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病院・医療・薬品Webサイトデザイン事例7選|傾向をカラー別に解説

この記事の対象: 病院・クリニック・製薬会社のサイト制作を検討している担当者、医療系サイトを手がけるデザイナー
読了時間: 約9分

Soreiine!!に掲載している病院・医療・薬品カテゴリの事例は7件。数としては多くありませんが、この業種は「信頼感」と「親しみやすさ」という相反する要求を同時に満たさなければならない、デザイン的に難易度の高い分野です。今回は掲載7件のカラーとレイアウトを分類し、なぜその選択に至るのかを制作者の目線で読み解いていきます。


データで見る傾向:ブルーとベージュが二分、レイアウトは1カラムが主流

データで見る傾向:ブルーとベージュが二分、レイアウトは1カラムが主流

まずは数字から見ていきましょう。7件のカラー傾向と、レイアウト傾向は以下の通りです。

カラー系統 件数
ブルー系 2件
ベージュ系 2件
ホワイト系 1件
グリーン系 1件
グレー系 1件
レイアウト 件数
1カラム 5件
シングルページ 2件

7件という母数で断定的な傾向を語るのは危ういですが、「ブルー系とベージュ系で半数を占める」「1カラムが7割」という2点は、他業種の傾向と比較しても医療分野らしい特徴が出ています。

病院・医療サイトのカラー選択が向かう2方向

ブルー系(清潔・信頼)

  • 総合病院・急性期医療
  • 診療科が多く情報量が多いサイト
  • 「正しさ」「安心」を優先

ベージュ系(温かみ・親近感)

  • 採用サイト・啓発サイト
  • 心理的ハードルを下げたいテーマ
  • 「怖くない」「話しやすい」を優先

同じ「医療」でも、伝えたい感情によって色の選び方が真逆になっています。

【制作者目線】この二極化は偶然ではありません。ブルーは古くから医療・製薬業界の定番色とされ、清潔感・冷静さ・専門性を伝える力が強い色です。一方でベージュは、医療特有の「怖さ」や「堅さ」を意図的に中和したいときに選ばれる色。今回の事例では、採用サイトや患者・生活者への啓発サイトでベージュ系が使われており、「誰に何を伝えたいか」で色相そのものが変わっていることが読み取れます。

【発注者目線】もし自院や自社のサイトが「総合病院として信頼を訴求したい」のか「働きたい人・不安を抱えた生活者に寄り添いたい」のかが曖昧なまま制作会社に発注すると、色の方向性が定まらず、後工程で大きな手戻りが発生します。発注前に「このサイトで誰の、どんな感情を動かしたいか」を一行で言語化しておくことが、遠回りのようで一番の近道です。


実例で見る:7つのサイトが選んだデザインの理由

実例で見る:7つのサイトが選んだデザインの理由

温かなイラストで敷居を下げる|西宮心理療法オフィス

西宮心理療法オフィスのサイトは、大きな木の下で人々が穏やかに過ごすイラストを画面いっぱいに広げ、「どこにも行き場のない気もちを話してみませんか」というコピーを添えています。

【制作者目線】心理療法という、来訪者が最も不安を感じやすい領域で、写真ではなくイラストを選んでいる点が秀逸です。実写は生々しさや「誰かに見られるかもしれない」という緊張感を伴いますが、イラストは匿名性を保ちながら温度感だけを伝えられます。グリーン基調の配色も、医療系にありがちな冷たさを排除する意図が明確です。

【発注者目線】心療内科・カウンセリングのように「行くこと自体にハードルがある」業種では、ファーストビューの第一印象で「怖くなさそう」と感じてもらえるかが予約率を左右します。情報量よりも情緒的な設計を優先すべき好例です。

病院の断面図イラストで職場を可視化|大野記念病院 採用サイト

大野記念病院のイラスト採用サイトは、建物の断面図の中にスタッフの日常を描き込んだイラストをメインビジュアルに据え、ベージュの背景と水色のロゴアクセントを組み合わせています。

【制作者目線】採用サイトにおける最大の課題は「働くイメージが湧かない」ことです。このサイトは病院の中身を断面図として可視化することで、写真では伝えきれない「どんな場所で、どんな空気で働くのか」を一枚絵で説明しています。ベージュを基調にすることで、堅い印象になりがちな病院という職場に親近感を持たせています。

【発注者目線】医療職の採用サイトは、コーポレートサイトの延長で作られがちですが、求職者が知りたい情報(職場の雰囲気・人間関係・成長機会)はコーポレートサイトの訴求内容とは別物です。採用専用のトーンとビジュアルを別立てで用意する価値が、この事例からよく分かります。

立地とコピーで信頼を語る|京都・武田病院

京都・武田病院の安心感あるサイトは「千年の都 京都の玄関口で 思いやりの医療を」というコピーと、手術室でのスタッフ写真をメインビジュアルに配置。ブルー系の配色で清潔感を演出しています。

【制作者目線】地域名を冠したコピーは、地元密着型の医療機関にとって非常に有効な手法です。加えて、演出された写真ではなく実際の医療現場を写した写真を使うことで、作り込まれた印象を避け、リアリティによる信頼感を獲得しています。診療時間・救急外来への導線もブルーの視認性の高さを活かして整理されています。

【発注者目線】総合病院のように「緊急時にすぐ情報が欲しい」ユーザーが一定数いるサイトでは、デザイン性よりも導線の分かりやすさが優先されるべきです。ブルー系が多い理由の一つは、この「探しやすさ」を担保する視認性の高さにもあります。

ローディング画面まで含めたブランディング|社会福祉法人功有会

社会福祉法人功有会のシンプルなサイトは、グレーの背景に緑色のロゴを配置したシングルページ構成。ローディングアニメーション自体が最初のブランド体験になっています。

【制作者目線】情報量を極限まで削り、ロゴと法人名だけで見せるアプローチは、一見シンプルに見えますが、実は「何を見せないか」を厳しく取捨選択した結果です。福祉法人らしい柔らかな笑顔のロゴマークが、グレーという抑えた背景色の中で際立つよう設計されています。

【発注者目線】情報量が少ないサイトは「手を抜いている」と誤解されがちですが、法人の格や理念を伝えることに特化する場合、あえて機能を削る判断は正解になり得ます。ただし、この設計は詳細情報を別途用意している(または不要な)場合に限られる点は留意すべきです。

難解なテーマをキャラクターで翻訳|異所性脂肪の啓発サイト

異所性脂肪の啓発プロモーションサイトは、「異所って何だ?第三の脂肪って何だ?」という問いかけから始まり、漢字の「異」をモチーフにしたキャラクターを起用しています。

【制作者目線】医療・健康啓発の最大の壁は「専門用語が難しくて読まれない」ことです。このサイトはキャラクターとタイポグラフィのバランスで、専門的な内容を一般生活者にも読める温度感に翻訳しています。ベージュの背景も、警戒心を下げる方向に一貫して機能しています。

【発注者目線】製薬会社や医療機関が一般向けの啓発コンテンツを作る際、正確性を重視するあまり文章が硬くなりがちです。このサイトのように「まず読んでもらう」ための入り口設計に投資する視点は、専門性の高い情報を届けたい発注者ほど持つべき視点です。

理念とビジュアルの一体化|温かみと信頼感を両立した総合病院サイト

温かみと信頼感を両立した総合病院サイトは「人がつどう、人をつなぐ、人とつむぐ」という理念を、看護師と患者の温かいビジュアルとともに提示。ブルーを基調にしつつ、カラフルなアイコンで診療科への導線を整理しています。

【制作者目線】総合病院サイトは診療科・部署・お知らせなど情報量が非常に多くなりがちですが、このサイトはブルーで全体の統一感を保ちながら、診療科アイコンだけにカラフルな色を許すことで、情報の見つけやすさとブランドの一貫性を両立させています。

【発注者目線】電話番号やアクセスといった実用情報が目立つ位置にある点も見逃せません。総合病院のサイトに来る人の多くは「今すぐ必要な情報」を探しています。理念を語ることと、実用性を担保することは対立しないという好例です。

白基調で伝える製薬企業の信頼感|大塚製薬 Vivoo

大塚製薬の栄養モニタリングサービスサイトは、白を基調としたクリーンなデザインで、ヘルスケアサービスとしての信頼感とモダンさを両立しています。

【制作者目線】ホワイト系はカラー要素を最小限にする分、タイポグラフィと余白の質がそのままブランドの印象に直結します。製薬大手が手がけるサービスとして、過剰な装飾を避け、情報そのものの信頼性で勝負するデザイン判断がされています。

【発注者目線】新規サービスのブランディングでは、既存の企業イメージ(この場合は製薬企業としての実績)を土台にしつつ、サービス自体は先進的に見せたいという二律背反があります。白基調のミニマルなデザインは、その両立を狙える選択肢の一つです。


コーポレートサイト・事務所のWebサイトデザイン事例6選|傾向を分類

自社サイトに活かすポイント

自社サイトに活かすポイント

ここまでの7件から見えてくる実践的な学びを整理します。

医療系サイトを作る際の色選定フロー
1. 目的を言語化信頼訴求か、心理的ハードルの解消か
2. 読み手を特定患者・求職者・生活者・医療者のどれか
3. 情報量を見積もる診療科が多いなら整理力優先の配色に
4. 色とレイアウトを決定ブルー系+1カラムが安全策、ベージュ系+シングルページは訴求特化
  • 診療科・部署が多い総合病院系は、今回の事例でも1カラムが5件中を占めたように、情報を縦に積み上げて整理する構成が向いています。ブルー系との相性もよく、視認性の高さが実用情報へのアクセスを助けます。
  • 採用・啓発・単一テーマの訴求サイトは、シングルページで一つのメッセージに集中させる構成が効果的です。ベージュ系やイラスト表現との組み合わせが、堅さを中和する方向に働いています。
  • 色を先に決めない。 今回の7件はいずれも「誰に何を伝えたいか」が先にあり、色はその結果として選ばれています。自社サイトのリニューアルでも、色見本から入るのではなく、伝えたい感情を一行で書き出すところから始めるべきです。

レイアウトの型そのものについては、以下の記事でも判断軸を整理しています。

医療機関のサイトはアクセシビリティやタブ操作での閲覧にも配慮が必要な場面が多く、実装面では以下も参考になります。

補助金を使った医療機関のサイト制作を検討している場合は、申請の順番を誤ると対象外になるケースがあるため、事前に確認しておくと安心です。


よくある質問

よくある質問

病院サイトはブルー系にすれば間違いないですか?

間違いではありませんが、絶対条件ではありません。今回紹介した7件でも、採用サイトや啓発サイトではベージュ系やグリーン系が選ばれています。信頼感を訴求したい総合病院・急性期医療系はブルー系が安定した選択肢ですが、心理的ハードルを下げたい場面ではあえて外すという判断も有効です。

医療系サイトはなぜ1カラムのレイアウトが多いのですか?

今回の7件では5件が1カラムでした。診療科案内・お知らせ・アクセス情報など、順序立てて読ませたい情報が多いことと、スマートフォンでの閲覧が主体になっていることが背景にあると考えられます。情報を縦に積み上げる構成は、複雑なナビゲーションを作らずに済むという利点もあります。

シングルページ構成はどんな病院・医療サイトに向いていますか?

今回の事例では、採用サイトや啓発プロモーションサイトなど、伝えたいメッセージが一つに絞られているサイトでシングルページが採用されていました。診療科が多く情報量が多い総合病院系には不向きで、単一テーマを深く訴求したい場合に向いています。

医療サイトのイラストと実写はどちらを選ぶべきですか?

伝えたい感情によって使い分けるのが実態に近いです。心理療法や啓発サイトのように匿名性・親しみやすさを優先したい場合はイラストが、京都・武田病院のように現場のリアリティで信頼を訴求したい場合は実写が選ばれる傾向が、今回の事例から見て取れます。

製薬会社のサービスサイトはコーポレートサイトと同じトーンにすべきですか?

必ずしも同じである必要はありません。大塚製薬のVivooの事例では、企業としての信頼感は土台にしつつ、サービス自体は白基調のミニマルなデザインでモダンさを打ち出しています。既存ブランドの信頼と、新サービスの先進性を両立させる設計が有効です。