テクニック

Shopify 送料無料の設定方法|金額条件・地域・除外の実装

この記事の対象: Shopifyでストアを運営している事業者、これからShopifyでのEC構築・リニューアルを検討している担当者
読了時間: 約14分

「〇円以上で送料無料」は、ECの定番施策です。Shopifyなら管理画面の配送設定だけで実現できます。ただし、実際に設定してみると「特定の商品だけ除外したい」「地域ごとに条件を変えたい」「設定したはずなのにカートで送料が乗る」といった壁に当たります。標準機能でどこまで届くのか、どこからテーマ改修やアプリが必要になるのか。実装する側から見た線引きと、そもそも送料無料ラインをいくらに置くべきかの逆算まで整理します。


Shopifyの送料無料設定はどこで行うか

Shopifyの送料無料設定はどこで行うか

設定の入口は「配送と配達」の1か所

Shopifyで送料に関わる設定は、管理画面の 設定 → 配送と配達 に集約されています。ここで「配送プロファイル」を作り、その中に「配送エリア(ゾーン)」を置き、さらにその中に「配送料金」を並べる、という三層構造になっています。

Shopifyの配送設定の三層構造

配送プロファイル

  • 一般(デフォルト)
  • 商品別に作る個別プロファイル

配送エリア(ゾーン)

  • 日本国内
  • 都道府県単位で分けたゾーン
  • 海外

配送料金

  • 定額(例:全国一律800円)
  • 注文金額による条件付き料金
  • 重量による条件付き料金

「〇円以上で送料無料」は最下層の「配送料金」に条件を付けて作ります。

この三層を意識しておくと、あとで説明する「特定商品だけ送料を変える」「地域で条件を変える」がどこをいじる話なのか迷わなくなります。ゾーンを分けずに料金だけ増やそうとして詰まりやすいので、まず自分がどの層を触ろうとしているのか確認してください。

「〇円以上で送料無料」の設定方法

手順自体はシンプルです。

金額条件つき送料無料の設定手順
プロファイルを開く設定→配送と配達→一般の配送料金
ゾーンを確認日本が配送エリアに入っているか
料金を追加「送料を追加」→独自価格を使用
条件を付ける注文金額による条件→下限を入力
価格を0にする名前を「送料無料」にして保存

具体的には、対象ゾーンで「送料を追加」を選び、独自の送料(カスタム料金)として料金名に「送料無料」、価格に「0」を入力します。そのうえで「条件を追加」から注文金額による条件を選び、下限に閾値を入れます。上限は空欄のままで構いません。

ここで重要なのが、通常送料側にも上限条件を付けるという点です。「全国一律800円」の料金に条件が付いていないと、閾値を超えた注文で「800円」と「0円」の2つが同時に有効になり、購入者側に選択肢として両方が表示されてしまいます。誰も800円は選びませんが、選択肢が2つ並ぶこと自体が離脱要因です。

料金名 価格 条件
全国一律送料 800円 注文金額 0円 〜 (閾値-1)円
送料無料 0円 注文金額 閾値円 〜 上限なし

金額の範囲が重ならないように区切る。これだけで、カート画面には常に1つの送料だけが出ます。「1円の隙間」が空かないよう、閾値が5,000円なら通常送料の上限は4,999円にします。ここを5,000円にすると、ちょうど5,000円の注文で2つ出ます。

判定される「注文金額」に何が含まれるか

条件判定に使われる金額は、商品小計から割引を引いた額です。送料や税は含まれません。ここを誤解すると、意図と違う挙動になります。

  • クーポンで5,000円が4,500円になった注文は、閾値5,000円の条件を満たさない
  • 税込表示のストアでも、判定は設定された価格の扱いに従う(税抜運用なら税抜額で判定される)
  • ギフトカードの購入分は小計に入るが、ギフトカードでの支払いは判定に影響しない

「クーポンを使うと送料が復活する」という問い合わせは、EC運営で定番のトラブルです。割引前で判定してほしい場合、標準機能では対応できません。この時点でアプリかカスタム実装の領域に入ります。


特定の商品だけ送料無料から除外する方法

特定の商品だけ送料無料から除外する方法

標準機能でやるなら「配送プロファイル」を分ける

大型商品・冷蔵品・受注生産品など、「これだけは送料無料の対象にしたくない」商品は必ず出てきます。Shopifyの標準機能でこれを実現する道は、個別の配送プロファイルを作るの一択です。

配送と配達の画面で「新しいプロファイルを作成」を選び、対象商品を紐づけます。そのプロファイルの中には、送料無料の料金を置かず、通常送料だけを置きます。これで、その商品を含む注文には常に送料がかかります。

ただし、ここに配送プロファイルの仕様上、一番つまずく挙動があります。

プロファイルをまたぐ注文の送料計算

よくある期待

  • 通常商品は無料になる
  • 除外商品の分だけ送料がかかる
  • 合計=除外商品の送料

実際の挙動

  • プロファイルごとに送料を計算
  • それぞれの結果を合算する
  • 合計=各プロファイルの送料の和

プロファイルが分かれた商品を同じ注文に入れると、Shopifyはそれぞれのプロファイルで送料を計算し、合算します。通常商品側が送料無料条件を満たしていれば0円なので結果的に期待どおりになりますが、満たしていない場合は「800円+大型商品の1,500円=2,300円」のように積み上がります。1回の配送で届けるつもりなのに、送料は2つ分請求される。

これが許容できるかどうかが、標準機能で足りるかの分岐点です。単品購入が中心のストアなら問題になりませんが、まとめ買いが想定される商材では、購入者からの問い合わせが起きやすいところです。

「カテゴリ単位で無料」は標準では組めない

もう一つの限界が、条件の粒度です。標準の条件は注文全体の金額または重量しか見られません。

やりたいこと別に、実現手段を整理するとこうなります。

やりたいこと 標準機能 手段
注文金額〇円以上で無料 できる 配送料金の条件
特定商品を無料対象から外す ほぼできる 配送プロファイル分離(送料は合算される)
特定コレクションの商品だけ無料 できない アプリ/Shopify Functions
割引前の金額で判定 できない アプリ/Shopify Functions
会員ランクごとに閾値を変える できない アプリ/Shopify Functions
数量〇点以上で無料 できない アプリ/Shopify Functions
同梱でも送料を1回だけにする できない アプリ/Shopify Functions

「できない」に並んでいる項目は、いずれもShopifyの配送料金計算そのものに手を入れる必要があります。現在のShopifyでは、この領域は Shopify Functions(配送料金をカスタムロジックで書き換える仕組み)が担当します。以前はShopify Scriptsが使われていましたが、現在は Functions へ移行しています。

アプリで足りる線と、開発が要る線

判断軸はシンプルです。条件が「注文全体の数値」で表現できるならアプリで足り、「自社固有のデータを参照する」なら開発が必要になります。

アプリで足りることが多い領域

  • コレクション単位・タグ単位の送料条件
  • 数量ベースの条件
  • 都道府県ごとの細かい料金表(北海道・沖縄・離島の別建て)
  • 送料無料まであといくらかを表示するバー

開発を検討する領域

  • 自社の会員システムや基幹側のデータを参照して条件を変える
  • 複数プロファイルの送料を1本にまとめる独自ロジック
  • 定期購入と通常購入で送料の扱いを変える
  • 「アプリの管理画面では表現しきれない条件分岐」がある

送料まわりのアプリは、無料プランのあるものから月額課金のものまで幅があります。最新の料金は各アプリのページで確認してください。プランは頻繁に変わりますし、注文数に応じた従量課金になっているものもあります。

Shopifyのカスタマイズがどこまで届くかの全体像は、こちらでも整理しています。


地域ごとに送料無料の条件を変える方法

地域ごとに送料無料の条件を変える方法

都道府県で分けるならゾーンを増やす

「本州は5,000円以上で無料、北海道・沖縄は10,000円以上」という運用は珍しくありません。これは標準機能の範囲で組めます。

配送プロファイルの中で、ゾーンを分けるだけです。

  1. 既存の「日本」ゾーンから、北海道・沖縄を外す
  2. 新しいゾーンを作り、北海道と沖縄だけを入れる
  3. それぞれのゾーンに、別々の条件と価格の料金を置く

Shopifyの配送エリアは都道府県単位で指定できるので、この分け方はきれいに作れます。ゾーンごとに独立して条件を持てるため、閾値も通常送料も自由に変えられます。

ただし、離島は都道府県では切れません。 鹿児島県の離島も、東京都の島嶼部も、Shopifyの標準では本土と同じゾーンに入ります。郵便番号レベルでの制御は標準機能にはないので、離島の追加送料を厳密に運用したい場合はアプリが必要です。「離島は別途ご連絡します」という運用で吸収する方法もありますが、注文後に金額が変わるのは購入者体験としては良くありません。離島出荷の頻度と、アプリの月額を天秤にかけて決めます。

3つ以上のゾーンに分けるときの整理

北海道・沖縄だけでなく、東北/関東/中部/近畿…と細かく分ける料金表を組むこともできます。ただし、ゾーンを増やすほど「どの都道府県がどのゾーンにも入っていない」という抜けが起きやすくなります。分割したら、47都道府県をゾーンごとに書き出した表を1枚作り、重複と抜けを目視で潰してください。管理画面は抜けを警告してくれないため、実際に注文が入るまで気づけません。

もう一点、ゾーンを分けたらそれぞれのゾーンに送料無料の料金を置き直す必要があります。新しく作ったゾーンには何も入っていない状態から始まるので、本州ゾーンからコピーされることはありません。「北海道だけ送料無料が効かない」という不具合の多くはこれです。

海外発送を混ぜるときの注意

海外向けゾーンを作る場合、送料無料条件を国内と同じ感覚で置かないでください。国際配送は重量とサイズで料金が跳ねるうえ、関税・輸入消費税が受取人負担になります。「〇円以上で送料無料」を海外に適用すると、軽くて高額な商品では利益が出ても、重くて安価な商品で一気に赤字になります。

海外ゾーンでは、金額条件ではなく重量条件で料金表を組むほうが破綻しにくくなります。重量の刻みごとに料金を並べ、上限を超えたら「別途見積もり」の導線に逃がす。国内向けの「〇円以上で無料」をそのまま横展開しないことが要点です。


設定したのに送料無料が反映されないときに見る場所

設定したのに送料無料が反映されないときに見る場所

現場で一番時間を取られるのがここです。設定は正しく見えるのに、カートやチェックアウトで送料が乗る。確認する場所は決まっています。

上から順に切り分ける

1. 商品が「配送が必要」になっているか

商品編集画面の「配送」セクションで「これは物理的な商品です」のチェックが外れていると、その商品は配送計算の対象外になります。デジタル商品として扱われ、送料の行そのものが出ません。逆に、送料をかけたいのに0円になる場合もここです。

2. 商品に重量が入っているか

重量ベースの条件を使っているのに、商品の重量が未入力(0g)だと、条件を満たしません。金額条件だけを使っているなら関係ありませんが、両方混在しているストアで見落としがちです。

3. その商品がどの配送プロファイルにいるか

個別プロファイルを作ったあと、意図しない商品まで紐づいているケースがあります。プロファイルの編集画面で対象商品一覧を確認します。新しく追加した商品は自動で「一般」に入るので、除外対象なのに一般に入ったままということも起きます。

4. 配送先住所がゾーンに含まれているか

ゾーンを分割したときに、どのゾーンにも属さない都道府県ができていないか。ここが抜けていると「この住所には配送できません」になります。無料条件以前の問題です。

5. 金額の範囲が正しく区切られているか

前述の「1円の隙間」問題です。通常送料の上限と、無料条件の下限が連続しているか確認します。

6. 割引が適用されていないか

クーポン適用後の小計で判定されます。テスト時にクーポンを入れたまま検証していないか。

7. 配送業者連携(キャリア計算料金)が有効になっていないか

外部の配送料金APIやアプリが有効だと、そちらが返した料金が優先されて表示されることがあります。手動で置いた料金と、アプリが返す料金が両方出ているケースは、この線を疑います。

テスト注文で確認する手順

切り分けが終わったら、必ず実際の注文で確認します。見るべきは3パターンです。

  1. 閾値のちょうど1円下(例:4,999円)— 通常送料だけが表示されるか
  2. 閾値ちょうど(例:5,000円)— 送料無料だけが表示されるか。ここで2つ出たら範囲の重複
  3. 除外商品を混ぜた注文 — 送料がいくつ表示され、合計がいくらになるか

3つ目は、プロファイルを分けているストアでは必ず通してください。管理画面の設定を眺めているだけでは、合算の挙動は見えません。テスト注文はShopifyのテスト決済(Bogus Gateway)か、少額の実注文を作って後からキャンセルする方法で作れます。テスト決済を使う場合、確認後に本番決済へ戻し忘れないよう注意してください。

テーマ側が原因のケース

管理画面の設定は正しいのに、カートページの表示だけがおかしいというパターンもあります。これは配送設定ではなくテーマの問題です。

  • カートページに「送料は次のステップで計算されます」と出るのは正常。Shopifyは配送先住所が確定するチェックアウト段階で送料を確定するため、カート時点では原則として確定した送料を出せない
  • カートに送料見積もりを出しているテーマは、住所を推定して計算している。この推定が実際の配送先と違えば表示も変わる
  • 「あと〇円で送料無料」バーが更新されないのは、カート更新時にJavaScriptが再計算していないため。テーマ改修またはアプリの守備範囲

自前で「あと〇円で送料無料」を出す場合、Dawnベースのテーマなら cart オブジェクトの total_price(単位は最小通貨単位)を使って書きます。

{%- assign threshold = 500000 -%}
{%- comment -%} 5,000円 = 500000(Shopifyは最小通貨単位で保持) {%- endcomment -%}
{%- assign remaining = threshold | minus: cart.total_price -%}

{%- if cart.item_count > 0 -%}
  <div class="ts-shipping-bar" data-threshold="{{ threshold }}">
    {%- if remaining > 0 -%}
      あと<strong>{{ remaining | money }}</strong>で送料無料
    {%- else -%}
      <strong>送料無料</strong>の対象です
    {%- endif -%}
  </div>
{%- endif -%}

cart.total_price は割引適用後の金額です。配送設定側の判定条件と揃うので、表示と実際の請求がずれません。ここを cart.original_total_price(割引前)で書くと、「送料無料と表示されたのに送料がかかった」というクレームの原因になります。

実装のポイント

  • 日本円は小数点以下がないため、Shopifyの内部値は実際の金額を100倍した整数になります。5,000円なら 500000。ここを 5000 と書く事故が多いので必ず確認してください
  • money フィルタを使うと、ストアの通貨フォーマット設定に従って整形されます。自前で ¥ を付けると多通貨対応時に破綻します
  • カートの数量変更時に非同期でカートセクションが差し替わるテーマ(Dawn系は該当)では、このブロックがセクションのレンダリング範囲に入っていれば自動で更新されます。範囲外に置くと数値が固まったままになります
  • 除外商品がカートにあるときは、このバーの表示条件を分けます。プロファイルを分けた商品が入っているのに「送料無料の対象です」と出ると、チェックアウトで送料が乗って矛盾します。商品タグで判定して、除外商品が1点でもあればバーを出さないのが最も安全です

つまずきやすい点

閾値をLiquidにハードコードすると、キャンペーンで閾値を変えるたびにテーマの編集が必要になります。運用する人がコードを触れない体制なら、settings_schema.json に設定項目を切ってテーマエディタから変更できるようにしておきます。配送設定側の数値との二重管理になる点は避けられないので、変更手順をドキュメントに残すところまでが実装の範囲です。

対応環境:上記Liquidは現行のOnline Store 2.0テーマ全般で動作します。ブラウザ側の制約はありません(サーバーサイドで描画されるため)。


送料無料ラインを利益から逆算する

送料無料ラインを利益から逆算する

「よく見る金額」で決めない

5,000円、10,000円といったキリのいい数字は、他店に合わせただけで根拠がないことがあります。自社の数字から逆算すると、意外と違う位置に着地します。

考え方の順序はこうです。

1. 現在の平均注文単価(AOV)を出す

Shopifyの分析画面で確認できます。直近3か月程度、季節変動が大きい商材なら1年分を見ます。

2. 1件あたりの実送料を出す

契約している運送会社の単価に、梱包資材費と、地域ミックス(北海道・沖縄の比率)を織り込んだ平均値。ここを「一律800円」のような表示送料で計算すると読み違えます。実際に払っている額です。

3. 閾値の粗利で送料を吸収できるか確認する

閾値 × 粗利率 > 実送料 + 決済手数料

粗利率30%、実送料700円のストアなら、閾値2,400円でようやく送料と釣り合います。逆に言えば、それ以下に設定すると送料無料の注文が来るたびに粗利が削れます。

4. AOVより少し上に置く

送料無料ラインの本来の目的は「もう1点買ってもらう」ことです。AOVより下に置くと、何もしなくても大半の注文が無料条件を満たすので、送料を負担しているだけになります。目安として AOVの1.2〜1.4倍あたりに置くと、あと1点の追加購入を引き出しやすくなります。

ストアの状況 閾値の置き方
AOVが実送料の10倍以上ある AOVの1.2倍程度。上げすぎると効かない
AOVが実送料の3〜5倍 粗利で送料を吸収できる下限を優先
単価が低く点数が多い商材 金額条件より数量条件が効く(アプリ領域)
単価が高く1点購入が中心 全品送料無料にして価格に織り込むほうが速い

もう1点、閾値は主力商品の価格との関係で決めます。単価3,000円の商品が売れ筋なら、閾値6,000円は「2点買えば無料」で届きますが、閾値5,500円だと「2点で無料だが、1点+小物では届かない」という中途半端な位置になります。売れ筋商品の価格の整数倍か、その少し下に置くと、購入者側で「あと1点」の計算が成立しやすくなります。

全品送料無料という選択

条件を付けずに全品無料にして、商品価格に送料を織り込む。これも十分に有効な選択です。

  • チェックアウト直前の「送料が乗った」による離脱がゼロになる
  • 配送設定がシンプルになり、運用ミスが減る
  • 送料無料ラインを気にした「あと1点」を捨てることになる
  • 商品単価が上がるため、価格比較されやすい商材では不利に働くことがある

単価が高い商材、リピート前提の商材では、こちらのほうが結果が良いことがあります。どちらが正解かはAOVと粗利率次第で、業種の一般論では決められません。判断するときは、閾値をいくらにするかより「閾値を境に何が起きているか」を追えるかどうかを優先してください。閾値のすぐ下で止まっている注文がどれだけあるか、そこを見ないと調整の方向が決まりません。

変更したら効果を測る

閾値を動かしたら、必ず前後で比較します。見るのはAOVだけではありません。

  • AOVの変化
  • コンバージョン率の変化(閾値を上げるとCVRは下がりやすい)
  • 送料無料が適用された注文の比率
  • 1件あたりの送料負担額

AOVが上がってもCVRがそれ以上に下がれば、売上は減ります。両方を並べて見る。比較する期間は、セールやキャンペーンを挟まない同じ長さの区間を取ってください。月初と月末、給料日前後でも注文の傾向は変わるので、1週間の比較では判断できません。最低でも2〜4週間、注文件数が少ないストアならもっと長く取ります。

KPIの決め方そのものについては、こちらで整理しています。


アプリを入れる前に確認すること

アプリを入れる前に確認すること

送料条件を柔軟にするアプリは数多くありますが、入れる前に見る箇所は毎回同じです。

選ぶときに見る4点

最終更新日:Shopifyは定期的にチェックアウトやテーマの仕様を更新します。長期間更新されていないアプリは、次のプラットフォーム更新で動かなくなるリスクがあります。

チェックアウト拡張への対応:Shopifyはチェックアウト画面のカスタマイズ方式を刷新しており、旧方式(checkout.liquid)に依存したアプリは動作しません。導入予定のアプリがどの方式で作られているか確認してください。

日本語・日本の配送事情への対応:都道府県の扱い、郵便番号による判定、離島対応。海外製アプリは日本の住所体系を前提にしていないことがあります。管理画面が英語のみだと、運用担当者の負担が上がります。

サポート体制:問い合わせの窓口と応答時間。時差のある地域のアプリだと、トラブル時に1往復で1日かかります。EC運営で送料設定が壊れるのはクリティカルなので、ここは軽視できません。

導入後に効いてくること

月額の積み上がり:1本ずつは小さくても、送料・レビュー・ポイント・定期購入と積むと、年間で無視できない額になります。「この機能はテーマ改修で自前実装したほうが安いのでは」という判断は、3年スパンで見ると成立することがあります。アプリの月額と改修費を並べ、何年で逆転するかを一度計算しておくと、判断が早くなります。

表示速度:アプリはストアフロントにJavaScriptを追加します。送料バーのような表示系アプリは、カートページやすべてのページにスクリプトを読み込むものがあります。導入前後でPageSpeed Insightsを測っておくと、後から「なぜか重くなった」と悩まずに済みます。

解約時に残るもの:アプリを削除しても、テーマに埋め込まれたコードやメタフィールドが残ることがあります。残骸がエラーを吐いて表示が崩れるケースもあるので、解約時はテーマのコードを確認する前提で考えます。導入時にどのファイルへ何を追記したかを控えておくと、この作業が短く済みます。

管理画面を触る人の負担:設定箇所が「Shopifyの配送設定」と「アプリの管理画面」に分かれます。担当者が変わったときに、どちらを触ればいいのか分からなくなる。これは技術的な問題ではなく運用設計の問題で、手順書を残しておくかどうかで結果が変わります。

Shopifyは商品を売るだけでなく、コーポレートサイトと兼用する構成も組めます。送料設定のような運用まわりの負担を含めて全体を設計するなら、Shopifyをコーポレートサイトと兼用する考え方も参考になります。サイトを1本にまとめると、更新の窓口も1つになるためです。

構築全体でどこにコストがかかるかは、こちらで分解しています。


よくある質問

よくある質問

Shopifyで「〇円以上送料無料」を設定するには何が必要ですか

追加のアプリは不要です。設定→配送と配達で、対象の配送エリアに価格0円の送料を追加し、「注文金額による条件」で下限金額を指定すれば実現できます。あわせて通常送料側に上限金額を設定し、金額の範囲が重ならないようにしてください。重なると購入者に2つの送料が選択肢として表示されます。

特定の商品だけ送料無料の対象から外せますか

配送プロファイルを分けることで可能です。ただし、プロファイルの異なる商品を同じ注文に入れると、それぞれのプロファイルで計算された送料が合算されます。1回の配送なのに送料が2つ分かかる形になるため、まとめ買いが多いストアでは問い合わせが発生します。合算を避けたい場合はアプリまたはShopify Functionsによる実装が必要です。

クーポンを使うと送料無料にならないのはなぜですか

Shopifyの配送条件は割引適用後の小計で判定されるためです。5,000円の注文に500円クーポンを使うと4,500円と判定され、閾値5,000円の条件を満たしません。割引前の金額で判定させることは標準機能ではできず、Shopify Functionsによるカスタム実装が必要です。

設定したのに送料無料が反映されません

確認する順番は、商品が「物理的な商品」になっているか、その商品がどの配送プロファイルに属しているか、配送先の都道府県がゾーンに含まれているか、通常送料と無料条件の金額範囲に隙間や重複がないか、テスト注文にクーポンが適用されていないか、配送業者連携アプリが別の料金を返していないか、の6点です。上から順に潰すと大半は特定できます。

地域ごとに送料無料の条件を変えられますか

できます。配送エリア(ゾーン)を都道府県単位で分け、それぞれのゾーンに別々の条件と価格を置きます。「本州は5,000円以上、北海道・沖縄は10,000円以上」という設定は標準機能の範囲です。ただし新しく作ったゾーンには料金が引き継がれないため、送料無料の料金を置き直す必要があります。また離島は都道府県で切れないため、郵便番号単位の制御にはアプリが必要です。

送料無料ラインはいくらに設定するのが正解ですか

一律の正解はなく、平均注文単価(AOV)と粗利率、実際に負担している送料から逆算します。目安は、閾値の粗利が実送料と決済手数料を上回ること、かつAOVの1.2〜1.4倍程度に置くことです。AOVより低く設定すると、ほとんどの注文が条件を満たすため送料を負担しているだけになります。


まとめ

Shopifyの送料無料の設定方法は、管理画面の「配送と配達」だけで基本形が組めます。押さえるべきは3点です。

  • 金額の範囲を重ねない。通常送料に上限、無料条件に下限を置き、1円の隙間も作らない
  • 除外は配送プロファイルで分ける。ただし混在注文では送料が合算される仕様を理解したうえで採用する
  • 条件が注文全体の数値で表現できるかどうかが、標準機能・アプリ・カスタム開発の分岐点

そして閾値そのものは、他店に合わせるのではなく自社のAOVと粗利から逆算します。設定は5分で終わりますが、その数字が正しいかどうかは運用してみないと分かりません。変更したらAOVとCVRを並べて確認し、動かした結果を必ず測る。この往復を回せる体制のほうが、最初の設定より効きます。

【画像挿入: Shopify管理画面の配送設定で、通常送料と送料無料の2行が金額条件で区切られている状態のスクリーンショット】