この記事の対象: ランディングページの制作を外注しようとしている事業者の担当者
読了時間: 約12分
LP(ランディングページ)の制作費用を調べると、「5万円〜300万円以上」のように幅が大きすぎて判断に困ったことはないでしょうか。複数の制作会社に見積もりを取ったら金額が3倍以上違った、というケースも珍しくありません。
この幅は、制作会社ごとの「言い値」ではありません。含まれる工程・担当者のスキル・責任範囲が異なるために生まれます。
この記事では、金額差の構造を分解したうえで、「広告を回す前提なら何を省いてはいけないのか」「なぜ作って終わりにしてはいけないのか」まで踏み込んで解説します。相場の数字だけでなく、見積もりを見比べるときの判断軸を持ち帰ってください。
LP制作費用の相場:価格帯ごとに含まれるもの

LP制作の費用は、一般的に以下の4つの価格帯に分かれます。
| 価格帯 | 含まれる工程の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 5万〜15万円 | テンプレート利用・原稿と素材は発注者が用意・デザイン調整のみ | テスト的に1ページ試したい、広告の着地先を急いで用意したい |
| 15万〜50万円 | オリジナルデザイン・構成案作成・原稿の方向性提案・レスポンシブ対応 | 広告運用を前提に一定の品質で仕上げたい |
| 50万〜100万円 | 競合調査・構成設計・コピーライティング・撮影ディレクション・フォーム最適化 | 成果にこだわりたい、ブランドの世界観を反映したい |
| 100万円以上 | 戦略設計・ユーザー調査・A/Bテスト設計・撮影手配・複数パターン制作 | 広告費が月100万円を超える規模で、LPが売上に直結する |
ここで注意してほしいのは、金額だけで「高い・安い」を判断してはいけないということです。5万円のLPと100万円のLPは、含まれる工程がまったく違います。同じ「LP1ページ」という成果物でも、そこに至るまでの作業量と専門性がそのまま金額に反映されています。
具体的にどの程度の費用になりそうか確かめたい場合は、上の表を参考に自社の要件と照らし合わせてください。原稿や素材を自社で用意できるか、構成設計まで任せたいかで、どの価格帯に該当するかが変わります。複数社の見積もりを正確に比べる方法はWeb制作の見積もり比較|金額だけで決めないための判断基準で詳しく解説しています。
金額差はどこで生まれるのか

「なぜ同じ1ページなのに何十万円も差が出るのか」——その答えは、工程の数・担当者のスキル・責任範囲の3つに分解できます。
工程の数が違う
LP制作に含まれうる工程は、大きく5段階に分かれます。
安い価格帯のLP制作は、このうち「デザイン・実装」だけを担当します。調査・構成設計・原稿作成はすべて発注者側の仕事です。高い価格帯になると、調査から公開後の検証設計まで一貫して制作会社が受け持ちます。
ここが見積もりを比較するときの最重要ポイントです。安い見積もりは「工程が省かれている」のではなく、「その工程を発注者がやる前提」になっているだけです。必要な工程そのものは消えません。社内で構成設計やコピーライティングができる体制があるなら安い方でも問題ありませんが、そうでない場合は結局外注が追加で必要になり、トータルでは同じか、むしろ高くつくことがあります。
誰がやるかで工数が変わる
同じ「構成を作る」でも、経験の浅いデザイナーが感覚で要素を並べるのと、コンバージョン設計の経験があるディレクターが情報設計するのとでは、かかる時間も成果物の質も異なります。
制作費用には人件費が含まれるため、専門性の高い人が時間をかけるほど金額は上がります。これは「高い」のではなく、工数の中身が違うと理解するのが正確です。
見積書で確認すべきは「ディレクション費」や「構成設計費」の有無です。この項目があれば、構成設計に専任の担当者がつくということです。この項目がない見積もりは、発注者が構成を用意するか、デザイナーが片手間で兼務するかのどちらかになっている可能性があります。見積もりの行項目の有無が、実際の作業体制を映しています。
責任範囲の違い
見落とされやすいのが、成果に対する責任範囲の差です。
テンプレート利用の安価なLPは「指示どおりに作ります」が基本の受け方です。完成物の品質には責任を持ちますが、「そのLPで成果が出るか」は対象外です。
50万円を超える価格帯では「成果に向けた提案」が含まれることが多くなります。構成の根拠を説明できる、公開後に改善提案を行うなど、「作る」だけでなく「考える」部分まで範囲に入ります。
この違いを知らずに安い方を選ぶと、「作ってもらったが成果が出ない。制作会社に聞いても『ご指示どおりに制作しました』で終わる」という状態に陥ります。どこまでを相手に期待するのかを、依頼前に明確にしておくことが大切です。
広告運用を前提にしたとき、省いてよいもの・いけないもの

LPは広告の着地先として使うケースが大半です。広告費をかけるなら、LP側で省いてはいけない要素と、後回しにしても影響が小さい要素を分けて考える必要があります。
省くと広告費が無駄になりやすい要素
- 構成設計(ワイヤーフレーム): 情報の並び順はコンバージョン率に直結する。ファーストビューで何を見せ、どこでCTA(行動喚起ボタン)を出すかは、感覚ではなく設計が必要
- ファーストビューのコピーと画像: 訪問者の大半はファーストビューで離脱するかを判断する。ここの訴求が弱いと、その下のコンテンツは読まれない
- フォームの設計: 入力項目の数・配置・ステップ数でコンバージョン率が変わる。フォームは「おまけ」ではなく成果を左右する最重要パーツ
- スマートフォン表示の最適化: 広告経由のアクセスはスマートフォンが大半を占める業種が多い。PC版だけ整えてもスマートフォンで使いにくければ離脱を招く
初期段階では省いても影響が小さい要素
- アニメーションやエフェクト: 見た目の印象は上がるが、コンバージョン率への直接的な影響は限定的。むしろ表示速度を落とすリスクがある
- オリジナル撮影の写真: 初回はストックフォトで進め、データが取れてからオリジナル撮影に切り替えるほうが予算の使い方として合理的
- 複数パターンの同時制作: まず1パターンで仮説を検証し、十分なアクセスデータが溜まってからA/Bテスト用のバリエーションを作る方が精度が上がる
予算配分を間違えると、大半の費用を「見た目を整える」ことに使い、構成設計やコピーに回す予算がなくなるという本末転倒が起きます。
LPの目標をどう設定するかで悩んでいるなら、先にKPIの考え方を整理しておくと、制作会社への説明もスムーズです。具体的な設定方法はWebサイトの目標設定|発注者が押さえるKPIの決め方【2026年】で解説しています。
作って終わりにしない:改善前提で考えるべき理由

LP制作でもっとも見落とされがちなのが「公開後の改善コスト」です。
LPは公開した時点では「仮説」にすぎません。実際にユーザーがどう動くかは、データを取らなければわかりません。制作の現場で一般的に起きるのは、こういう流れです。
- 公開直後は想定どおりのコンバージョン率にならないことが多い
- ヒートマップやアクセス解析でユーザーの行動パターンを確認する
- ファーストビューのコピー変更、CTAの位置調整、フォーム項目の削減などを試す
- 数週間〜数ヶ月かけて徐々にコンバージョン率を改善していく
つまり、LP制作の予算を「初回の制作費」だけで組むと、改善に使う予算がなくなります。
改善費を確保する
- 初回は予算の70〜80%で制作
- 残り20〜30%を公開後の改善に充てる
- データに基づいて精度を上げられる
初回に全額投入
- 公開時点の見た目は整う
- 改善したくても追加予算がない
- 成果が出なくても手を打てず放置になる
予算に上限がある場合は、初回の制作費を抑えてでも改善用の費用を確保したほうが、トータルの費用対効果は高くなります。制作会社に見積もりを依頼する段階で「公開後の修正は1回いくらか」「月額の保守契約はあるか」を確認しておくことをすすめます。
公開後の改善サイクルの回し方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
見積もりの精度を上げるために依頼前に決めておくこと

制作会社に見積もりを依頼する段階で、以下の5点を整理しておくと、見積もりのブレが小さくなり、複数社の比較もしやすくなります。
- LPの目的: 問い合わせ獲得なのか、資料ダウンロードなのか、商品購入なのか。目的によって構成もフォームの仕様も変わる
- 広告との関係: 広告を出す予定があるか。ある場合の月額予算はどのくらいか。広告費に対してLP制作費が極端に少ないと、着地先の弱さで広告費を浪費するリスクがある
- 原稿と素材の準備状況: キャッチコピーや本文は社内で書けるのか、制作会社に任せたいのか。ここが曖昧だと見積もりに大きな幅が出る
- 公開後の改善を依頼するかどうか: 納品して終わりか、改善まで含めて継続的に付き合うのか。後者なら月額契約の有無も確認が必要
- 動かせない期限: 広告の配信開始日、商品の発売日、展示会の日程など
素材の準備に不安がある場合は、Webサイトの写真と原稿の用意|出来を左右する素材準備の進め方を先に読んでおくと、何をどこまで自分で用意すべきかがわかります。
複数社から見積もりを取るなら、上の条件を統一した状態で依頼してください。条件がバラバラだと、金額を並べても比較になりません。「A社は原稿制作込みで80万円、B社は原稿なしで30万円」——これは見積もりの金額差ではなく、含まれるサービスの差です。
依頼前の準備で「どこまで自分で決めるべきか」に迷ったら、Web制作を依頼する前の準備|発注者が決めなくていいこと【2026年】が参考になります。制作会社に丸投げしてよいことと、発注者が決めなければいけないことの線引きを整理しています。
費用の目安を先に知りたい方へ
ページ数や必要な機能を選ぶだけで概算を確認できる費用シミュレーターを用意しています。見積書を読み解く前の物差しとしてお使いください。
よくある質問

LP制作費が5万円の会社と100万円の会社は何が違うのか
含まれる工程の範囲が違います。5万円はテンプレートに原稿を流し込む作業が中心で、構成設計やコピーライティングは含まれません。100万円は調査・戦略設計・原稿作成・撮影ディレクションまで一貫して担当する価格帯です。見た目の差ではなく、「どこまでの工程を誰がやるか」の違いだと理解してください。
LP1ページだけなのに制作期間が1〜2ヶ月かかるのはなぜか
制作期間の大半は調査・構成設計・原稿作成と、社内確認のやり取りに使われます。デザインとコーディングだけなら数日〜1週間で終わりますが、競合調査やコピーの推敲、発注者との確認サイクルを含めると1〜2ヶ月は標準的な期間です。短納期を求める場合は、調査や構成設計を省くか、発注者側で事前に済ませておく必要があります。
安いLPで試してから本格的なLPを作り直すのはアリか
合理的な進め方です。まず安価なLPで広告を出し、そもそも需要があるかを検証する。反応が確認できた段階で構成設計やコピーに投資して本格版を作る——この二段階の進め方は予算リスクを下げられます。ただし、安価なLPで反応が悪かったとしても「この商品は売れない」と結論づけるのは早計です。LP構成の問題で成果が出ていない可能性を切り分ける必要があります。
LP制作費に加えて追加費用が発生しやすいケースは何か
よくあるのは、構成変更にともなうデザインのやり直し・公開後の修正対応・フォームの仕様追加・素材の追加撮影です。見積もりの段階で「修正回数の上限」「公開後の修正は何回まで無償か」「素材の手配範囲」を確認しておくと、想定外の出費を防げます。納品後の修正範囲の考え方はホームページ納品後の修正依頼|どこまで無償かの判断基準【2026年】で詳しく解説しています。
広告代理店にLP制作もまとめて頼むのと、制作会社に分けて頼むのとではどちらがよいか
広告代理店に一括で頼むと、広告のメッセージとLPの内容を揃えやすいメリットがあります。一方、LP制作が広告運用の「おまけ」扱いになり、構成設計やデザインの品質が手薄になるリスクもあります。広告費が月50万円を超える規模であれば、LP制作は専門の会社に依頼し、広告代理店と連携させる体制のほうが成果が安定しやすい傾向があります。
まとめ
LP制作費用に大きな幅があるのは、含まれる工程・担当者の専門性・責任範囲がそれぞれ異なるからです。
依頼前に押さえておくポイントを3つに絞ると、次のとおりです。
- 金額ではなく「含まれる工程」で見積もりを比較する。条件を揃えて複数社に依頼し、何が入っていて何が入っていないかを確認する
- 広告を回すなら、構成設計とフォームの最適化は省かない。装飾よりもコンバージョンに直結する要素に予算を集中させる
- 改善用の予算を残す。LPは公開してからがスタート。初回制作に全額を投入せず、公開後のチューニングに20〜30%の余力を持っておく
費用の大小そのものではなく、「その金額で何をしてもらえるのか」「自分たちは何を担う前提なのか」を見極めることが、LP制作で失敗しないための判断軸です。

