解約条件・解約方法の明示。申込み確認画面での表示も含む

このうち定期購入は、近年とくに表示の要件が厳しく見られる領域です。「初回◯円」だけを大きく出して、継続回数や2回目以降の価格が小さい、という構成は避けます。カート・チェックアウトに至るまでの画面で、総額と解約条件が読める状態にしてください。

商材固有の表示を商品ページに出す場合は、メタフィールドで項目を持たせてテーマ側で出力する形が管理しやすくなります。商品ごとに本文へ手打ちすると、商品が増えるほど抜けが出ます。


アプリで足りる範囲と、テーマ改修が要る範囲

ポリシー関連には、入力を補助するアプリや、フッター表示を整えるアプリがあります。どこまでアプリで足りるかの線引きを整理します。

アプリが向いている場面

  • 特商法ページの入力フォーム(項目を埋めるとページが生成される)が欲しい
  • 複数ストアで同じ書式を使い回したい
  • 法改正への追随を外部に任せたい

日本のShopify向けには、特商法表示の作成を補助するアプリがいくつか出ています。無料枠のあるものから有料のものまで幅があるので、最新の料金と提供状況は各アプリのページで確認してください。

テーマ改修が要る場面

  • フッターの構成そのものを変えたい(法定表示のグループを独立させる、など)
  • 商品ページに、その商品固有の表示(酒類の年齢確認、食品の表示事項など)を出したい
  • 特商法ページを、テーマのデザインに合わせて表組みで見せたい
  • 多言語ストアで、言語ごとに表示内容を出し分けたい

判断の線引きはシンプルです。ページの中身を作るだけならアプリで足り、テーマの出力位置を変えるならテーマ改修になります。フッターやチェックアウト周辺の表示位置を動かしたい時点で、アプリの守備範囲を超えます。

Dawnベースでテーマを触る場合、フッターへのリンク追加はセクション設定の範囲で済むことも多い一方、独自ブロックを足すとテーマ更新時に差分の管理が必要になります。改修の進め方はこちらにまとめています。

アプリを選ぶときに見る4か所

アプリストアのページで、機能一覧より先に見るべき箇所があります。

見る箇所 何が分かるか
最終更新日 長く更新されていないアプリは、法改正やShopify側の仕様変更に追随していない可能性がある
対応言語 管理画面が英語のみだと、更新担当者が触れなくなる
サポート体制 日本語対応か、返答までの目安が書かれているか
自社テーマとの相性 対応テーマの記載、Dawn系での動作報告があるか

法令表示を扱うアプリでは、最終更新日の重みが特に大きいです。制度が変わったときに更新されないアプリは、古い書式のページを出し続けます。

導入後に効いてくること

アプリを入れる判断では、入れた後の3つを見ておきます。

  • 月額の積み上がり:ポリシー関連だけなら小さくても、レビュー・定期購入・ポップアップと積むと、年間では無視できない額になります。維持費の考え方はホームページの維持費は年間いくら?|項目別に積み上げて相場を解説で整理しています
  • 解約時に残る要素:アプリを外すと、生成されたページやフッターのリンクが壊れることがあります。テーマにコードを埋め込むタイプは、解約後もタグが残ります
  • 管理画面を触る人の負担:更新頻度の低いページのために、担当者が別の管理画面を覚える必要があるかを考えます。年に数回しか触らないなら、Shopifyの通常ページで作ったほうが引き継ぎが楽です

運用面での実感として、触る頻度が低い機能ほど、アプリではなく素のShopify機能で持ったほうが安全です。使い方を忘れた頃に触るので、管理画面が1つ増えているだけで作業が止まります。


コーポレートサイトと兼用する場合の注意点

コーポレートサイトと兼用する場合の注意点

Shopifyを商品販売だけでなく会社の顔として使う構成では、ポリシーページの扱いに追加の論点が出ます。

会社概要ページと特商法ページの内容が食い違うケースがそれです。会社概要では「〇〇事業部」と書き、特商法では法人名だけ書く。住所の表記ゆれ(丁目の漢数字・算用数字、ビル名の有無)も起きます。同じ会社の情報が2か所にあるなら、必ず突き合わせてください。表記を揃えておくと、検索エンジン側が事業者情報を同一のものとして扱いやすくなる副次的な効果もあります。

構成としてShopify1本にまとめるかどうかの判断は、こちらで詳しく書いています。

兼用する場合は、フッターに「会社情報」と「法定表示」の両方が並ぶことになります。ここが雑然としていると、企業サイトとしての信頼感が落ちます。フッターの情報設計は、ポリシーページを作る作業とセットで考えるべき部分です。

なお、ShopifyとWordPressのどちらを軸にするかで迷っている段階なら、判断材料はこちらにまとめてあります。


公開前チェックリスト

公開前チェックリスト

制作側が公開直前に必ず通す確認項目です。そのまま社内共有できる形にしてあります。

ページの存在
– [ ] 特定商取引法に基づく表示のページがある
– [ ] プライバシーポリシーが入力されている
– [ ] 返品・返金ポリシーが入力されている
– [ ] 利用規約が入力されている
– [ ] 商材固有の表示(酒類・食品・化粧品・定期購入など)の要否を確認した

内容の確認
– [ ] テンプレートの英文が残っていない
– [ ] 返品受付期間が、実際の運用日数と一致している
– [ ] 返品期間の起算日(注文日か到着日か)が明記されている
– [ ] 返送料の負担が、自己都合と不良・誤配送で分けて書かれている
– [ ] 返品できない商品の条件に、自社の商材が反映されている
– [ ] 導入しているアプリ・解析ツールがプライバシーポリシーに反映されている
– [ ] 特商法ページの送料と、Shopifyの配送設定の数字が一致している
– [ ] 特商法ページの支払方法と、有効な決済手段が一致している
– [ ] 返品ポリシーと商品ページの記載が食い違っていない

導線
– [ ] フッターメニューに全ページのリンクが入っている
– [ ] リンクラベルが省略されていない(「特商法表記」で終わっていない)
– [ ] チェックアウト画面からポリシーに到達できる
– [ ] スマートフォンでフッターのリンクが押せる(間隔が詰まりすぎていない)

運用
– [ ] ポリシーを更新する担当者が決まっている
– [ ] 決済手段・送料・アプリを変えたときに、ポリシーを見直す手順が共有されている

最後の2項目が抜けやすいところです。ポリシーページは作って終わりではなく、ストアの設定を変えるたびに追随が必要な生きた文書です。誰が見るのかを決めていないと、時間が経つほど実態と乖離します。


よくある質問

Shopifyの返品ポリシーは、テンプレートのまま公開しても問題ありませんか

推奨しません。テンプレートには返品受付期間や返送料の負担が具体的な形で入っており、それがそのまま自社の公開している取引条件になります。運用と食い違ったまま公開すると、書いてある条件で対応を求められる可能性があります。最低でも、期間・起算日・送料負担・返品対象外の商品の4点は自社の実態に書き換えてください。

特定商取引法に基づく表示は、Shopifyのどこに入力しますか

専用の入力欄はありません。「オンラインストア > ページ」で通常ページとして新規作成し、フッターメニューに手動でリンクを追加します。設定 > ポリシー にあるのは返品・プライバシー・利用規約・配送の4つで、特商法表示はここに含まれません。この違いを知らないまま公開されているストアは実際に見かけます。

返品ポリシーを書かないと、どういう扱いになりますか

返品の可否や条件(返品特約)を表示していない場合、法律側の原則が適用され、商品の引渡しを受けた日から8日間は購入者が申込みの撤回・契約の解除をできる扱いになります。この場合の返送費用は購入者負担です。自社で条件を決めたいなら、必ず表示してください。表示していない状態は「条件なし」ではなく「原則が適用される状態」です。

個人事業主でも、住所と電話番号を必ず公開しなければいけませんか

原則は表示が必要ですが、請求があれば遅滞なく開示できる体制を整えたうえで、その旨を表示する運用が認められる場合があります。ただし決済代行の審査で実住所の記載を求められることがあるため、先に決済側の要件を確認してください。判断が分かれる論点なので、扱う商材や規模によっては専門家への確認をおすすめします。

ポリシーページはどのくらいの頻度で見直すべきですか

決まった頻度で回すなら年1回ですが、それとは別に「設定を変えたとき」が本当のトリガーです。決済手段を追加した、送料無料の条件を変えた、アプリを新しく入れた、この3つが起きたら必ずポリシーを見に行ってください。実態との乖離は、こうした変更の積み重ねで生まれます。


まとめ

Shopifyのポリシー設定は、作業としては小さいのに、後から効いてくる部分です。要点を整理します。

  • 必要なページは4種類。特商法表示・プライバシーポリシー・返品ポリシー・利用規約。商材によっては業法表示が追加される
  • 特商法表示だけは専用欄がない。通常ページとして作り、フッターメニューに自分で追加する
  • 返品特約を表示しなければ、法律側の原則(到着日から8日間)が適用される。条件を決めたいなら必ず書く
  • テンプレートは雛形であって完成品ではない。返品期間・起算日・返送料・返品対象外・返金タイミングは必ず自社の運用に書き換える
  • プライバシーポリシーはアプリを増やすたびに見直す対象が増える。無料アプリでも開示事項は増える
  • アプリで足りるのはページの中身まで。フッターやチェックアウトの表示位置を動かすならテーマ改修
  • 公開して終わりではない。決済手段・送料・アプリを変えたら、ポリシーも一緒に直す

制作を依頼する側としては、要件定義の段階で「住所と電話番号をどう出すか」「返品条件をどうするか」を決めておくと、公開直前の手戻りがなくなります。この2つは制作会社が代わりに決められない項目で、事業者側の判断が必要です。逆にここさえ先に決まっていれば、あとの作業は淡々と進みます。

なお、本記事は制作実務の観点から整理したもので、法的助言ではありません。取扱商材や事業形態によって求められる表示は変わるため、最終的な文面は必要に応じて専門家に確認してください。